見出し画像

利賀まで一人自転車旅 総集編

チャレンジ

2020年、夏。
コロナが落ち着き始めていた頃、私は一人で利賀村まで自転車旅をしました。
そもそもなぜ富山県にある限界集落の利賀村を目的地に設定したのか。理由は二つあります。
一つ目はそもそも日本海側の県を自転車で走った経験がほとんどないからです。私は自転車旅を趣味としており、4年かけて北は北海道、南は沖縄まで日本を一周しました。
しかしその中で、通ったメインとなる道は基本的に太平洋側か内陸にありました。東京から西に向かう国道1号線および2号線は山口まで基本的に太平洋側を通りますし、東京から青森まで繋がる4号線は東北の背骨部分を突っ切る形になっています。そのため、これまでは日本海側を走る機会がありませんでした。
ただ、日本海側は食の宝庫。魚も米も酒も美味しい、とても魅力的な土地です。日本一周を果たし、一つ自転車旅の区切りがついた中で、今度は新たに日本海側を走ってみたいと思いました。

二つ目の理由は自転車以外の方法で何度か利賀村を訪れた経験があるからです。公共交通機関を使って東京から利賀村に行く場合、ルートと時間は以下のようになります。

東京駅→富山駅   (新幹線で約2時間半)
富山駅→越中八尾駅 (JRの在来線で約30分)
越中八尾駅→利賀村 (市営バスで約1時間)

それに加え、乗り換えや待ち時間を含めると平気で5時間以上かかります。しかし、そうして苦労して辿り着いた利賀村では、東京にはない雄大な自然や、そこに根付いた特有の文化に出会えます。
そんな利賀村に自分の足で行ってみたい、利賀村を自転車で駆けたいという思いに駆られ、今回の目的地を利賀村に設定しました。

そして今回、利賀村まで自転車で行く、というチャレンジとともに、こうしてnoteという媒体に書き起こすというチャレンジや、goproで旅の様子を動画として収め、youtubeに挙げるというチャレンジも行ったので、ぜひそちらの方も見ていただけると幸いです。

本題

前置きが長くなりましたが、本題に入ります。
今回は以下のような計3泊4日の行程で行きました。

一日目:田町〜甲府        約137km
二日目:甲府〜新島々       約108km
三日目:新島々〜越中八尾     約119km
四日目:越中八尾〜利賀村〜富山  約68km(利賀村まで約28km)

一日100km超えるくらいをおおよその目安にして走りました。普段の自転車旅でも一日の行程は150km未満に抑えるようにしているのですが、今回は日本アルプスを含め、標高1000mを超える山道が毎日続くため、比較的余裕を持たせた行程です。宿泊に関してはコロナウイルスによる影響を考慮し、個室の宿をあらかじめ押さえてから旅を始めました。

夏の暑い時期だったため、水分と塩分は欠けることのないよう注意し、首と顔には濡れたタオルを巻くなどの対策を行いましたが、それでも毎日2〜3ℓの水分を補給しなければならず、肌はかなり焼けました。
ただ、四日間通して天候に恵まれ、道に関しても信号が少なく、走りやすかったため、特にこれといったハプニングはなく、無事走り終えることができました。

次章からは今回の旅の中での印象的な出来事を大きく三つのテーマに分けて書いていきます。

自然

これは外せません。自転車旅の醍醐味でもあります。特に今回走ったルートは山に囲まれた場所が多く、青々とした空と緑の景色がとても綺麗でした。空気も澄んでいて、日陰に入ると夏とは思えない涼しい風を感じました。
その中でも特に印象的だったのは“水の豊かさ”です。

相模湖、諏訪湖などの湖や高原川に沿って続くダム。白州では湧き水を汲むことができ、上高地や平湯では足湯に浸かることができます。そこには人だけでなく、鳥や魚や虫など様々な生き物が集まっていました。
旅の途中で一度、川に入ってみたのですが、水は透き通っていて、風や川の流れの音だけが耳に残る、とても心地の良い時間を過ごせました。

また、自転車旅の際には野生動物との出会いを密かに楽しみにしているのですが、今回は二度、野生のニホンザルに出会うことができました。
二度目に出会ったニホンザルは子供連れの大群で、顔を真っ赤にして道路を駆けていたのが印象的でした。都会に住んでいるとあまりお目にかかれない光景ですが、改めて自然と共存して生きている、ということを強く実感しました。

利賀note

今回はコロナウイルスの影響があったため、なるべく人との接触は避けましたが、それでも何度か関わる機会がありました。

富士見町ではお昼ご飯を食べていると、山登りを趣味としている老父婦に話かけられました。その老夫婦からは山登りをする際、現地の道の駅で地元の野菜を買い、その野菜を、登った先の湧き水で洗って食べると格別に美味しいんだ、という話を聞きました。

上宝町では休憩中にアイスを食べながら地元の交番のお兄さんと話をしました。お兄さんは大学卒業後、一般企業への就職活動をする中で、昔から憧れていた山岳救助隊の仕事がしたいという気持ちが強くなり、地元の警察に就職したという話を語ってくれました。

利賀村では温泉に入っていると、以前お会いしたことのある村の方に出会いました。その方はものづくりの仕事をしており、月に数回、東京に出て商品を売るだけで十分に生活できるから働き方は様々だよ、という話をしていただきました。

旅をすることで、普段自分が生活しているような場所とは違った環境に身を置いている人に出会え、そこから生まれるコミュニケーションにより、また違った様々な生き方、旅の楽しみ方を教えてもらいました。
自分のライフプランを考える上でも、一つの暮らし方として参考になる、興味深い話を聞くことができました。

マイチャレンジ写真

楽しみ

最後の三つ目は旅の楽しみです。もちろんここまで紹介した自然と人も旅の楽しみに含まれますが、ここでは主に食について、今回の旅で楽しめたことを挙げていこうと思います。

まずは食事についてです。「名物にうまいものなし」とまでは言いませんが、その土地土地の名物は価格もその名物自体も観光化されていることが多々あるため、そこにしかない店で、自分が魅力的に感じたメニューを食べるようにしています。今回は、甲府では昔ながらの地元の中華を、利賀村ではお蕎麦屋さんで夏野菜カレーを食べました。どちらも言うまでもなく美味しく、その店特有の味と雰囲気を楽しむことができました。

また、一日の行程を終えたあとはお酒を楽しみました。運動した後の一杯はたまりません。旅の疲れを癒しながら一日を振り返ったり、明日の予定を考えたり、気楽に過ごせる時間が楽しかったです。

お土産を考えるのも旅の楽しみの一つです。自転車旅の際は荷物の関係上、基本、家族のみに少しだけお土産を買って帰るのですが、普段あまりお目にかかれないものやその土地ならではの手作りのものに出会えるとワクワクします。
今回は地酒や風穴で作られた味噌、自家製ジャム、利賀村では小さめの坊ちゃんかぼちゃを買って帰りました。家族に喜ばれ、旅の良い土産話にもなりました。

利賀note2

最後に

今回の自転車旅では発信含め、様々なチャレンジを行うことができました。そして旅をする中で様々な出会いがあり、新しい発見やいろいろな感情が湧いてきました。
旅はやっぱりいいですね。
日本海側含め、まだ行ったことのない土地はたくさんあるので、コロナ等々落ち着いたらまた旅に出かけたいと思います。

一日ごとの行程についても動画付き記事にまとめたので、読んでくださる方はこちらからご覧ください。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?