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人種差別や多様性について考えさせる女性向けの小説

【最近読んだ本を紹介します】
★racism and diversityについて考えさせる小説
~"All We Ever Wanted" by Emily Giffin~
https://amzn.to/2ODXrmV

…この作家の小説を私は良く読みます。中でも"Something Blue"が一番好きです。Emily Giffin は"Chicklit"(女性が恋愛や仕事で頑張る小説ジャンル)の人気作家ですが、この"All We Ever Wanted"は割と社会派でした。

 主人公Lylaは、ブラジル人の母と、白人の父を持ち、名門私立高校に通う女子高生。周囲にHispanicと言われることもありますが、本人は自分はMuratoまたはLatinoで、(※Hispanicはスペイン語を母語とする移民を指すため)、生まれ育ちも国籍もアメリカだと誇りをもって主張します。

 ある時、Lylaはパーティーでお酒に酔いつぶれてしまいます。クラスメートの誰かが、気絶してセミヌードになった彼女を写真に撮り、人種差別的な字幕を付け、その写真をSnapchatで全校生徒に回す…という悪質ないたずらをします。何とも現代的で、ソーシャルメディアの恐ろしさを物語る事件です。

 アル中の母はLylaが5歳の時に家を出ており、single fatherとしてLylaを育てる父Tomは、昼は大工、夜はUberの運転手をしてLylaの高校の授業料を稼ぎ、立派に子育てしています。こういう働き方も「今の時代を象徴していて、進歩的でかっこいいな…」と私は感心しましたが、名門私立高校のsnobbishな保護者の中には、Tomの職業を「下賤の仕事」とか"He is a loser."などと言って、差別する下品な人もいます。

 一方、写真を撮った犯人として疑われるFinchは、お金持ち家庭出身の男子高生。Finchの母Ninaは"How can you be a cruel racist like that? This is not the way your father and I have raised you!"と涙を流します。(そんな風に育てた覚えはない!…日本語も英語も、親が子供を叱るフレーズは同じですね。)

 自分の最愛の息子に失望させられ、子育てを間違ったのか?…と自問自答しつつ、人生に立ちはだかった重い障壁から目をそらさず勇敢に立ち向かう、そんな強い母Ninaもまた魅力的に描かれています。

 あまり覚えたくありませんでしたが、この小説を読んで覚えた新しい言葉はhush moneyです。辞書は引いていませんが、意味はわかりました。 (口止め料、ですよね)

 LylaとNina、2人の女性の成長を描く爽やかな物語です。

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