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散文 僕

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僕の心の紡ぎ詩
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記事一覧

海を渡る

橋を渡る君の後ろ姿を見た気がした 後悔や未練といった類のものは何処にあるのか、それともそ…

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夕暮れどき、自転車を走らせていると 懐かしい草の匂いがした 草は短く刈られていて、そこから…

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行く先を決めずに電車に乗った 四人掛けの席には僕一人 一時間乗っても見知った景色の中で、海…

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明日は来ますか

凍てつく朝に 煌めく氷晶 透き通っている空気は どこか攻撃性を孕んでいて 僕は蹲って胸を掴ん…

リフレクション

柱に寄りかかって、冷たい木に頬を寄せる 甘い匂いがする 雨の日はとくに 湿気を含んだ空気に…

そこにいた過去

産まれたのは朝だった そこから、幾千もの夜を越えながら 呼吸を続けて僕は透明になろうとし…

記憶の淵

夕暮れの中に身を置いて ぼんやりと空を眺める 静かで、そして寂しい 思い出すのは 寂しいことや悲しいこと 黄昏に切なさを トワイライトに妖艶さを マジックアワーに高鳴りを 取り残されてゆく不安が 暗闇に吸い寄せられて 草の上で寝返りをうつ 湯船に泪を落としたら 朝が来るまで目を瞑る

夜の狭間

夜が僕を蝕むのではなく 僕が夜を蝕んでいる 穢れなき夜の 透けているはずの闇が 僕によって …

道標

いくら手を握っていても、爪から冷えてゆく いくら体を寄せ合っていても、皮膚から凍えてゆく …

幼さが故の傷つけ合いといえば、よくあることに聞こえるけれど 僕の傷も、誰かの傷も、どれ一…

誰の物語も続いていく

真夜中の埠頭にやってきて腰を下ろした 少し離れたところには釣り糸を垂らしているであろう人…