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皇居ランが妄想ランになった話

今年はよく走った。

2019年の漢字一文字は「走」

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去年秋から何を思ったか急に走り出し、今年初めてハーフマラソン大会に出場した。あまりの辛さにコース沿道の田園に身を投げようと思ったのに今も走り続けている。


週末にはランニングアプリをつけて、走り終えた後の風呂で記録を見てはニヤニヤしている。1km当たりのタイムをツマミに酒が飲めるくらいだ。

一体「何呑み」なのだろうか。自己肯定呑みとでも呼ぼう


そうだ、皇居ラン しよう


普段走っている近所の公園は1周約1km。信号がないだけマシなのだけど10km走ると約10周。同じところをクルクル走っていると自分はモルモットかと錯覚してしまう。

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そんなわけでランナーの聖地「皇居」に行くことにした。皇居は1周5km、たった4周で20km!距離はもちろん変わらないがモルモット状態からは脱することができそうだ。

「皇居ラン」と検索するとランステ(ランニングステーション/ランナーズステーション)なる施設もあちこちに在って、まさにモルモット、いやランナーにはうってつけの場所なのだ。

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今回お世話になったのはコチラ


今年の仕事納めや忘年会も無事完了し、残るは走り納め。「走り納め」とか言っちゃている時点でだいぶランナーの自分に酔っている。自己肯定泥酔だ、ウコンの力は効かない。


年末年始の休みで早起きできた日に皇居に行こうと決め、その日スッキリ起きることがいざ電車に乗り込む。地下鉄を降り、地上へ!ココロも躍る。

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これまで続いた晴天の日が嘘のようだ。俺はなんで天気予報を見てこなかったのだろうか。ランニングアプリを見ている時間を少しでも天気予報チェックに充てれば良いのに。曇天を恨めしながら走り始める。目標距離はハーフマラソン(21km)。

皇居ランの意外な盲点


「百聞は一見に如かず」とはよく言ったもので、どれだけググって調べてもやってみないと分からないことはたくさんあるものだ。諺(ことわざ)っていいね!


雨中を走り始め、ちょうど1周(5km)の中間地点を過ぎたころ異変に気づく。カラダではない。あれ?坂きつくないか???我が相棒ランニングアプリを見返すと高低差32mとある。耳はキーンとなっていないが、足腰がガーンとくる高さである。

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確かに「皇居ラン 坂」とググると高低差約30メートルある。でもそれは検索しないと出てこない情報。ランステなどの休憩所の情報しか調べてこなかった自分を呪いたい。天気も調べないくらいだからこういうことになる。

10kmを過ぎて湧き上がる妄想

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走り始めた頃の雨も小康状態になり、黙々と走る私。坂も上りがあれば下りがある、まるで人生のようだなんて思いながら薄ら笑いを浮かべているのだろう(決して自分の顔は見えないけど)。

ちょうど半分の10km(今回の目標距離は21km)に差し掛かり、精神的にきつくなってくるころ、突如異変が起こり始める。自分の脳内実況が始まったのだ。まずは実況が私を叱咤激励、解説はあのひとだ。

ツボイ選手、ココは踏ん張りどころ。前に付いていってほしい。この坂で食らいつけ!


ツボイさんが走り始めたのはお子さんが持久走大会で3位をとったからだそうです。パパも一念発起することで父親の背中を見せたかったのでしょうね

解説は増田明美さんだ。選手を「さん付け」し、どうでもいいプライベートでさえ解説してしまう増田明美さん。”なぜ、それを知っているのだ”と思いながらも走り続ける私。確かに次男の持久走大会がきっかけで俺も走ろうと決意したのを思い出した。

別に誰かと競っているわけでもないのに、「食らいつけ」と応援する実況、私の細かすぎるプライベートで解説を続ける増田明美さん。私の脳内で行われる実況中継は止まらない。

妄想の理由を妄想

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1時間以上も走っていると脳が暇だから妄想を始めてしまうのだろうか。増田明美さんと一緒に実況する君は誰だ?どこの局のひとだ?ついには妄想の理由を妄想し始める私。しかし15kmを過ぎ、ゴールが見えてくると脳内実況は止まった。気が付けば撤収されている放送席。

脳内実況は去った。最後はゴールに向けて意識を集中するのみ。目標距離である21kmは達成できたがタイムは1時間半を切れず満足がいく結果とはならなかった。おそらく実況も「ツボイ選手、やりました!」とは言ってくれないだろう。これは来年の目標にしよう。

妄想と走行タイムの関係


最後に走行タイムの振り返りにお付き合いください。

以下は1kmあたりの各ペース。ちょうど10kmあたりから脳内実況が始まり、15kmあたりで撤収。15km地点ではゴールは意識しているが体力的には相当きつくタイムは最も落ちている(17km地点4:54/18km地点5:00)。つまりココロが折れている状態、実況解説陣撤収はココロの限界地点なのだ。

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19kmを超えてからはなんとか持ち直しゴール。再び降り出した雨に打たれ皇居ランは終了。雨が降りしきる中でも大勢のランナーが走っていた皇居、彼ら一人ひとりが妄想を交えながら走っているのだろうか。妄想万歳

今年の走り納めは妄想収め。来年も叶わぬ夢物語ではなく、妄想をいっぱい見て現実に戻ってきたいと思います。では皆さまどうか良いお年を。


前回のラン妄想日記も良かったら。


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