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寝てる猫の背中にガムで描く?端正な白磁に大胆な裂け目?コロナ中にパワーアップしたアート続々✨

文化庁の派遣で海外にしばらくの間滞在して制作にいそしんだりインスピレーションを湧かせたりした美術家たちの展覧会「DOMANI・明日展」(国立新美術館)にお邪魔したところ、なかなか刺激的な作品が並んでおりました。まずはガムの作品から。

つあお 大田黒衣美さんのこの写真作品、なんか変わってますね。

まいこ 写ってるの、チューインガムなんですよね。

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大田黒衣美《sun bath》展示風景

つあお そうなんですよ。会場で作品のすぐ近くで見て初めて気がついたっていう間抜けなたわくしなんですけど、ガムの造形だった。

まいこ 驚きですね! チラシで見たときに私は、お土産でよくあるミルクケーキをカッティングしたのかと思ってました。そしてつあおさんと同じように、会場で作品の前に立ったときに、ガムだと分かりました。こういう作品ができるということは、ガムがいつも作家の手元にあるっていうことなんでしょうね。

つあお そもそも最近チューインガムって食べてます? 子どもの頃よく食べていたので、懐かしい!

まいこ 私はもともと食べていなかったので、最近も食べてません。笑! でもね、最初にこの作が生まれた経緯が面白いんです。大田黒さんは、アトリエにときどき来るのら猫が昼寝した背中に、おもむろにガムで切り絵を作って乗せたんだそうです。ということは、いろいろな種類のガムが常備してあったってことですよね?

つあお なるほど。手元にガムがあったこと自体が、ちょっと驚きです。

まいこ しかも最初にアドリブで作った作品のガムは3色。3種類のガムが手元にあったことになります。太田黒さんは、ガムが大好きなのかも!

つあお ほんとだ。3色使ってる。今気づきました。

まいこ 寝ている猫をキャンバスにしてガムの切り絵を描く! 凄い発想ですね。質感と厚みが魅力です😍

つあお 私には、切り絵というよりも彫刻に見えました。

まいこ 確かに彫刻にも見えますね! しかも猫の背中のふわふわの上にあるからさらに立体的! 

つあお やっぱりアーティストだなぁって思いますね。アーティストにはいろんな素材を使う人がいるけど、ガムまで彫刻の素材にしちゃうとはおもしろい!

まいこ そうですね! しかも、アドリブにしてはとってもよく雰囲気が出てますよね。この作品は、女性が水着で日光浴してるところかな? マネの《オランピア》やティツィアーノの《ウルビーノのヴィーナス》みたいにも見えますね。

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おまけ☆笑☆大好きなオランピアへのオマージュ《マインピア》@パークホテル東京:2016年

つあお 《オランピア》は、横たわる裸婦を描いて「けしからん!」とスキャンダルになった絵だ。マネもガムで描いていたらスキャンダルにはならなかったのに!笑 大田黒さんの作品でたわくしがさらに面白いと思ったのは、ガムガムした質感がそのまま残ってるところなんですよ。

まいこ 確かにガム以外の何物でもない! それにしても丸くなって昼寝している猫の背中にガムを絵みたいに載せるって、猫好きのつあおさんとしてはどう思いますか?

つあお 実はね、ガムが猫の背中に載ってるって、今まいこさんに言われるまで気がついていなかったんです。解説をろくに読んでないことがバレバレですね^^; それにしても、ガムを載せても気づかないほど、猫ってぐっすり昼寝するんだ!

まいこ しかも、大田黒さんは同じ制作作業を何度もやってきたらしいですよ! 何度も遊びに来る猫の方もまんざらでもなかったのでは?

つあお それは猫に聞かないとわからない😁

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大田黒衣美さんの展示エリアから

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大田黒さんがベルリン滞在中に制作したセラミックのガム作品も!

まいこ 実は、私はどちらかというと犬派なんですが(^_^;)、このストーリーを聞いてちょっと猫の上に何かを載せて制作してみたいと思っちゃいました〜。こういう時間を猫と一緒に過ごすのって楽しそう!

つあお ホント、制作風景が目に浮かびますよね。

まいこ 自分がやるなら、コーヒーを飲みながら猫の上にガム絵を描き、その後ちょっと食べ物をあげて一緒にご飯食べちゃったりして。

つあお ゆったりした時間が流れていそうでいいなぁ。想像するに、猫が寝てる中で今度はどんな形を作ってやろうとか、どんどんアイデアが沸き出したんじゃないかと思いますよ。

まいこ 猫は呼吸しているので、背中は動くキャンバス!

つあお もう、猫なくしては生まれえなかった作品ということですね。

まいこ 本当に! 生まれて初めて猫の偉大さを実感しました😁

つあお 眠り猫万歳!

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新里明士《光器》展示風景

つあお ところで、今度は立体作品。新里明士さんの器も気になりました。

まいこ 光が透過する作品!

つあお すごく幻想的!

まいこ 信じられないほど透明感のある白。そして、ありえないほど薄い。だから光が透過するんですね。

つあお 陶磁器って普通は割と硬いイメージがあるけれど、ちょっと違う。宙に浮いてるような感じがしないでもない。しかも、器全体から光が透けてますよね。

まいこ そうですね! 全体が薄いのに細かい穴があって、そこからさらにたくさん光が漏れてくる。

つあお なるほど、表面の薄さも一様ではなくて、光の透過具合に変化があるわけですね。それが美しさをますます増してるんだ。

まいこ 新里さんの作品はこれまでに何度か見たことがあったのですが、今回初めて、穴がそのまま開いているものと、釉薬で薄く膜が張ってるものの2種類があることに気がつきました。

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このようにパックリ開いていたので初めて穴の種類に気づいた

つあお へぇ。

まいこ でも、もっとすごい表現もあった。器に裂け目が入ってる!

つあお そう、この裂け目はすごく新鮮でした。だって、器って普通は裂け目はあったらいけないものだと思う。

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新里明武《光器》展示風景

まいこ 新里さんも、以前はちょっとでも裂け目があったら出品はしなかったらしいんですけど、今回は裂け目の美にはたと気づいたのだそうです😁

つあお たわくしは、光が裂け目を通ってすごく美しい筋ができていたところに感動しました。

まいこ 裂け目の光は、なんだか宇宙的でしたね。

つあお それがね、何だか希望の光に見えたんですよ。

まいこ いつもの端正な穴を通った光とは違って、閃光のようにパワフルでした。

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新里明士《光器》展示風景

つあお たわくしは、裂け目があるからこそ光の筋が生じたっていうところがすごく面白いなと思いました。

まいこ 新里さんは、コロナ禍の自粛期間中に隙間時間がたくさんできて、今まで失敗作だと思っていた作品をじっくり見てたら裂け目の魅力に気づいたのだそうです。もしかしたら朝日か夕日が差し込んだ時に気づいたのかもですね!

つあお 普通は、裂け目っていうのは壊れたようなイメージでマイナスのことでしかないんだけど、それが魅力の源になるっていうのは、とても面白い。

まいこ 強さがありますよね。裂けてるわけですから!

つあお をを! なんとなく天の岩戸みたいな感じがしてきました。天の岩戸はエネルギーの源なんだと思います。

まいこ そうですね! 赤ちゃんとかもそう! やはり、裂けないと生まれて来ませんものね😁

つあお 裂け目は希望の光ですね!

まいこ ワクチンは、ウイズコロナの裂け目となれるか?!裂け目よ出でよ~(^^♪


「DOMANI・明日展」より

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袴田京太朗《軍神ー複製》展示風景


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高木大地《The moon and a crow》展示風景


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利部志穗《巨人ー海からやって来た人》展示風景


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笹川治子《Auto generating》(映像作品)展示風景


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春木麻衣子《vision|noisv》展示風景


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山本篤《名前を知らない鳥》《I》(ともに映像作品)展示風景


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竹村京・鬼頭健吾《Playing Field》展示風景

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眠るヴィーナス

Gyoemon作《ウルビーノのマイコは眠りに落ちて天の岩戸を開けるのを忘れていた之図》
そろそろ起きて、世の中を明るくしてほしいものです。Gyoemonはつあおの雅号(本作品は「DOMANI・明日展」には出品されておりませんのでご了承ください)

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DOMANI・明日展(同展ウェブサイトより引用)
展覧会からプラットフォームへ――日本のアーティストの「明日」のために

文化庁は、将来の日本の芸術界を支える人材育成のため、若手芸術家が海外の関係機関等で行う研修を支援する「新進芸術家海外研修制度(旧・芸術家在外研修)」を1967年度から実施しており、すでに半世紀を経過しました。美術分野ではこれまでに1400名を超える人材を送り出してきましたが、そうした研修の成果の発表の機会として、1998年から「DOMANI・明日展」を開始し、こちらももう20回以上を重ねています。
国立新美術館、2021年1月30日〜3月7日






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