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1000文字小説

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「完」のひと文字まで含めて本文ぴったり1000文字の小説です。タイトルの文字数は含んでいません。
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記事一覧

【1000文字小説】メッセージの受け止め方

 父は、何も言わずに背中だけを見せていた。  青いポロシャツを着て。  で?  何も言わな…

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【1000文字小説】泣く女・泣けない女の「泣けない女」

 お前さ。  と、彼氏は目の前で話しかけてくる。  レモンスカッシュを飲みながら、わたしは…

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【1000文字小説】泣く女・泣けない女の「泣く女」

 ちょっとしたことでも、泣けちゃうのよねえ。  彼女はそう言って、目の涙をぬぐった。  …

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【1000文字小説】知らない風景の中で

 この電車は、上石神井駅に向かっているのだ、と思っていた。  高校2年まで住んでいた家は、…

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【1000字小説】プレッシャーどうしよう

 急がなきゃ。  わかってはいるけど、今から家を出たところで、完璧に始業時間より2時間は…

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【1000文字小説】お局様さようなら

 文房具の販売店で、入荷の仕事をしている。  仕事は、女性の大先輩が教えてくれる。社内で…

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【1000文字小説】みいちゃんの思い出

 みいちゃん、どうしてるかなあ。  みいちゃんは、小学校のわたしのクラスメート。学校から帰るときはいつも一緒で、うちの近所の交差点で右と左にわかれて帰った。  学校からは、子供の足で15分くらいかかって遠かった。  土曜日も学校があって、お昼までで、給食もなかったから、帰りはものすごくお腹がすいた。  わたしは早く帰りたいのに、みいちゃんはわたしより背が低くて歩くのが遅かった。おなかがすいてる土曜日は、すごくいらいらした。  一度、みいちゃんが途中でお腹が痛いといいだしたこと

【1000文字小説】川沿いを歩く

 橋から川底まで、コンクリで両側は固められている。水の深さは大人のひざあたり。川岸には、…

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【1000文字小説】段取リーナのきゅん

 尊敬と冷やかしの思いを込めて、職場の人はわたしのことを「段取リーナ」と呼ぶ。  はじめ…

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【1000文字小説】片付け大魔王とコーヒーカップ

 誰にでもこだわりはあるっていうお話。  わたしは、おせっかいが過ぎて仕事を辞める羽目に…

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【1000文字小説】ごめんねテニスコート

 ぱあーん。  ラケットが白いボールを勢いよく打った音が響く。  ボールは、コートを大きく…

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【1000文字小説】おしゃれなあなた

 昼間、人の移動が少なそうな時間を選んで電車に乗って隣の市のスーパーにでかけた帰り道。 …

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【1000文字小説】恋の一方通行

 感染予防のために、飲食店だけでなく人がたくさん集まる場所は変化している。  ひさしぶり…

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【1000文字小説】こども食いの人

 今日はハンバーグの気分だ、と、彼女は久しぶりにファミレスのフタタビヤに行った。  感染対策で、注文は指定の用紙に記入して店員に渡す方式に。 「鉄板が熱くなっておりますので、お気をつけくださいませ。どうぞごゆっくり」  運ばれてきたハンバーグは、じゅうじゅう音を立てている。  ハンバーグの上には、玉ねぎベースの野菜ソースがたっぷり。  とろとろのデミグラスソースが添えてある。  あつあつで、すぐに食べたらはふはふでうまうまに決まってる。  つけ合わせは、四角いころころのポテト