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ブランディング効果のある動画広告の使い方を、ミレニアル世代の時間感覚から考える

動画広告についてです。

動画広告によるブランディング効果を、どうすれば高められるかを掘り下げています。

ミレニアル世代の動画広告効果の調査 (若い世代は短い動画広告に効果あり)

Adweek が、動画広告の調査結果を紹介していました (2016年4月11日) 。


調査内容

広告対象の商品やサービスへのブランディング効果が、動画広告の長さ (尺) やデバイスの違いによって、どのように違うかのリサーチです。

分析の切り口は、18-34才のミレニアル世代と、35才以上の世代の比較です。

この調査は、IAB (The Interactive Advertising Bureau: アメリカ NY に本拠地とするインタラクティブ広告業界団体) が、Millward Brown Digital と Tremor Video で実施した共同調査です (調査レポート PDF はこちらです) 。

調査方法の概要
・10秒と30秒の動画広告を、パソコン、スマートフォン、タブレットの異なるスクリーンサイズのデバイスで調査
・動画広告で扱われた商品・サービスやブランドは、自動車、消費財 (CPG)、ファストフード
・調査対象者は18-54才。サンプルサイズは 1,800 (3デバイスで 600 ずつ)
対象者は調査対象広告を見て、その後に動画広告や対象ブランドへのアンケートを回答

調査結果

調査結果には、動画広告の長さ (尺) による広告効果を、18-34才のミレニアル世代と35才以上を比較した分析結果が示されていました。

広告効果とは、広告によってブランドが魅力的になるか (Brand appeal) と、買おうと決めることに広告が影響するかどうか (Persuasion) です。

調査結果
・10秒と30秒の動画広告を比べると、ミレニアル世代には10秒の動画広告の効果が高い傾向
・35-54才には、30秒動画広告のほうが効果があった
・詳細の数字はレポートの17, 18ページ

ミレニアル世代は、なぜ短い動画のほうを好むのでしょうか?

女子大生が語ったスマホ世代の時間感覚

別の調査結果をご紹介します。

アメリカの女子大生へのインタビュー調査です。アプリマーケティング研究所が、アメリカの若者のソーシャルメディア事情を調べるために、アメリカの女子大生4名にインタビューを実施しました。


Facebook の「ここがいやだな」と思うところはありますか?という質問について、アメリカの女子大生は次のように答えていました。

Facebook は文字 (情報量) が多くてつかれちゃうんです。政治や時事ニュースの長文ポストとか読みたくない。それに比べて、インスタは写真メインでシンプル、それが良いんです。

いまのスマホ世代って、「アテンションスパン (コンテンツに集中できる時間) 」が短くなってると思うの。それなのに、Facebook のポストって「情報量」が多いから、そこはミスマッチだと感じます。

わたしたちの親というか、もうすこし大人の世代は、長文でも気にしないじゃないですか。新聞とかで「文面でニュースを読むこと」に慣れているからだと思うんですけど。

でも、わたしたちにとっては「短くてわかりやすいもの」がスタンダードです、ずっと SNS で育ったので。文字ばっかりだと、読む気がなくなります。

 (引用: いまの若者が「Facebook をつかってない」はウソ、実際は「SNS の使い分け」が進んでいる。アメリカの女子大生に聞いてわかった、Facebook への本音。 | アプリマーケティング研究所


スマホネイティブの世代は、スマホや SNS が当たり前のようにある環境で育ちました。

スマホネイティブ世代は、長文よりも短いメッセージや動画を好むようです。もっと大人の世代は長文に慣れているため、たとえスマホでも長文や長い動画に抵抗がないのではないかという見方です。

ここからは、IAB の動画広告の調査結果に話を戻します。

必ずしも短い動画広告が良いわけではない

ミレニアル世代には短い動画広告のほうが効果がある結果でした。

ただし、どんな場合でも短尺の動画広告がよいかというと、必ずしもそうではないことを示唆する結果も出ています。

必ずしも短い動画広告が良いわけではない
・動画広告に自分にとって新しい情報が含まれた場合では、10秒よりも30秒の動画のほうが効果は高い傾向 (レポートの19ページ)
・ミレニアル世代も35才以上にも、両方に共通する

この結果から、どんな解釈ができるでしょうか?

解釈は、動画からの情報量の多い場合には10秒では足りなかったことです。つまり、広告内容で知っていることが少ない場合は、頭の中の情報処理に30秒の一定以上の時間が必要なのでしょう。

ではここからどんな示唆があるでしょうか?

ブランディング効果のある動画広告の使い方

大事なのは、動画広告は目的に応じて使い分けることです。

目的に応じた使い分け (例) 
・新しいブランドの認知を獲得するために、予告編のようなティザーとして短尺の動画広告をまずは流しす
・メッセージはシンプルにし情報量はなるべく削ぎ落としす
・その後、本編として情報量を多くした長めの動画広告を使う

すでに知られているブランドを扱う場合は、認知より先のブランドへの興味喚起や好意度を上げる目的に、特にミレニアル世代に対しては短尺の動画広告をモバイル向けに使います。認知はあるので、その分だけ動画の時間を短くできます。

今回紹介した調査結果やインタビューは、いずれも日本人を対象にはしていません。ただ、若い世代ほど短いコンテンツが好まれる傾向は、肌感覚としては同じことが日本でも当てはまると思います。

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