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Day17lいつかは消えてしまうけれど、いつも心の中にあるもの

しばらく空いてしまいました。
課題提出したので、また再開します。
というわけで、書く習慣17日目のお題は「あなたの1番大切なモノ」。

実はこのお題、前回書こうとしてろくな答えが思いつかず途方にくれていました。
普段は物欲まみれのくせに、「1番は?」と聞かれたらそうモノにこだわりがないことに気付いてしまった……

で考えがまとまらないまま、実家の様子を見に帰ったわけなんですが。
そこで「ふるさとだ」と思ったわけです。

田舎暮らしはラクじゃない

私は九州のとても小さな離島の生まれです。
18歳で島を出るまで、ずっとコンビニもない、交番もない田舎町で育ちました。
20代のときはなにもない田舎が嫌で、とにかく閉鎖的な島から出たくて都会に出られたことが嬉しかった。

島に残る昔ながらの風習や、頭の固い老人たちを煩わしいなと思っていました。
よく都会の人が田舎暮らしに憧れて、「田舎で暮らしたい」というのを耳にするけれど田舎は意外と甘くない。

・プライバシーの概念がない
・うわさ話は光より速い
・タダより高いものはない

私の地元でもこの考え方が理解できない移住者は、いつのまにか他所へと引っ越していった。

今でこそ少なくなったけれど、昔から隣のおじさんは勝手に入ってくるし、近所のお姉さんの出戻りの内情までみんな知ってるし、タダでなにかもらったら物々交換でなにか返すのは常識。

田舎では「みんな、言葉に出さないけど当たり前」みたいなことが意外と多い。
悪いことすれば、知らないおじさんに容赦なく怒られてたし。

大人になって変わったこと

正直20代半ばまでは、田舎に帰りたいとあまり思ったことがなかった。
口うるさい親戚がいて、親からは髪色が派手だと小言を言われ、煩わしいと思ってた。

それから10年。
母、祖母、祖父と亡くなったわが家はついに空き家となり、今や誰も住んでいない。隣のおじさんが好意で管理をしてくれているが、高齢のためいつまでも頼ってばかりもいられない。

人が住まない家の劣化はとても早くて、月1帰るくらいでは到底追いつかない。

数年のうちに実家は取り壊すことになるだろう。

驚くほどイヤ

「誰かに迷惑をかけないうちに実家を解こう」と妹たちと話していたのに、いざ具体的に手続きについて調べると、実家がなくなることにすごく抵抗を感じる。

わが家は実家のこと以外にもクリアにするべきことがたくさんあるので、簡単には解体までたどり着けない。
それでもいざ「家がなくなるかも」となったら、とにかく嫌だった。

どんなに家がボロくても、風呂場が寒くても、サッシが建て付け悪くて開け締めが大変でも。
やっぱりそこにあるだけで安心できるのが実家だと思う。

実家がなくなることより今を失うのが怖い

わが家にはもう誰も住んでいないけれど、帰れば声をかけてくれる人がいて「一緒にごはんでも食べよう」と気にかけてくれる人がいる。

子ども扱いしてくれる人がいることが嬉しいだけかもしれない。
そんな人達はこの先、どんどん減っていくだろう。

3年前に祖父が亡くなったとき「ただ自分を可愛がってくれる人はもういなくなってしまった」ことが心の底から悲しかった。

母が亡くなったときは泣き崩れる妹たちを前に最後まで泣けなかった私が、祖父の葬式でわんわん泣いた。
自分でもびっくりするくらい大声で泣いた。

祖父が亡くなる前「迷惑かけてばかりだから早くお迎えがきたらいいのに」とよく口にしていた。
そのたびに「じいちゃんは生きているだけで、心の支えなんだよ」と私は答えた。

葬式が終わって日常生活に戻ってから、言葉以上にそのことを大きく感じた。

幸いなことに、家族のように気にかけてくれる人たちのおかげで今もなんとかやっている。

家族以外に声をかけてくれる人がいることが心の底からありがたいと思った。

でもこの状況は永遠には続かない。
みんな少しずつ老いていく。
少しずつ去っていく。
できることなら、このあたたかな世界がずっと続いてほしい。

今できることを後悔しないように

私が望んでいる世界は段々と失われていくだろう。
それは止めようがなく、少しずつ今でも進み続けている。

ひとり残された94歳の祖母に会いに行った帰り道。
隣のおじさん、おばさんに「また帰ってくるよ」と家を出るとき。

小さくなった背中を見ては、これが最後かもしれないと思う。
昔に比べておぼつかなくなった足取りを見て、あと何回この時間を過ごせるか考えてしまう。

最後に交わした言葉を憶えていられるか、不安になる。

だから帰るたびに、これが最後になっても後悔しないように精一杯やる。
たくさん話して、顔を見て、私にできることをする。
大したことはできないけれど、今できることを精一杯に。

そして叶うなら周りのみんながなるだけ元気で長生きして欲しいと願う。
先日帰ったときも「100歳まででも長生きしてね!」とお願いしてきた。

今一番大切に思うモノ。
ふるさととそこに住むみんな。

正月も帰るからそれまでどうか元気で。

書く習慣17日目はここらでよかろかい。
では、また18日目の夜にお会いしましょう~。
最後まで読んでくれてありがとう。




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