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ネイチャーフィールドnote

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2020年9月の記事一覧

里山大百科「秋」ニホンミツバチ

ミツバチといえば、養蜂で使うセイヨウミツバチを思い起こす人のほうが多い。 セイヨウミツバチは明治時代にヨーロッパから導入された外来種だが、一方、古来から日本に土着しているニホンミツバチがいる。 ニホンミツバチは、セイヨウミツバチとはかなり習性が異なり、都会への進出もあってその生態が注目されている。 ▲木のウロの自然巣/埼玉県所沢市(新開孝・撮影) 働きバチの大群が巣盤をびっしりおおい隠している。ニホンミツバチの本来の巣場所は、森のさまざまな木にできたウロである。それも

里山大百科「秋」秋の七草

万葉の昔から秋の七草とされているのが、ハギ、ススキ、クズ、ナデシコ、オミナエシ、フジバカマ、キキョウである。 山上憶良の歌が元だとも、日本人が秋を好んだ表れともいわれる。 しかし、このうちオミナエシ、フジバカマは野生のものが少なくなってしまった。 秋の野辺でいにしえの風趣をたどってみようと思い立っても、かなりの苦労を伴うのは間違いない。 ▲オミナエシ/山梨県小淵沢(藤丸篤夫・撮影) 「女郎花」とも書くが、やさしい感じの姿形から付けられたという。根は利尿剤として用いら

里山大百科「秋」ヒガンバナ

9月下旬のお彼岸のころ、田んぼの畦道や河川の土手を赤く染めるヒガンバナ。 曼殊沙華ともいわれるこの花が咲き揃い始めると、秋の到来を感じる。 花のころには葉がまったく見られないので奇妙な感じを受けるが、冬から春にかけて綿形の葉を多数伸ばしている。 花が終わり葉だけになった冬緑(とうりょく)のヒガンバナは、光合成をフル稼働させ、地下の鱗茎(りんけい)に同化物、デンプンを蓄える。 ▲棚田の斜面に咲くヒガンバナ/愛媛県松山市(新開孝・撮影) ▲ヒガンバナの蜜を吸うアゲハ/愛

里山大百科「秋」うつろいゆく季節

里山の秋 秋はいつ始まりいつ終わるのか、定かではない。 ただ、豊穣をもたらす季節であることは間違いない。 そこここで人々の祭りが華やぐなか、木々や草花それぞれに派手な幕引きを行う。 にぎやかさと寂しさが渾然と入りまじる季節だ。 ▲彼岸花が並ぶ棚田/愛媛県松山市(新開孝・撮影) ▲オンブバッタ/神奈川県厚木市(新開孝・撮影) ▲谷津田の秋の風物詩、はざかけ作業が始まった。/神奈川県川崎市(新開孝・撮影) 唱歌が聴こえてきそうな里山の秋。 燃えるような夕焼けの中で

トレイルカメラは見た!第2話「森で尽きた命巡る物語」

息絶えた鹿を見つける 木々の葉がすっかり落ちた、冬のある日の出来事。森の中で、横たわる一頭の鹿を見つけた。 鹿は息絶えていた。生を全うし、あとはこのまま土に還るのを待つばかりかーー静かな森の中、鹿の死を想い、少し寂しい気持ちになる。 鹿の死骸をよく見ると、何かに食べられた跡がある。動物の仕業だろうか。 いったいどんな動物が来ているのだろう。自然の中で尽きた命はどうやって朽ちていくのだろう・・・。トレイルカメラを置き、観察することにした。 ▲地主の許可を得てトレイルカ