「世界で一番やさしい会議の教科書 実践編 」 からファシリテーションを学ぶ
今回は、会議についてです。
世界で一番やさしい会議の教科書 実践編 という本から、ファシリテーションを解説しています。
ファシリテーションとは
本書では、ファシリテーションとはゴールを達成するために、人々の能力を最大限に引き出す技術とします。
ファシリテーションにより、会議の参加者同士が自然に意見を発言し対話が促され、合意形成できる環境がつくられます。
本書で紹介されているファシリテーションのやり方の一つ一つは、決して難しくはありません。特殊な才能は不要です。方法を知っているか、やるべきことをきっちりやっているかどうかです。
ファシリテーションが必要な理由は、もしファシリテートがされない会議を考えると、なぜ求められるのかがわかります。
ファシリテーションがない会議では、参加者は以下についてわからない状態になります。
ファシリテーションがない会議では
・なぜこの会議をしているのか
・どんな発言をすればいいのか
・いつ終わるのか。終わるために何をどこまで決めればいいのか
がわからない…
適切なファシリテーションがあれば、参加者は自ら発言をするなど自律的に行動し、対話と合意形成ができます。
ファシリテーションの基本スキル (8つ)
本書では、ファシリテーションの8つの基本動作が紹介されています。
ファシリテーションの基本スキル
・会議前に準備をする
・始前に会議の終了条件を確認する
・開始前に時間配分を確認する
・会議中に議論を可視化する
・会議中に全員から主張を引き出す
・会議中に対話を促し合意形成をする
・会議終了時に決まったこととやるべきことを確認する
・会議後に振り返りをする
以下、それぞれについて順に解説していきます。
[基本スキル 1] 会議前に準備をする
会議は 「準備が8割」 です。
会議の準備は4つの P で整理をします。
4つの P での会議準備
・Purpose: 目的とゴール (目的の達成地点) を設定する。何のための会議かを明確にする
・People: 参加者を決める。参加してほしい人は誰か、誰と議論すべきか
・Process: 議題は何か、時間配分はどれくらいか。各議題に対してシナリオをつくる (どう進めたらスムーズに議論できるか)
・Property: 必要な資料、会議室、ホワイトボードやパソコン画面の投影器材があるかなど、議論をするために必要なものは何か
注意点は、事前に準備した内容に沿って行なうことにこだわりすぎないことです。
大事なのは、議題ごとのシナリオを事前に考えるプロセスです。会議のシミュレーションがあらかじめできていれば、会議中の不測の事態にも対応しやすくなります。
[基本スキル 2] 開始前に会議の終了条件を確認する
会議の始め方は重要です。最初に認識を揃えられれば、参加者も同じ方向のゴールに向かって進むことができます。
会議の本題に入る前に「終了条件」を確認します。
終了条件とは、例えば「xxx を議論する」であればその結果にどういう状態になっていればよいかのゴールイメージです。終了したことが判断しやすい表現にします。
終了条件が明確になっていなければ、議題に入らないくらいに考えたほうがよいです。
[基本スキル 3] 開始前に時間配分を確認する
終了条件とともに、会議の時間配分を確認します。どの議題にどれくらい時間をかけて議論するかです。
[基本スキル 4] 会議中に議論を可視化する
ホワイトボードなど、参加者が見えるところに以下を書いて可視化します。
ホワイトボードで可視化すること
・問い (論点) と仮説や答え
・出たアイデアや問題点など、整理されていなくても書いておく
・決まったこと、やるべきこと
ポイントだと思ったのは、うまく書こうと思わなくてよいことです。
話すスピードが早くて書くのが追いつかなければ待ってもらう、難しくて言語化・図解ができなければ堂々と確認することです。
書けない原因は、ファシリテーターである自分よりも、発言者の発言が整理されていないこともあります。うまく書けないことを伝え確認することによって、内容が整理されます。
[基本スキル 5] 会議中に全員から主張を引き出す
わざわざ集まり会議を行なう価値は、より多くのアイデアや意見を出し合い、最終的にはもともとの A 案か B 案かではなく、より良い第三の C 案を見つけることです。
参加者から発言を引き出す
・ファシリテーターは、発言者が「意見を言ってよかった」「次も発言しよう」と思えるような対応をする
・具体的には、発言に対して肯定し、共感、感謝をする。相手が言ったことをオウム返しをする
・深掘りする3つの質問
1. 具体的には?
2. なぜそう思うのですか?
3. 他にはありますか?
[基本スキル 6] 会議中に対話を促し合意形成をする
発言が引き出せたら、次は参加者同士の対話を促します。単に参加者の発言が増えるだけでは十分ではありません。意見と意見がぶつかり合い、相乗効果を生み出すためです。
対話を促す
・質問や意見が出たら他の人に振る。これができれば議論が活性化された状態になる
・必ずしもファシリテーターが全てに答える必要はない。むしろ答えるのを我慢し、別の参加者に振ったほうがよい
・対話を促す時には 「氷山の下」 を意識する。氷山の下とは、意見や発言の裏にある考え方や価値観、何に期待したり懸念を抱いているかの本音
[基本スキル 7] 会議終了時に決まったこと・やるべきことを確認する
会議の終了直前のクロージングに、決まったこととやるべきことを参加者で確認します。
クロージング
・やるべきことは、担当者と期限をセットで確認する (何を・誰が・いつまでに)
・会議の流れをダイジェストで振り返る。例: 「今日の会議は現状の認識合わせ、問題点を洗い出しました。解決策の A 案は効果が疑問視されたので、もう一つの B 案に A 案の良いところを加えた C 案で合意しました」
・決まらなかったことを確認する。次回の会議に持ち越す継続論点など
[基本スキル 8] 会議後に振り返りをする
次の会議をより良いものにするために、会議終了後に簡単に会議を振り返ります。
会議の振り返り
・参加者の率直な感想を確認する。会議の品質は良かったかどうか
・良かった点を言語化し、再現性を高める
・悪かった点を把握し、改善方法を模索する
大事なことは、悪かった点をざっくばらんに言い合える雰囲気にできるかです。
効果的な言い回しは、「むしろ悪かった点を多めに頼むよ」 「あえて悪い点を1つだけ挙げると、何かな」 です。「あえて」 という一言が、ネガティブなフィードバックに対する心理的なハードルを下げてくれます。
まとめ
今回は、会議についてでした。
最後に、記事のまとめです。
ファシリテーションとは
・ゴールを達成するために、人々の能力を最大限に引き出す技術
・ファシリテーションにより、会議の参加者同士が自然に意見を発言し対話が促され、合意形成できる環境がつくられる
ファシリテーションがない会議
・なぜこの会議をしているのか
・どんな発言をすればいいのか
・いつ終わるのか。終わるために何をどこまで決めればいいのか
がわからない
ファシリテーションの基本スキル
・会議前に準備をする
・開始前に会議の終了条件を確認する
・開始前に時間配分を確認する
・会議中に議論を可視化する
・会議中に全員から主張を引き出す
・会議中に対話を促し合意形成をする
・会議終了時に決まったこととやるべきことを確認する
・会議後に振り返りをする
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