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成果に直結する 「仮説提案営業」 実践講座 (城野えん) 。初回商談で心をつかむ新規営業の極意

ご紹介したい本は、成果に直結する 「仮説提案営業」 実践講座 (城野えん) です。


本書の概要

この本は、BtoB (Buisiness to Business 法人向けビジネス) で、新規のお客さんを獲得する営業方法を解説しています。

仮説の立て方、資料の作成、テレアポやメールでのコンタクト、商談へのつなげ方、オンライン商談などを、どれも具体的でわかりやすく書かれています。

営業のアプローチは、初回の商談前からあらかじめお客さんの課題への仮説をつくります。課題と解決策の仮説をセットで用意し、商談相手に提案します。これが本書のタイトルにもある 「仮説提案営業」 です。

「仮説提案営業」 とは

仮説提案営業は、見込み顧客が明確なニーズをまだ持っていなく、先方からの引き合いがない中で、初回からそのお客さんに絞った課題提案を行う営業方法です。

そこで必要になるのは、売る側からの能動的なアクションです。お客さんからの直接のヒアリングがない状況で、提案を仮説でつくっていくわけです。

ポイントは、仮説提案の中身は間違っていてもよいことです。大事なのは、仮説提案から相手に課題への気づきを与え、担当者に 「初回からここまでの提案をしてくれた」 という驚きや共感を生み、信頼をつくることです。

新規営業での 「必要性訴求」

一般的な営業では、お客さんに対して自社の製品のスペックや機能などの詳しい仕様説明を行い、お客さんに買ってもらうアプローチをとるでしょう。

しかしこの方法が有効になるのは前提があります。

市場が伸びていたり、すでにお客さんの中でニーズが顕在化し、問題解決やビジネスを成長させるためにどんな製品が必要かが相手の中でわかっている状況においてです。この前提が成り立っていれば、何もしなくても複数方面から自社製品の引き合いが来るでしょう。

しかし、本書で想定している新規のお客さんに対して、見込み客がまだ特定の製品への明確なニーズを持っていない場合は、同じやり方をしても成果は上がりません。というのは、なぜその製品にお金を払い、自分たちが導入する必要があるのかという 「必要性を認識してもらうこと」 から始めないといけないからです。

ここに、相手に買ってほしい商品・サービスへの 「必要性訴求」 の重要性があります。必要性を訴求するという、提案した課題が重要だと相手に認識され、提案を聞く必要があると思ってもらえる働きかけをまずは行うことが大事なのです。

そこで本書が提示するのが、各顧客に合わせた 「個別の仮説提案」 です。まだ明確なニーズがないお客さんに対しては、商品の詳細情報よりも 「なぜこの商品が必要なのか」 からきちんと体系立てて説明することが大切です。

初回の商談では必要性訴求に集中し、商品説明は最小限に抑えるべきです。

初回商談では商品の詳しい話はほとんどする必要はなく、お客さんが気づいていなかった重要課題を一緒に見つけ、解決をする意欲を高めることに集中します。解決策として自社製品への必要性訴求が 9 割、商品説明を 1 割にしても案件化することは可能なのです。

仮説提案営業での心がまえ

仮説提案営業での姿勢として大事なのは、相手のことをどれだけ本気で考えられるか、その本気度をいかにお客さんに伝えられるかです。

そもそも相手のことを本気で考えていないと、お客さんの心に響く仮説提案はつくれません。また、本気で考えていたとしても、資料やトークで相手にアピールできなければ伝わらないでしょう。

伝わらなければ、お客さんからの共感や納得を得ることができず、商談を前に進めることができません。

仮説提案営業の進め方

では、仮説提案営業をどのように進めていくかを見ていきましょう。

提案の全体像

仮説提案営業は、次のプロセスで行います。

✓ 仮説提案営業の進め方

  • 提案対象のクライアントを特定し決める

  • 公開情報や自社の社内情報からクライアントの課題を仮説でつくる

  • 課題は ① 業界レベル、② 企業、③ 所属部、④ 担当者の課題という順番に落としていく

  • 課題仮説に対して自社商品がソリューションとなる解決仮説をつくる。So what で要するにどういうことかを掘り下げ、顧客課題と商品をストーリーでつなげる

仮説となる課題は、提案するお客さん固有のものになっているかがポイントです。というのも、業界全体に当てはまる一般的な話では必要性を感じてもらえないからです。

その企業の課題だけではなく、提案する先の部署レベルの課題、さらには、提案相手である担当者やその上司が抱えているであろう課題のレイヤーまで掘り下げるといいです。

仮説提案営業では、一般的な 5W2H (Why, What, Who, Where, When, How, How much) のフレームワークではなく、「Why? × 4W + 2H」 というフレームを使います。

✓ Why? × 4W + 2H のフレームワーク

  • Why × What (なぜこの商品が必要なのか)

  • Why × Who (なぜ自分たちは導入すべきなのか)

  • Why × When (なぜこのタイミングなのか)

  • Why × Where (なぜこの領域で重要なのか)

  • How (どうなる?)

  • How much (いくらで)

商談を獲得するテレアポやメール

商談の獲得は、仮説提案営業の成否に直接関わるステップです。

ここでは主な手法として、テレアポ (電話による商談アポイントメント取得) とメールを見ていきましょう。

■ テレアポ

仮説提案営業においてテレアポの位置づけは、アポイントの目的を 「自社の製品紹介」 ではなく 「他社の取り組み紹介」 とするのが効果的です。

商談相手は、まだこちらの製品への興味関心はなく、そもそもの課題感が顕在化していない状態です。こうした相手には他社や業界事例など 「聞いておきたい」 と思ってもらうテーマで、会う時間を作ってもらうことをお願いします。

■ メール

メールで商談のアポを取る際のポイントは、次の通りです。

  • メールでも同じで、製品紹介ではなく他社の取り組みを紹介したいと伝える。相手にとって会うメリットを強調する

  • 製品に触れても、詳しい情報は記載しない

  • 候補日をこちらから提示する。「候補日を頂けますか」 とお願いするのではなく 「ミーティングをセットしたいのですが、以下の日時ではご都合はいかがでしょうか」 とし相手が日程調整を行いやすくする

メールの文面例は、以下のようになります。

件名: 他社の成功事例レポートのご紹介

○○ 様
いつもお世話になっております。□□ と申します。

弊社では現在、△△ 業界における最新の成功事例や今後のトレンド予測の情報をまとめたレポートを作成しております。レポートは貴社にとっても有益かと存じます。

そこで、よろしければ少しだけお時間をいただき、ご紹介する場をいただけると幸いです。

以下のいずれかの日時でお会いすることは可能でしょうか?

・〇月〇日 (月) 午後3時 ~
・〇月〇日 (火) 午後4時 ~
・〇月〇日 (水) 午前11時 ~

ご都合がよろしければ、お知らせいただけますと幸いです。

何卒よろしくお願いいたします。

□□ (署名)

初回商談では信頼を獲得する

初回商談においては、仮説提案営業を行う主な目的は 「お客さんからの信頼を獲得すること」 です。初回商談から 「仮説提案」 をいきなり持っていくことで、見込み客からの信頼を獲得することができるでしょう。

商談の場では一方的なプレゼンで相手を 「説得」 しようとするのではなく、双方向コミュニケーションを通してお客さんに新たな気づきを与えつつ、「共感」 と 「納得」 をしてもらいながら信頼関係を構築することが大事です。

そのためには、こちらが事前に準備した仮説としての顧客課題と解決策をセットで提案し、自分たちの仮説が実際のところはどうなのかを商談で検証します。お客さんから 「なるほど、確かにそうかもしれない」 という共感や気づきを生むことができれば、必要性が認識されニーズが顕在化するのです。

まとめ

今回は、書籍成果に直結する 「仮説提案営業」 実践講座 (城野えん)を取り上げ、学べることを見てきました。


最後にポイントをまとめておきます。

  • 仮説提案営業: 特に新規の顧客獲得に効果的。見込み顧客がまだ明確なニーズを持っていない状況で、そうだと気づけば重要かつ緊急度が高くなるであろう課題と解決策への仮説を提案する

  • 必要性訴求: 初回商談では自社商品の詳細よりも、なぜ必要なのかを説明する 「必要性訴求」 に重点を置く。お客さんはまだ気づいていない課題を認識し、解決策として提案したい商品を必要だと思ってもらう

  • 本気度と信頼獲得: 仮説提案営業を成功させるには、相手のことを真剣に考え、本気度をいかに伝えられるかが重要。その姿勢がお客さんからの共感や納得感、そして信頼を得ることにつながる

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