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【小説紹介📗】読書の秋に読みたい、中学生4人の〈究極の頭脳戦〉!

この秋に読むなら、この本で決まり!

一冊で最高におもしろい《完全無欠のだましあい》――角川つばさBOOKS『100億円求人』

つばさ文庫よりひとまわり大きい「単行本」サイズで発売しているこの本は、夏のおわりに決行する、あるとんでもない《ゲーム》の物語

この一冊で最高にワクワクできるから「読書の秋、一冊なにか読んでみたい」「ちょっと背のびした本にもチャレンジしたい」小中学生のみなさんにもオススメです!

書いたのは、人気スパイシリーズ『トップ・シークレット』の あんのまるさん

=本の情報=
タイトル:100億円求人
作:あんのまる 絵:moto
ISBN:9784041142257
出版社:KADOKAWA
判型:四六判
ページ数:234ページ
定価:1430円(本体1300円+税)
発行年月日:2024年02月07日

さあ、ページをひらく準備はできた?
この記事から、物語の冒頭をすぐ、ためし読み!
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この世界には、わからないことが、たくさんある。
そして、わからないほうが良いことも、たくさんある。
たとえば、伝説の武器商人、本郷武蔵が隠したかった真実とか。
まあ、ぼくの話は、だいたいテキトウだから、信じすぎないほうがいいけどね。


 満月が浮かぶ暗闇のなか。
 ハァッハァッ ハァッハァッ
 4つの小さな影が、古レンガに囲まれた道を駆け抜ける。
 その影の1つ――ぼくは、3人の仲間と逃げていた。
「どこだ! クソガキども!」
 背後から、男の怒鳴り声が響く。
 ぼくたちは一瞬だけ目を合わせて、吸う息すら押し殺して走りつづけた。
「よし、こっちに逃げよう」
 入り組んだ道の先を確認して、ぼくは3人に合図する。
「このままやと、見つかってまう!」
「ハァッ ぼ、僕、ハァッ もうむりっ」
「なんでこんなことになったんだよ」
 なんでこんなことになったか。
 それは、ぼくらがあるゲームをしたから。
 ぼくたちは、その勝負に勝った――はずだった。
「絶対に逃がさねえぞ!」
 男の足音が、すぐそばまで来てる。そのとき――
 ガッ 息絶え絶えだった仲間が、盛大に転んだ。
「ぐぇっ」
 その声に、背後の足音が、一瞬止まった。
 心臓が、ドクッと跳ねる。
 場所が、バレたんだ!
 仲間を立ち上がらせて、ぼくたちは全速力で角を曲がった。
 でも、その先は――行き止まり。
「両手を上げろ」
 ゆっくりと振り返れば、男が銃を構えていた。
 ぼくらは、逃げきれなかったんだ。
 両手を上げたぼくたちに、つきつけられたのは。
 銃弾ではなく――ガチャッ 
“首輪”だった。
「この軍用デバイスは、お前たちの位置も音声も、全てを監視する。このスイッチを入れたら、お前たちが100メートル以内に近づいた瞬間に、これは爆発する」
「「「「そんな!」」」」
 声をあげるぼくらに、リモコンをにぎった男は言った。
「100億円だ。100億円で、この首輪を外してやる」
 そして、男はするどい眼で笑った。

 

「お前たちは、絶対に、逃げられないからな」




1.100億円求人


 ― 4年後 ―
 はじめまして。
 最初に一言で自己紹介をするなら。
 ぼくは、自分を表すのに“ちょっと変わってる”って言葉を選ぶ。
 いまこれを読んでいるきみに知らせておきたいのは、ちょっと変わってるぼくの物語には、不思議な能力を使える石も、世界がおわりに近づく陰謀もないってこと。
 あるのは、うそつきなぼくらが、中学2年生の夏休みに、ある求人に参加する話だ。
 でも、面白さは保証する。
 だって、剣道部のただの14歳のぼくの首には。
“首輪”がある。
 24時間監視される、絶対に外せない枷(かせ)が。
 4年間、そんなものをつけてるぼくの話を、きみもきっと気に入ると思う。
 これからぼくの話をはじめる前に、もう1つ、2つ、自己紹介をしておきたい。
 ぼくの名前は、高橋勇誠(たかはし ゆうせい)。
 ぼくにはいわゆる、衝動的に行動してしまうところがある。
 スパァーンッ
 そう、いままさに、竹刀を振り下ろしたところなんだ。

「はぁ」
 夏休みの1日目が終わる、夕暮れどき。
 ため息をついたぼくは、小走りで住宅街を通り抜けた。
 だれも追いかけてこないってわかっていても、ぼくの歩幅は広くなる。
 剣道着や防具の入ったバッグと、布袋に入った竹刀が、何度も跳ねてぼくの背中にあたる。
「夏休み、もう部活には行けないな……」
 首についた枷が、いつもより苦しく感じて、ぼくはのどに手をあてた。
 ふいに思い出すのは、4年前の夏休みのこと。
「みんな、いま何してるかな……」
 一緒に過ごした3人とは、いまは連絡がとれない。
 あのとき、あの男から逃げきれていたら、いま、どんな生活を送れてたんだろう。
 ― 「100億円で、この首輪を外してやる」 ―
 ぼくらを捕まえた男は、4年前にそう言った。
「100億円かぁ、ほしいな」
 沈む間際の陽が、空を紫に染めるころ。
 ぼくが足を止めたのは、人気のない路地裏の先にある、廃工場。
「ここに来るの、ひさしぶりだなぁ」
 嫌なことがあったとき、家に帰りたくないとき、ぼくはここにやってくる。
 うす暗い工場内には、さびれた掲示板があって、いつ来ても新しい紙が貼ってあるんだ。
 多いときで10枚、少ないときでも3枚はある。
「今日は、4枚か」
 紙に書いてあるのは、“求人”だ。
 それも、ふつうのインターネット上や求人広告にはのってないようなもの。
 ちょっと変わってる不思議なお手伝いとかが多くて、おこづかい程度にしかならないものだ。
「この夏休み、部活に行かないで、家にも帰らなくていいのがあればいいな」
 ふと、ある1枚の紙が目にとまった。
 その求人内容を見て、ぼくは思わず笑い声を上げた。
 あの最高で最悪の夏休みから、4年。
「あっははっ 行こう」
 そこには【100億円求人】って書かれていた。

  こうしてぼくは、この夏、最高の逃げ道を見つけた。


【100億円求人情報】


集合日時:8月1日(土) 午前0:00 
集合場所:名古屋駅 バスターミナル
服装:ピアス・髪色・ネイル自由
内容:あるものを手にいれるかんたんなお仕事です
   経験者大歓迎・中学生もOK
   アットホームな職場です!
   ものづくりや情報収集、コミュニケーション能力や腕に自信のある人を募集中
実施期間:8月1日~8月30日(食事・宿つき)
報酬:100億円




そしてぼくは。
真夏の夜、【求人情報】に書かれた集合場所に向かう――……


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