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風の歌

子どもの夏休みの課題図書であった村上春樹『風の歌を聴け』を読みました。これが、面白くてびっくり!

二十代の頃は、この主人公、周りを巡るだけで人にはまったくコミットしていないじゃない、といった困惑が強かった記憶があります。ところが歳をとったからか、今回は作品そのものが面白く、自身の変化に感心しました。

作中にはラジオのDJが出てくる場面もあり、いくつか作品を象徴する曲がかかります。現代はAlexaでも動画検索でも。聞きたいと思ったときにタイトルさえわかれば大抵の曲はその場で聞けるようになったので、本を読みながらこういった曲を聴けるのも嬉しいです。

ところどころ、あれ?この感じは、森博嗣の『スカイ・クロラ』っぽいな、後世の作家も影響を受けたのだろうな。という箇所や、もしかして、ロアルド・ダールの『ヒッチハイカー』に登場するねずみ顔の男の話、あれを読んだ後にでも書いたのかな?などと思われる部分も脳内ポップアップされるので、ここでも楽しい。

文体は現代にも通じる感じであるのに、戦後に出回った品の話などが描かれているのが不思議な感じがします。具体的なアメリカの作品や品物が出てくる。憧れているようには見えないけれど、それこそ水を飲むように自然に、アメリカ的な何かを呼吸している。

夏の間に起こった1シーズンの物語で、1〜2時間ほどで読めました。

お盆明け久しいですが、通勤通学中に携帯ゲームやSNSチェックされている方など、Kindleで別の時間線夏の風を経験されてみるのはいかがですか。今ならまだ、作中の夏への扉へ、間に合いそうですよ🎵

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