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『両手にトカレフ』とても良い小説でした

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『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』でベストセラー作家となった、ブレイディみかこさんの小説。
読み始めるとページを捲る手が止まらなくなり、一気に読んでしまいました。

主人公の少女・ミアは、イギリスの貧困家庭出身の14歳。
読書と詩(ラップのリリック)を書くことが好きで、小さい弟のことをいつも一番に考えている、しっかり者の優しい女の子です。

しかし彼女1人の力では、アル中の母や、貧困や、大人達の性暴力と戦うことなど、到底不可能です。

何も悪いことをしていないミアのような若い子供達が、なぜこのような過酷な重荷を背負わなければいけないの?…と、読んでいて何度も胸が痛くなりました。(小説の形を取っていますが、これがイギリスの現実に限りなく近いのでしょう)

本当に残酷に人の心を蝕むのは、貧しさそのものでなく、「貧富の差」を見せつけらること。

すぐ目の前に幸せな世界があるのに、自分だけは、そこへ行くとが許されないと気づいた時の、絶望感かもしれない…と、やるせなくなりました。

(この下からネタバレあり、読みたくない人は読まないでください🙇‍♂️)

そんなミアの人生に光を差してくれる人たちも、もちろん描かれています。
彼女を気にかけてくれる、子ども食堂やソーシャルワーカーの人たち。さりげなく気を配ってくれるクラスメート。
(ソーシャルワーカーは、イギリスの人々に短くsocialと呼ばれているようです)

そして、芸術の力は、ステイタスも価値観も全く異なる人たちを、時空間を超えて繋げてくれます。

本を読み、そこに描かれた自分にそっくりな境遇の持ち主の、100年前の日本の女性に共感したり、
音楽の創作を通じて、全然違うタイプの男の子と、友達(ちょっぴり恋愛)関係になったり、
そういうことが、芸術の力で起こるのです。

ウィルとミアの関係の描き方は、
『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』に出て来た、「ティムに制服をあげる場面」を彷彿とさせました。

主人公の男の子(著者の息子さん)は、ただ親切な気持ちで、困っている友達の力になりたいだけ。
でも、もし彼に手を差し伸べたら、施し物をしたと受け取られて、彼の気持ちを傷つけてしまうかもしれない。
それが怖くて、ずっと悶々と考え続けました😢
この辺の葛藤については、昨年作った動画でも自分の思うことを話しました。

🔴私の書評YouTube動画『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』
https://youtu.be/vnd2-CRvT0k

ウィルは、ミアの音楽性に純粋な憧れと魅力を感じていますが、
「彼女に気まずい思いをさせたくない」
「褒め言葉のつもりでリアル(real)なんて言ったら、差別的だと思われないだろうか?」と、彼女の立場になって考えてしまうのです。

救う人と救われる人は、人間として対等なのに、救う側にいる人が傲慢な態度を取ることも、おかしいです。
それに気づいている、心の柔軟な人たちも、しっかり描かれています。

最後には希望があり、心に光が差すように感じました。
そして、本は人の心を救い、人生を変えるという無限の力を持つことを、改めて思い起こすことができました✨📕

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