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新ドラマ「不適切にもほどがある!」の昭和61年、清原の八重歯はかわいかった? 時代反映に野球を使った映画

「やっぱ付き合うなら年上だよね?」
「PLの清原くんは?」
「昭和42年生まれだから2個上。桑田くんは早生まれだから1個上」
「桑田嫌い。清原くんはかわいいよね、八重歯が」

新ドラマ「不適切にもほどがある!」の序盤、喫茶店で女子高生が話していた。主人公(阿部サダヲ)が1986年(昭和61年)から2024年(令和6年)にタイムスリップするストーリーで、冒頭の会話は、もちろん1986年…昭和61年である。

その前に職員室が映ったとき、壁のカレンダーが「1月」だったので、1986年の1月…つまり清原は卒業を間近に控えたPL学園の3年生で、初のキャンプインを目指し、西武ライオンズの練習施設で自主トレーニングに励んでいる頃だ。

女子高生の部屋に貼られたマッチ(近藤真彦)のポスター、彼のヒット曲「ハイティーン・ブギ」の歌詞、テレビから流れる埼京線のニュース、そしてPL学園のKKコンビを用いて、時代を表していた。

ちょうど、この時期を記事に書いたばかりだった。人気コーナーに育てると目標にしている連載「日刊スポーツ28000号の旅」では、プロ野球のキャンプインに合わせて「注目新人の初キャンプ」という企画を実施し、その第1回で「18歳の清原和博のキャンプ持参品は明菜のカセットと…」と題した原稿を掲載した。

ドラマでもカセットテープにまつわる話題が出てきた。女子高生が「ノーマルテープではなくメタルテープが欲しい」という。メタルテープの方が音質がいいと言われており、より高価だった。

ドラマとともに、1986年を懐かしんでもらいたい。

今回のように、野球とは関係のないドラマや映画の中で、時代を表現するアイテムとして野球が使われていると心が躍る。不意に出会えた分だけ、感激が高まる。

映画「ライアーライアー」(1997年公開)

ジム・キャリー主演の映画に野茂英雄が出てくる。主人公が息子にグローブをプレゼントしたところ、息子が「ボクはノモ。パパはホセ・カンセコだよ」と言うシーンがある。

子どもは自分のヒーローを演じたがる。野茂は1995年から大リーグに移籍。この年13勝、翌1996年に16勝と活躍してブームを巻き起こしていた。彼が、アメリカの中でどんな存在だったか、このエピソードだけで分かる。

映画「孤狼の血 LEVEL2」(2021年公開)

松坂桃李が、裏社会とも関わり、目的のためには手段を選ばない刑事役を務める。鈴木亮平がヤクザ役で、暴力シーンも多く、かなり怖い映画である。

クライマックスを迎える直前、警察署内のシーンがある。そのときラジオの野球中継が流れており、アナウンサーが「広島カープ、5年ぶり6回目の優勝まで、あと1アウト」「マウンドは守護神の大野」などと実況している。その後、乱闘シーンになってラジオははっきり聞こえなくなるが、優勝が決まった様子は分かる。

つまり、このシーンは1991年(平成3年)10月13日、午後7時56分である。広島カープが広島市民球場で阪神タイガースを破って、5年ぶり6度目の優勝を決め、山本浩二監督が胴上げされている。

なお、エンドロールで「野村弘樹」「煙山光紀」の名が出てくる。前者は元ベイスターズの左腕エースで野球評論家、後者はニッポン放送アナウンサー。2人がラジオ中継を再現していたわけだ。映画のストーリーとは関係ないが、時代を反映する貴重なアイテムといえるだろう。

ドラマ「プリズン・ブレイク」(2005年放送)

脱獄をテーマとするアメリカの人気ドラマでも、不意に野球の話題が出てくる。登場人物のトゥーイーナーは野球カードを盗んだところ、その中に高価な「ワグナー・カード」が入っていたことから重罪になったと打ち明ける。

ホーナス・ワグナーは初代殿堂入りの名選手。たばこ会社が野球カードを出したものの、たばこ嫌いのワグナーが回収を命じたため、希少価値が高まった。2021年には660万6000ドル(当時のレートで約7億2700万円)で落札されている。

さて、「不適切にもほどがある!」には今後も、時代を反映するアイテムとして野球を使うだろうか? ドラマのストーリーとともに注目していきたい。

※これも1986年(昭和61年)の日本シリーズの話です。

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