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法テラス、必要ですか?

※弁護士の酒井将先生に「法テラス運営予算は一桁ズレている」とご指摘をいただきました。正しくは324億円です。お詫びして訂正します。

2023年3月26日追記

毎日暑い日が続きますが、皆さまいかがお過ごしでしょうか。海石榴(つばき)です。今日は、法テラスでお世話になった弁護士の方にご登場いただき、わたしの法テラス改革案をご説明したいと思います。

Tさん:法テラスの窓口でご担当いただいた弁護士の方(多くの弁護士の方とのお話を織り交ぜて構成しています)。

Tさん:本日はどんなご相談でいらっしゃいましたか?

わたし:その件についてはちょっと省略させていただくとして、「資産要件と収入要件を満たした社会的弱者だから」という理由で、無料で弁護士さんにご相談できるって素晴らしい制度(*1)ですね!

Tさん:(困惑した顔で)そ、そうですね。ふだんは法律事務所で仕事をしているのですが、(法テラスの)登録弁護士として持ち回りでこちらの仕事をしています

わたし:「法テラスに登録」ということは、法テラス業務は任意なんですね?

Tさん:一応任意ということになっているそうですが、新人のうちは多くの方が登録しているのではないでしょうか。なにより経験を積めますし。

わたし:たいへん失礼なことをお聞きするのですが、事務所と法テラスでT先生の報酬額は違うのですか?

Tさん:ふだん仕事をしている事務所の報酬体系の方が高いですね。法テラスは「社会的弱者に包装サービスを提供する」という社会的意義から、市場価格より低めに設定されています

わたし:たいへんありがたいことですが、法テラスには民業圧迫の声が上がっていることをご存知でしょうか(*2)。法務省は、法テラスの運営費用として今年度324億円を計上(*3)していますが、例えば、いま急成長中の電子コミックの市場規模(2020年)(*4)と比較してみて、規模にその驚いてしまいました。

Tさん:え!そんなにかかってるんですか!

わたし:ここ(法テラス新宿)も、交通の弁のよい立派なビルですものね。利用者にとっての利便性はそのままに、いろいろな事務所がそれぞれの報酬体系で仕事を受ける出張オフィスにするのはいかがでしょうか

Tさん:法的弱者保護という法テラス制度の目的は・・・

わたし:法テラスに限らず、国や自治体が”どんな人が社会的弱者に該当するか”基準を決める時代ではないと思います。ましてや、制度存続を理由に、自らの貴重な労働資源を安上がりに利用される筋合いはありません

(犯罪被害など特別な事情を除けば)もはや社会的”強者”と”弱者”は表裏一体であり、制度運営のために何らかの基準を設けることによる弊害の方が大きい(*5)。透明度の高い社会的相互扶助の財源を用意し、そこから”自己申告で”利用できるようにすれば良いのではないでしょうか。法律サービスだけではなく、いろいろな用途が考えられますよね。

詳しくはまた、別の機会にお話ししたいと思います。

(*1) 法テラスは2006年に「総合法律支援構想」として始まった制度で、利用に際しては①勝訴の見込み、②利用者の資力(目安は国民の世帯収入の下から20%を想定)及び③扶助の趣旨に適するか否かの要件を満たす必要があります。 https://liberte-egalite.bengo-shi.com/pdf/book_terai_record.pdf
(*2) FLASH 「法テラスの “過剰広告” に弁護士から疑問の声『税金で運営しているのに価格破壊起こすな』」
https://news.yahoo.co.jp/articles/2777b92e0ab40ef8ff536876ac412f3cac89fcab
(*3) 法務省予算資料より https://www.moj.go.jp/content/001369831.pdf
(*4) 公益社団法人全国出版協会・出版科学研究所の調査より。
https://hon.jp/news/1.0/0/32771
(*5) 例えば、「仕事を失ったために自由になる時間はあるがお金はない」人だけが弱者でしょうか。「仕事があって十分な収入もあるが、自分の自由になる時間がない」人も十分弱者ではありませんか。「(”みなし”や”準”を含む)公務員による定時勤務」を前提とした現行の法テラスでは、後者の法務サービスへのアクセスは依然改善されないままとなってしまいます。そうであるならば、できるだけ民間の創意工夫にバウチャー支援を図る方が望ましい。考案者にとっての「社会的弱者」の定義が偏っているために、社会全体の不公平感が高まっているように思います(制度存続に都合の良い「弱者」だけが救済される「恣意的な弱者」問題)。


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