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【読書日記】『銀色のマーメイド』

幼いころ、私は自分のことを「ボク」と言っていた。幼稚園に通うようになって「アタシ」というようになっても、小学校高学年までは男の子になりたかった。といっても、いつのまにか女である自分を受け入れていたわけで。

生まれながらの性と心の不一致である「性同一性障害」。日本で、この言葉が広く知られるようになったのは、20年位前。きっとその前から、悩んだり、苦しんだりしている人はいたのだろう。

思春期の「性同一性障害」の悩みを取り上げた作品といえば、有名なのは『3年B組金八先生』。上戸彩が演じた鶴本直のように、『銀色のマーメイド』の主人公雪村襟香も、悩み、苦しんだのかもしれない。

襟香は、シャールという理解者や水泳部の仲間に受け入れられることで、救われるが、1人で闘っている人も少なくない。

この『銀色のマーメイド』は、今年の夏にハマった小説『マカン・マラン』の原点になった物語。『マカン・マラン』を読まなければ、手に取ることはなかった。

人は、性の悩みに限らず、色んな問題を抱えている。悩みがあるからこそ、生きていると言えるのかもしれない。

『銀色のマーメイド』と『マカン・マラン』は、そんなことに気付かされた本である。

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