メキシコで働いて、メキシコをまた好きになる
ひさびさに不妊治療以外のことを書きます。
もうすぐメキシコで働き始めて3年になるのですが、
最近「メキシコのこういうところが好きだなあ」とふと感じることが多くなった気がします。
メキシコのここが好き、ここが嫌い、というのは皆それぞれだと想像しますが、メキシコに限らず海外で生活される方々は多かれ少なかれ私と似たような経験をされているのかな、と思います。
元々海外が好きだったので、メキシコに来たばかりの時は毎日とても幸せに感じてました。長期間海外で過ごしたこともなかったので、海外生活におけるストレスや葛藤については微塵も考えていませんでした。
最初の数か月よくあったのは、
日本にいるときの嫌な瞬間(主に仕事)の夢を見ていて、突然目が覚める。
目が覚めたら、メキシコの家の天井が視界に映って思考停止。
「そうか、わたしはもうメキシコにいるのか…」と安堵。
でもメキシコでいざ働き始めたら、カルチャーショックというか、言語の問題は特に無いはずなのにメキシコ人たちの仕事への姿勢、怠惰さに心が折れてしまいました。
なんでこんなに無責任な人たちが多いんだろう、
なんで仕事をいかにサボることしか考えられないんだろう、
メキシコ人従業員が全員定時で帰ってしまった空っぽのオフィスで、
残された日本人上司と夜遅くまで仕事しながら泣きたくなることが何度もありました。
でも何だかんだ仕事を続けることができて、もうすぐ3年が経とうとしています。
キューブラロスの受容5段階みたいな感じ
否認 わたしの好きだったメキシコがこんな国のはずがない
怒り なんでこんな国民性なの?今すぐ帰国したい
取引 どうやったらメキシコで働きやすくなるのか…
抑鬱 だめだ。いますぐ退職したい
受容 メキシコはこんなもん、色々考えてもしゃーない
諦めがついたというか、メキシコ人は大体こんな感じだから期待しないようにしよう、と自然に思考を切り替えることができるようになりました。
何度も何度もリマインドしたり、なぜその業務が重要なのか、背景を逐一説明するように心がけています。
また、メキシコ人は後ろめたいことがあるとこちらの質問に答えずツラツラと話の経緯だけを説明する癖があることにも気づきました。
そういう時は何度も同じ質問をすると、本当のことを言ってくれます。
それと、私自身のメキシコ人従業員に対する理解も深まったと感じます。
多くの従業員は、会社企業に勤めたことが無い人たちです。
多分彼らのおじいさんもお父さんも、畑で期間限定で働いたり物売りをしていたので(もちろん女性はほとんど働いていない)、時間通りに会社に来るとか、欠勤するときは人事に電話するとか、報連相の重要性とかは私たちが教えてあげないといけません。
説明すると割と皆すんなり分かってくれて、時々忘れてしまうことはあっても基本的に素直な人たちが多いと感じます。
物分かりが良くて、挨拶がハキハキしていて、素直で人懐っこいところはメキシコ人の長所です。
ここまで「メキシコ人は~」と大きい主語で語ってしまいましたが、
仕事以外の部分ではずっとメキシコが大好きです。
この3年近くの間、色々な場所に旅行に行って思うのはメキシコは見どころが多く、「ブエナ・オンダ」(機嫌がよく愛想がいい)な人たちが多いことです。
コンビニでドアを開けたり、信号待ちしている時に車の窓ガラスを洗ったりして日銭を稼いでる人、物乞いの人たちなど皆生活は厳しいものと想像しますが、なぜか皆機嫌が良いのです。
挨拶をすると皆笑顔で「良い一日を」「神のご加護を」と返してくれます。
食事も、最初はどこの地域も似たり寄ったりと思いましたが、細かく見てみると日本のように地域ごとの特色があって楽しいものです。
日本のように出汁を取る文化が無いのか、とも思っていましたが多様な種類の唐辛子でサルサの味が変わるのは興味深いです。
メキシコに来て2年が経った時、わたしはメキシコが嫌いでした。
上司に相談してすぐ日本に帰りたいとも思っていました。
でもまたこうやってメキシコのことが好きになって、あの時帰国しないでよかったと心から思います。
もしかしたら今後も、3年くらいの周期で好き~嫌いを繰り返すことになるかもしれませんが、それはそれでしょうがない、今の感情を記録しておくことで、気持ちの整理がしやすくなるように出来たらと思います。
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