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『新しい星』彩瀬まる 良かったです!

直木賞候補の『新しい星』(彩瀬まる)を読みました。
最後にじんわりと希望があふれてくる、温かい小説でした。
本のリンクはこちら。

『新しい星』(彩瀬まる)
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主人公は4人いて、皆40代の大人。
彼らは大学時代、同じ合気道部の部員でした。

流産で娘を亡くした青子。
癌になってしまった茅乃。
会社のパワハラで傷ついて、1年も引き込もっていた玄也。
コロナのせいで、出産で実家に帰省した妻に会えず、離婚の危機を迎える卓馬。

茅乃の入院をきっかけに4人は久しぶりに再会し、
共に合気道の練習に出ます。
そして、自分の抱えている心の傷を、少しずつ打ち明けていきます。

自分自身が人生で痛みに直面しているからこそ、
4人は友達の痛みを、ちゃんと受けとめることができます。
そういう意味で、人生で困難にあうことは、財産だと感じました。

また、昨年、合気道の道場に入門した私は、
小説の中に描かれた合気道の練習メニューの描写に
自分の道場との共通点を見出して、少し嬉しくなりました。

ところで、青子の職業は、英語塾の教師です。
授業で英語のクリスマスソングを教えてしまったため、
「公的な教育の場で、宗教的な歌を教えるのは、問題行為にあたる」
と上司に注意されるエピソードがありました。
(※このエピソードは、本筋とほとんど関係ないです)

生徒さんや保護者様からクレームが来たわけではなく、
上司から言われた、という点で、ちょっとおかしい気もします。
(私も先月、「きよしこの夜」の英語の歌を、
自分の塾で子供達と一緒に歌いました。
誰からも何も言われませんでしたが、こういう注意を受けることはあるのかもしれないな…と思いました)

1月19日に直木賞が発表されます。
個人的には、直木賞は『同志少女よ、敵を撃て』が受賞すると思います。
こちらは、面白くて徹夜で読んでしまって、読み切った後、呆然として何も手に付きませんでした。
でも、その次に読んだ『新しい星』も、じんわりとして、とてもあたたかい小説でした!






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