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Future Work-Style Design もうオフィスは不要なのか?コロナ禍中の今こそ、未来のワークスタイルについて考える。

急激なワークスタイル変化がもたらす
モノとは

僕は、20年以上に渡りファシリティマネジメントに従事してきたが、今回のコロナ感染抑止の為の、自粛要請・在宅ワークへの切り替えは
ここ30年間のワークスタイルにおいて、2番目に大きな変化だと感じている。
変化の大きさでいくと、最大の変化は、90年代半ばから本格化した事業活動におけるIT導入・活用であり、ノートPC・タブレット、スマートフォン等のデバイスによる「場所にとらわれない働き方」。
しかし、浸透スピードでいうならば、今回の方が圧倒的に早い。わずか2ヵ月足らずでこんなにも多くの人がリモートワークを経験するに至ったのだ。
その中で、聞こえてくる声...
「もうオフィスは不要だ」。
僕はそんな風には考えていない。これからもオフィスは必要だと思っている。但しその果たす目的と形を変えて!という「条件付き」である。

「働き方改革」の本質に迫る時が来た

既に多くの方から、アフターコロナのオフィスはどう在るべきかについてのご相談や質問を頂いているが、そこに行く前に真剣に考えたいことがある。

この自粛状況下で、「早く元の状態に戻って欲しい」という声を沢山見聞きする、子供たちが安全に通学して健全に遊びまわったり、気のおけない仲間と仕事帰りに飲みに行ったり、旅行やスポーツを楽しんだり。その通りだと思う。僕自身も早く、好きなサッカーを愉快な仲間と楽しみたい。

しかし、「働くこと」は、元の状態に戻っていいのだろうか。
コロナ危機に至る前、誰もが「働くこと」を肯定的な社会行動として捉えられていただろうか。国をあげて”働き方改革”が推進され、長時間労働の抑制、育児・介護を必要とする人への新しい制度、テレワーク導入等、多くの事例が産まれた。
けれども、一番肝心な事が置き去りにされているように感じていた。

それは、「働くこと」は楽しくない・退屈・面倒・我慢するものという暗黙化された既成概念(メンタルモデル)である。
僕は未来の世代に「仕事は楽しくないものなのだ」という諦めた価値観を受け継ぎたくない。
仕事は、「やりがいや成長実感を得ることの出来る、ステキな社会活動」として、バトンタッチしていきたい。
だからこそ、ワークスタイル変革をワークプレイス(働く場)から促進するファシリティマネジメントに取り組んでいるのである。

誰も大声で言わないから敢えて言わせてもらいたい。制度やオフィスの変革も、もちろん大事である。けれども"働き方改革”の本丸は、築き上げられたメンタルモデルの打破であり、
「働くことを、つまらない行為から、やりがいのある楽しい社会活動」に位置付け直す取り組みなんだと。

ワークプレイスは「管理する・される」場所から、「刺激を求め、与え合う」場所へ

急激で半ば強制的な在宅ワーク推進によって、多くの人が、非生産性へのストレス・通勤ラッシュからの解放感・曜日時間間隔の欠如、など本当に様々な体験を味わっている。その1つに、対面コミュニケーションが出来ないことによる、モノ足りなさも強く実感されている。

冒頭に「オフィスは、目的・形を変えてこれからも必要である」と述べたがどのように変えていくべきなのか、ポイントがここにある。これまで多くのオフィスをプロデュースさせてもらってきたが、その検討においてよく取り上げられるテーマは
・マネージャーは部下の進捗管理をどのようにしたらよいのか
・勤怠管理は大丈夫か
・人事考課や評価に支障が出るのでないだろうかであった。

これまでオフィスは、
「管理することを目的とした場」であったのだ。
その背景に、残念ながら性悪説も見え隠れする。その性悪説こそが、前述の「仕事=つまらないこと」のメンタルモデル前提に形成されているように思える。
ワークプレイスは何の為に、必要とされ存在するのか?
やりがいや成長を感じながら働くことが出来る為に、上司や同僚、パートナーとのコラボレーションで産まれる「刺激・ワクワクを最大化させる装置」になっていくべきなのだ。

オフィスはワークスタイルを支える一部分であり、他の多様なワークプレイスと組み合わせて機能していく。その中心となる魅力的な場所に変革していくことが今、まさに問われているのだ。この危機の中でも、前向きな気付きを得て、楽しい未来への価値を産みだす機会を見出したい。

※未来のワークスタイルにおける3つの重要要素について、次回のnoteにまとめたいと思います。


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