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シリコンバレー銀行破綻は他の銀行に波及する?

注意 これを執筆したのは3/11。アップロードされた13日までにはFRBがシリコンバレー銀行の預金を全額保証すると発表した後、1100億ドルの資産を保有していたニューヨークのシグネチャー銀行が倒産。この記事で予測したシナリオ開始は少し早まる可能性があるかも。

シリコンバレー銀行の破綻で世界中の銀行の株価が暴落した。日経はこれについて詳しい記事が多いが、この記事では「他の銀行の財務は健全で単なるパニック売りで株価が下落しただけ」だという市場関係者のコメントを掲載している。しかし、本当にそうだろうか?
そもそも銀行の財務は健全なのだろうか?利上げはローンの収益増加を招くが、一方で保有している株式や債権の価値の減損をもたらす可能性がある。株式や債権の減損は自己資本比率の低下を招くため、利上げのペースによっては銀行の財務基盤の脆弱化を引き起こす可能性もある。
そして過去10年間で高金利の法人向けローンや不動産ローンが急増したことにも注視する必要がある。不動産価格は絶賛下落中だし、高金利の法人向けローンは金利上昇で借り換え時の問題に直面する可能性がある。
僕の考えはこうだ。世界中の金融機関の大半が目に見えないリスクを抱えている。そしてまだこれは表面化していない。不動産や債権、株価の下落がさらなる問題を引き起こすこともありうる。実際90年代の日本の金融機関のメルトダウンは地方銀行の倒産から始まったが、最終的には都市銀行や大手証券会社の倒産を引き起こし、その結果外資系金融機関の資本注入や国内でのM&Aによる業界再編を招いた。これがアメリカで起こるとしたらかなり大変なことになる。しかしインフレ率がこのまま高止まりするのであればFRBは利上げをするほかない。そうなると景気悪化を引き起こすことになる。もっともこの問題が表面化するレベルまで悪化するにはもう少し時間が必要だ。仮にFRBの利上げペースが低下しない、そして株価が下がるという僕のメインシナリオが当たるとすると、アメリカの金融機関全体の信用や流動性の懸念が本格的に顕在化するのは今年の8-10月頃。果たして予測は当たるだろうか?


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