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横浜読書会KURIBOOKSご報告♪

面白かった〜♪かった〜♪った〜♪(エコ〜♪)
おもしろかったです♪

ここのところ、なかなか本を読むことができなくて、久しぶりの読書会参加でした。本についてお話しするのって、こんなに楽しかったんだ!と再認識しました。

さてさて、会の進行については公式HPに詳しいので省きまして、読書会でどんな話題がでたのか、関連して参加されたみなさんが挙げていらした本の名前などを中心にお話ししますね。

また、ネタバレ、バリバリにありますので、まっさらな気持ちで作品を楽しまれたい方は、うっかり読んでしまわれないよう、お気をつけください♪

それでは、報告してまいります。

会では最初に、『闇の左手』という本や著者についての紹介がありました。
ル・グィンの4冊目の本であるとか、どんな賞をとって、当時どんなふうに話題にされたのかについてです。そして、著者であるル・グィンについては、お馴染みのお母さんが文化人類学者であったことや、お父さんも文系のアカデミックな先生であったことなどが紹介されていました。

時期的に夏に読むのですが、物語では冬の世界が描かれます。そこがまた良いよね。というお話や、表紙の絵を眺めて物語のへ期待を膨らませ、その後にじっくりと読むのが良かったという方もいました。

私はこの本のの最後5%くらいを読まずに参加していたため、ここで描かれる異世界が、ル・グィンの<ハイニッシュ・ユニバース>といった未来史の世界線で語られる物語のうちのひとつであることも、この時に知りました。

このあたりはさすがに最後まで読むと本編早川文庫の解説がめっちゃ充実しており、小説を発表前のル・グィンがコードウェイナー・スミスの「アルファ・ラルファ大通り」に感銘を受けたなどのお話も載っていて、ワクワクします。前作の「スキャナーに生きがいはない (人類補完機構全短篇1)」が、面白く、購入だけして未読であったので、改めて読みたくなりました♪

『闇の左手』が初出1969年当時、どんなテーマで話題にされていたかというお話ですが、SFというジャンル(ファーストコンタクト物・ファンタジーとSFの混成)についてや、衝撃的に受け止められた性に関する話題(両性具有)にストレートに介入していることが挙げられました。女性作家が取り上げたということも大きかったのかもしれません。フェミニズムの観点からも語られたようです。

当時のテーマや最近のLGBTQ運動について、これがフランス革命で起こった人権獲得からの流れで起きているムーヴメントで、この流れは歴史から見て拡張していくだろう、といったお話をコテンラジオで聞いていたので、

国際政治を専門に学ばれていたという冬木さんに、その流れからの『闇の左手』の立ち位置、そして今、取り上げられた意図を伺いました。

冬木さんによると、『闇の左手』が生まれた1969年は、19世紀の女性解放から始まった運動が1960年代からウーマンリブや中絶、女性の職業選択などの課題から1970年代まで高まっていた時期で、その時代の影響は受けているだろうということでした。

『闇の左手』を今とりあげられた理由はKURIさんからで、テーマなど決めてからの選択ではなく、『SF超入門』の四象図の一番はしっこにある本を読んでみよう!ということで選択されたそうです。『SF超入門』自体が現代につながるSFを取り上げられている本なので、必然的にテーマができたようです。

そして、面白かったのが、2023年現代における当日の読書会中での個々人の読み方が伺えたことです♪

それぞれ、(主人公と主要人物の関係性が?)恥の文化に連なるのではないかという方がいれば、政治的な部分を読むのではなく、純粋に主人公と主要人物の関係性の美しさや情景描写を楽しむのが良いという方がいました。

その他、二人きりのファーストコンタクト物として『プロジェクト・ヘイル・メアリー』が同じように読めると語られたり、後半のロードムービーは腐女子観点から見るとBLのように見えて実においしい話としても読めること。政治的な配慮や立場のあるやりとりの中で行われる「シフグレソル」とは一体何だと思うか、については各人に聞かれました。

個人的に面白かったのが、ル・グィンは『菊と刀』からの逆転入でアイデアをだしたのではないか、というお話も出ていたことです。そう言われると、作中のオルグレインという国が、私にはまさにそう見えていました。ここでオルグレインをロシアに重ねてみられている方もいましたので、この個々の読み方を伺えて多角的な視点を知ることができるのも、読書会の魅力だと改めて思いました。

また、作中における戦争の考え方についての話題も出ました。『闇の左手』では、登場国が「戦争をしない国」「戦争が起こらない国」「戦争の概念がない国」が、戦争を起こさないことの理由を明確にして描かれている。と語られることがあり、それについても話題になりました。

読み進んでいくと、物語中の惑星住民が両性具有だから戦争という概念がない、というのはその理由としては説得力がなく、実際には作中でも国境について政治的になやりとりがあったり、主人公がまさにその場で銃撃戦に巻き込まれたりしているため、「戦争の起こらない国」「戦争の起こらない理由」は必ずしも突き詰めては描かれていないのでは。というお話になりました。

結論としては当初、ル・グィンがそういった描写を心がけた形跡はみえる。けれども、そのあたりをつきつめて決定的な論理を展開するまでには至っていない、というお話がでていました。

お話の魅力ももちろんですが、よくわからない名詞が説明もなしにたくさん出てくる所など、世界観を読みこむのに苦労した。と話される方もいらっしゃいました。特に後半のロードムービー時の日記に記されたタイトルが、何が書かれていたのかの解説があとがきに注記されており、事前の説明がないことがわかりにくいという話題もKURIさんから提示され、ただ、それがまた未知の書物や文化を読み解く主人公と同じ立場になって読むための装置として機能するという話もあり、読書会の2時間はあっという間でした。


関連する書籍としておすすめもたくさん挙げられていました。

『闇の左手』と同時代で並べられるSF代表作が『ニューロマンサー』と『DUNE』とのこと。確かに『闇の左手』の、記録の開示で始まる冒頭は『DUNE』を思い出し、ニューロマンサーのような華やかさはまた違う作品です。でも、この作品たちと並べられると『闇の左手』が当時、本当に衝撃的に受け止められていたのがよくわかります。

その他おなじみの『ゲド戦記』シリーズ、『ギフト』『ヴォイス』『パワー』の三部作、フェミニズム関連書籍としては『100分で名著』でも挙げられていたアトウッドの『侍女の物語』、萩尾望都先生の作品で大いに盛り上がり、眉村卓、銀河英雄伝も名前が上がっていました。

また、短編集『風の十二方位』内の「オメラスから歩み去る人々」の話題が印象的でした。その場でKURIさんが購入されたと話されていて、短編集であることもあり、私も気になり、その後個人的に気になった『コンパス・ローズ』とともに購入しました。

「オメラスから歩み去る人々」だけまずは読み終わりましたが、このお話は、マイケル・サンデル教授が『実力も運のうち 能力主義は正義か?』で話題に出されていた物語でもあったのですね。歩み去った人々はどうなったのか、気になっています。

このオメラスのお話は、別のタイトルでも取り上げたいなと思いました。

以上、長くなりましたがご報告です。
何かのご参考になれば幸いです。

また、冬木さんの読書会は10月に行われるそうですよ♪
KURIさんも問い合わせへのご返信は難しかったようですが、実際に出席すると、全く怖くない、楽しい方でした。

興味を持たれた方は、ぜひチェックされてみてください。






〜余談〜

私はメモ魔なのですが、少し時間が経つと自分の書いたメモの解読に向き合う時間が発生します。そのためご報告が遅れてしまいましたが、どうやって書こうかな?と思い返していた内容とはまったく違うメモ書きを自分がしていたことに驚き、面白かったです。

活用できて、メモしておいてよかったなと思いました。


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