「プロジェクトマネジメント」 と 「プロダクトマネジメント」 の違い。プロダクトマネージャー (PM) の役割
今回は、ビジネスでのマネジメントについてです。
具体的には、「プロジェクトマネジメント」 と、プロダクト開発や運用をする 「プロダクトマネジメント」 の違いを書いています。
マネジメントとは何か
今回取り上げる本は、エンジニアリング組織論への招待 - 不確実性に向き合う思考と組織のリファクタリング (広木大地) です。
この本には、マネジメントは次のように書かれています。
対象となる ○○ の資源・資産・リスクを管理し、効果を最大化する手法。
私が考えるマネジメントとは、制約がある中でなんとかやりくりをして、効果や成果を最大化させることです。
マネジメントは単に管理すればよいのではありません。
こちらを立てればあちらが立たないという難しい制約の下で、予測できない不確実性 (リスク) に対して常に最適解を見い出しながら、目的を達成することになります。
プロジェクトマネジメントとプロダクトマネジメントの違い
エンジニアリング組織論への招待 には続けて、「プロジェクトマネジメント」 と 「プロダクトマネジメント」 の役割の違いが書かれています。
本質的な違いはマネジメントする対象が異なります。
プロジェクトマネジメント (Project Management)
・目的:プロジェクトを成功させ、終わらせること
・失敗要因:プロジェクト納期を超過するなど終わらないことがプロジェクトの失敗
・マネジメント対象:プロジェクトマネジメントの対象は 「スケジュール」 。スケジュールの不確実性を下げるためにやりくりをする
プロダクトマネジメント (Product Management)
・目的:プロダクトが顧客やユーザーに使い続けられること。プロダクトを終わらせないこと
・失敗要因:プロダクトが使われなくなり終わってしまうことが失敗
・マネジメント対象:プロダクトマネジメントの対象は 「マーケット」 。ユーザーに受け入れられず市場性がなくならないよう、マーケットの不確実性を下げるためにやりくりをする
プロジェクトマネージャーはスケジュールをマネジメントする、プロダクトマネージャーはマーケットをマネジメントするという本質的な違いです。
プロダクトマネージャー (PM) の役割を深掘り
プロダクトマネージャー (PM) の役割から、プロダクトマネジメントについてさらに考えてみます。
私は現在 (2019年10月) 、フリーランスでいくつかのベンチャー企業と直接契約し、経営や事業支援をしています。その中の1つに、プロダクト開発を統括する PM をがあります。
私が考える PM の役割は、次の3つです。
PM の役割
・プロダクトに市場性があるか、プロダクトをなぜ開発し運用するか、ユーザーのどんな問題を解決するかを提示する [Why]
・設定した目的に対して、開発または運用するプロダクトを定義する [What]
・ユーザーとの対話や観察からフィードバックを得て、開発に活かす [Who と How]
先ほど書いた、プロダクトマネジメントの意味合いに当てはめてみます。
マーケットの不確実性を下げるとは、3つの役割のうち以下の不確実性を下げるということです。
マーケットの不確実性を下げる
・Why である市場性やプロダクトの目的
・What である目的に対するプロダクト定義
Why と What の不確実性を下げるために、Who と How の役割があります。つまり、ユーザーとの対話や観察を通して、プロダクトの目的や定義を定め、開発を主導します。
半歩先を行く伴走者
ユーザーとの対話で1つ補足です。
顧客やユーザーのインタビューやヒアリングの対話で、相手が言うことの全てを取り入れる必要は必ずしもありません。
不満や要望は共感し、理解をして一度受け止めますが、実際にプロダクトに反映するかどうかは PM の見極めが大事です。
私が目指したいのは、ユーザーの半歩から3歩ほど先を行く伴走をするパートナーになることです。ユーザーの後を追随するのではなく、少し先の世界観を示し、価値を提供する存在です。
まとめ
今回は、マネジメントについて、そしてプロジェクトマネジメントとプロダクトマネジメントの違いを考えました。
最後にまとめです。
マネジメントとは、こちらを立てればあちらが立たないという難しい制約がある中で、なんとかやりくりをして、最適解を見い出し目的を達成する。
プロジェクトマネージャーは 「スケジュール」 をマネジメントする、プロダクトマネージャー (PM) は 「マーケット」 をマネジメントする。不確実性を下げる対象に本質的な違いがある。
PM の役割は、ユーザーとの対話や観察を通してプロダクトの目的や定義を定め、開発を主導する。ユーザーの半歩先を行く伴走者でありたい。
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