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会社設立の手続きは、大きく分けて以下の5つのステップになります。

  1. 会社設立に必要な基礎情報を決める

  2. 会社用の印鑑を作成する

  3. 定款を作成し、公証役場で認証を受ける

  4. 資本金の払い込みを行う

  5. 登記申請書類を用意し、法務局で登記申請を行う

それぞれのステップで必要な書類や手続きを、以下で確認してください。

ステップ1.会社設立に必要な基礎情報を決める

1,会社形態を決める
2,社名(商号)を決める
3,事業目的を決める
4,本店所在地を決める
5,資本金と出資者を決める
6,設立日・決算日を決める

1,会社形態

会社形態とは、会社の種類や特徴を表すものです。現在新設できる会社形態は、「株式会社」「合同会社」「合名会社」「合資会社」の4種類です。
中でも株式会社は、出資の限度額に応じた責任の限定や株主の議決権などのメリットがあり、国内でもっとも設立数の多い会社形態です。
会社形態によっては、設立に必要な手続きや費用、税金などが異なりますので、事業の規模や内容に合わせて選択することが重要です。

2,商号(会社名)

商号とは、会社の名称であり、会社を識別するためのものです。
商号は、事業内容をイメージしやすい名前や会社の雰囲気を伝える名前など、さまざまな決め方があります。
ただし、銀行や学校など特定の団体を連想させる名称を使ったり、有名企業の名前を連想させる社名を付けたりすると、不正競争防止法により損害賠償を求められることがありますので、注意が必要です。
また、類似する社名がないかを確認しておきましょう。類似商号は、法務省のWebサイト「オンライン登記情報検索サービスを利用した商号調査について」や本店所在地を管轄する法務局に行って、専用端末を利用して調べることができます。
なお、社名の前後には必ず、法人格を入れます。

3,事業目的

事業目的とは、会社が行う事業の範囲を定めたものです。
定款に書かれていない事業は原則として行えないため、将来的にやりたい事業を含めて記載しても問題ありません。
事業目的の数に制限はありません。
ただし設立したばかりの会社があまりにも多く記載していると、何をしている会社か分かりにくく、社会的信用度に影響するおそれがあります。
設立したての頃は、事業目的を10項目以下に抑えておくことをおすすめします。

4,本店所在地

本店所在地とは、会社の本拠地となる住所を定めるもので法的な拠点になります。
自宅やマンションの一室、バーチャルオフィスを本店所在地として設定できますが、事業所を変更する場合は再登記が必要になるので注意しましょう。本店所在地は、長期的に事業を行う場所に設定するのがおすすめです。

5,資本金

資本金とは、会社設立あるいは増資で出資者から払い込まれたお金を指します。
創業当初は資本金が運転資金の基礎となります。
現在の会社法では資本金の下限がないため、法律上は1円から会社設立が可能です。しかし資本金があまりにも少額だと社会的信用度を落としたり、安定して事業を進めていきにくくなったりするデメリットがあります。
初期費用と運転資金3ヶ月分位を足した金額は最低限、用意しておくのが望ましいです。

6,設立日、会計年度

設立日は会社の登記が完了した日で、定款に記載されます。設立日から1年以内であれば、決算日は自由に決めることができます。
会計年度とは、企業が会計上の業績を評価する期間のことで、通常は1年間です。
会計年度は企業が自由に設定できますが、多くの企業が4月1日から翌年3月31日までの期間を会計年度としています。
また会計年度を定めるには、決算月の設定も必要です。
会社の繁忙期と決算月が重なると業務が集中するため、決算月は繁忙期から避けるのが一般的です。

ステップ2. 会社用の印鑑を作成する

・個人の実印と印鑑証明書を準備する
・会社の実印(代表者印)と社印(角印・認印)を作成する
・法人銀行印やゴム印(住所印)も必要に応じて作成する


会社用の印鑑には、代表者印・銀行印・角印の3種類があります。
それぞれの印鑑の役割とこれらの印鑑を作成する際のポイントは以下のとおりです。

個人の実印と印鑑証明

:定款認証、会社登記、資本金の払い込みなどに使用します。市区町村に印鑑登録します。一般的には「8mmよりも大きく25mm以下のサイズ」がよいとされ、男性は15mmまたは16.5mm、女性は13.5mmまたは15mmがおすすめです。

代表者印

:会社の代表者が会社の意思を表明するために使用する印鑑です。法務局に登録する必要があります。
代表者印は、1辺の長さが1cm以上かつ3cm以内の正方形に収まるものでなければなりません。偽造が難しい書体や素材を選ぶとよいでしょう。

銀行印

:会社の銀行口座を開設したり、銀行取引を行ったりするときに使用する印鑑です。銀行に登録する必要があります。
銀行印の印影は、二重の円で構成されています。内側(中文字)には「銀行之印」という文字が入ります。外側には社名や屋号が入ります。銀行印は、サイズや形状に規定はありませんが、代表者印とは異なるものを選ぶとよいでしょう。取り違えや紛失のリスクを防ぐためです。

角印

:会社の日常業務で使用する印鑑です。請求書や発注書などに押印します。登録の必要はありません。角印は、一般的に四角形の印鑑です。社名やロゴなどを入れることができます。印鑑の大きさは、文書のサイズに合わせて選ぶとよいでしょう。

ゴム印

(住所印):会社の名称、代表者名、住所、電話番号などの会社情報が記されたゴム印です。
契約書や小切手、領収書、会社封筒などに使われます。会社の連絡先を相手に伝える効果があります。
ゴム印(住所印)のサイズや形状は、自由に設定できます。ただし、押印する書類のサイズに合わせて選ぶとよいでしょう。

ステップ3. 定款を作成し、公証役場で認証を受ける

1、定款を作成する
2、公証役場に予約を入れる
3、公証役場で認証手続きを行う

それぞれの手順について、詳しく説明します。

1. 定款を作成する

(書面定款か電子定款かを選択する)

定款を作成する際には、以下の事項を必ず記載する必要があります

  • 商号(会社名)

  • 本店所在地

  • 事業目的

  • 資本金

  • 発行可能株式総数

  • 発起人の氏名・住所・出資額

  • 役員の構成・任期・選任方法

定款は、書面定款か電子定款かを選択することができます。
書面定款は紙媒体で作成する定款で、電子定款はPDFファイルで作成する定款です。
電子定款の場合、印紙代がかからないというメリットがありますが、PDF変換ソフトやマイナンバーカードなどが必要になります。定款の作成方法については、公証役場のサイトを参考にしてください。

2. 公証役場に予約を入れる

(書面定款と電子定款)

定款を作成したら、認証を依頼する公証役場に事前に連絡します。
公証役場は、会社の本店所在地を管轄する法務局に所属する公証人がいる公的機関です。
公証役場の所在地や連絡先はインターネットで検索できます。
公証役場に連絡する際には、定款の内容をFAXやメールで送信し、不備がないかをチェックしてもらいます。(定款の事前確認)
修正の必要があれば、それに従って内容を修正します。
また、認証を受ける日時の予約を入れます。
電子定款の場合は、定款の認証を受けるためにテレビ電話方式を利用することも可能です。

3. 公証役場で認証手続きを行う

予約した日時に、発起人全員が公証役場に出向きます。
発起人のうち、一部の人だけで認証に出向く場合には来ない人の委任状が必要です。
公証役場で認証手続きを行う際には、以下の書類や手数料を持参します。

  • 定款の原本(通常3通)

  • 発起人全員の印鑑登録証明書(発行から3か月以内のもの)

  • 実質的支配者となるべき者の申告書

  • 発起人の実印

  • 身分証明書

  • 手数料 「紙定款認証手数料」:資本金の金額に応じて3万~5万円、収入印紙代:4万円、謄本代:1枚あたり250円(通常8枚程度必要)   「電子定款定款認証手数料」:資本金の金額に応じて3万~5万円、電磁的記録の保存手数料:1回あたり300円2同一情報の提供手数料:1通あたり700円(書面での交付を希望する場合は、1枚あたり20円が加算される)

定款の認証を受けたら、定款の謄本を受け取ります。定款の謄本は、会社の設立登記に必要な書類です。

ステップ4. 資本金の払い込みを行う

・資本金の払い込みを行う(現金・現物出資のいずれか)
・払い込みを証する書面を準備する(現金出資の場合は預金通帳の写しや振込明細書、現物出資の場合は現物出資評価書や現物出資承認書など)

資本金の払い込みとは、会社の設立に必要な資金を発起人が銀行口座に振り込むことです。資本金の払い込みは、定款の認証を受けた後に行うのが一般的です。

資本金の払い込みの手順は以下のとおりです。

  1. 発起人名義の銀行口座と通帳を用意する

  2. 口座に資本金を振り込む

  3. 通帳の中身をコピーする

  4. 払込証明書を作成する

  5. 証明書と通帳コピーをひとつにまとめる

それぞれの手順について、簡単に説明します。

1. 発起人名義の銀行口座と通帳を用意する

発起人とは、資本金を支払う人のことです。発起人の名義で銀行口座と通帳を用意します。通帳は、資本金の払い込みを証明するために必要です。発起人が複数人いる場合は、代表の発起人(発起人総代)の口座を使用します。銀行口座の種類は普通預金口座で問題ありません。

2. 口座に資本金を振り込む

定款で定めた資本金の金額を、発起人の口座に振り込みます。このとき、必ず預金ではなく振込みで送金してください。振込みであれば、資本金を支払った発起人の名前と金額が通帳に記載されるので、確実に払込みの証明ができます。発起人が複数人いる場合は、それぞれで発起人総代の口座に資本金を振り込んでください。

3. 通帳の中身をコピーする

資本金の払い込みが完了したら、通帳の中身をコピーします。コピーするのは、表紙、氏名・口座番号の記載と銀行印が押印されているページ、払い込みの内容が記帳されているページの3カ所です。コピー用紙のサイズはA4で構いません。払い込みの内容が記帳されているページには、マーカーで印を付けておくとわかりやすくなります。

4. 払込証明書を作成する

払込証明書とは、発起人が資本金を支払った事実を代表取締役が証明するための書類です。登記申請の際に必要になります。払込証明書には、以下の項目を記載します。

  • 払い込まれた金額の総額

  • 払い込まれた株数

  • 1株あたりの払込金額

  • 払い込みのあった年月日

  • 本店の所在地

  • 会社名(商号)

  • 代表取締役氏名

また、払込証明書には、会社代表者印(会社の実印)を2カ所押印します。1カ所は左上に、もう1カ所は代表取締役氏名の右側に押印します。

5. 証明書と通帳コピーをひとつにまとめる

最後に、払込証明書と通帳コピーをホッチキスで綴じます。綴じる順番は、払込証明書が一番上、通帳コピー(表紙)が二番目、通帳コピー(氏名・口座番号の記載と銀行印が押印されているページ)が三番目、通帳コピー(払い込みの内容が記帳されているページ)が一番下になるようにします。各ページの境目にも会社代表者印を押印しておきます。

ステップ5. 登記申請書類を用意し、法務局で登記申請を行う

・登記申請書類を用意する(株式会社設立登記申請書・登記すべき事項(別紙)認証済み定款の謄本・登録免許税15万円以上(収入印紙貼付台紙)設立時取締役の印鑑証明書・払い込みを証する書面・印鑑届書など)
・登記申請書類を法務局に提出する(書面申請かオンライン申請かを選択する)
・登記申請が完了するのを待つ(約2週間程度)

1.登記申請書類を用意する

登記申請書類とは、会社の設立に関する情報を記載した書類のことです。登記申請書類には、以下のものが必要です。

株式会社設立登記申請書:会社の名称、本店所在地、事業目的、資本金、役員などを記載する書類です。申請人(代表取締役)が署名押印し、会社の実印を押印します。
登記すべき事項(別紙):株式会社設立登記申請書に記載しきれない事項を記載する書類です。例えば、役員の住所や株主の氏名・住所・出資額などです。申請人(代表取締役)が署名押印し、会社の実印を押印します。

認証済み定款の謄本:公証役場で認証を受けた定款の写しです。公証役場で定款の認証を受けた際に、謄本を受け取ります。

登録免許税15万円以上(収入印紙貼付台紙):登記申請にかかる税金です。収入印紙を購入し、台紙に貼り付けます。登録免許税の額は、資本金の金額に応じて変わりますが、最低でも15万円必要です。

設立時取締役の印鑑証明書:設立時の取締役の実印が本人のものであることを証明する書類です。取締役の住所地の市区町村で発行してもらいます。発行から3か月以内のものが必要です。

払い込みを証する書面:発起人が資本金を支払ったことを証明する書類です。通帳のコピーと払込証明書を一緒に綴じたものが必要です。

印鑑届書:会社の実印を登録するための書類です。会社の名称、本店所在地、代表取締役の氏名、会社の実印の印影などを記載します。代表取締役が署名押印し、会社の実印を押印します。


2.登記申請書類を法務局に提出する

登記申請書類を用意したら、次に法務局に提出します。法務局は、会社の本店所在地を管轄する法務局に提出します。

登記申請書類の提出方法は、書面申請かオンライン申請かを選択できます。書面申請は、紙媒体で作成した書類を法務局の窓口に直接持参するか、郵送する方法です。
オンライン申請は、パソコンやスマートフォンで作成した書類をインターネット経由で送信する方法です。

書面申請とオンライン申請の違いは、以下のとおりです。

書面申請の場合


申請書類の作成には、専用のソフトが必要ではない
申請書類の提出には、法務局に出向くか、郵送する必要がある
申請書類の受理には、時間がかかる場合がある
登記完了証の受け取りには、法務局に出向くか、郵送で受け取る必要がある

オンライン申請の場合


申請書類の作成には、専用のソフトが必要である
申請書類の提出には、インターネットで送信するだけでよい
申請書類の受理には、時間がかからない場合が多い
登記完了証の受け取りには、インターネットで受け取ることができる
オンライン申請の場合、以下の条件を満たす必要があります。

申請人(代表取締役)が電子証明書(マイナンバーカードや住民基本台帳カードなど)を持っている
申請人(代表取締役)が登記・供託オンライン申請システムに登録している
申請書類の作成には、申請用総合ソフトを使用する
申請書類の送信には、インターネットを使用する

3.登記完了証を受け取る


登記完了証とは、登記申請が受理され、登記簿に記載されたことを証明する書類です。登記完了証は、会社の設立を証明する重要な書類ですので、大切に保管してください。

登記完了証の受け取り方法は、以下のとおりです。

書面申請の場合:法務局の窓口で受け取るか、郵送で受け取るかを選択できます。窓口で受け取る場合は、登記申請書に押印した印鑑と身分証明書を持参してください。郵送で受け取る場合は、登記申請書類の提出時に返信用の封筒を添付しておく必要があります。

電子申請の場合:書面で受け取るか、電子公文書で受け取るかを選択できます。書面で受け取る場合は、登記申請情報の「交付方法」欄に「書面による交付を希望する」を選択し、送付先の住所を記録してください 。
電子公文書で受け取る場合は、登記申請情報の「交付方法」欄に「オンラインによる交付を希望する」を選択し、申請用総合ソフトから参照してください。

最後に

これを読んでいる方はおそらく、会社設立ってどうすればできるのか?
とか、会社設立しよう、と考えている方だと思います。
時間をかけられる方や、一度やってみたい方などご自分で調べて会社設立の作業を1から自分で申請なさるのもよいと思います。

お時間がない方や、今後も何かしら協力してもらえそうな事業のパートナーをお探しでしたら行政書士などにご相談いただければよいかと思います。

ご想像しているより意外に色々な業務を行政書士は行っていますし、書士全般に言えることかもしれませんが、書士は幅広い専門家のネットワークを持っていることが大半ですのでとりあえず相談、というのもよろしいかもしれません。


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