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自分を取り巻く世界

大学時代の友人とメッセージのやり取りをしている時にふと思ったことを、ここに残しておこうと思う。

私は福岡県北九州市で高校生まで過ごした。
大学進学と同時に滋賀県へ引っ越し、琵琶湖から歩いて5分の場所で一人暮らしを始めた。
最初こそホームシックはあったが、幼い頃からの独立心と孤独に強い精神のおかげで自由気ままな一人生活をそれなりに満喫していた。
大学の専攻は造形学部の「イラストクラス」だった。
あっという間に4年が経ち、就職で熊本県へ引っ越すことになった私に母は「何で、実家を飛び越えて熊本に行くのよ…」と項垂れていたのを今でもハッキリと覚えている。
「ごめんよ、お母さん。私は私の人生を生きるのだよ。」
そんなことを思ったとか思ってないとか、言ったとか言ってないとか、今ではハッキリとは覚えていない。

話を戻そう。
熊本に引っ越して来た当初は知り合いが一人もいなかった。
すごいよね、一人ぼっちで全く知らない土地に引っ越して来て、新卒で荒れ狂う社会の波に飛び込む(要するに社会人)になるんだもん。
自分でも「よく決めたな…」と今更ながら思う。
そもそも、どうして就職先に熊本を選んだかっていうと、大学時代に「青春18きっぷ」を使って鈍行で日本縦断の旅をした経験からだった。
このことについては長くなるのでまたいつか書く機会があれば…
日本縦断をしたおかげで「あれ?日本って思ったより大きいけど、小さいかも…。ということは日本のどこにいてもいつでも実家に帰れるじゃん。」という思考になったのだ。
「だったら、どこで働くかではなく、何をしたいかで住む場所を決めよう」という結論に至ったのだ。
そんなわけで「やりたいことを探したら熊本にありました。めでたしめでたし」という感じ。

熊本に来てからは12時間交代・常に締め切りに追われる業務・休みなんてほぼ無い・その割に給料激安の超ハードな職場でメッタメタのギッタギタに打ちのめされ、いつしか熊本のこと自体が大嫌いになっていた。
そりゃ、そうだ。
だって、家と職場の往復で、知り合いといえば会社の人だけ。
会社の人たちもすごく優しかったけど、何せ、それを受け止めるほど私に余裕がない。
「熊本なんかさっさと捨てて出てやる!」と泣きながら毎日を過ごしていた。
そんな時に青春を共にした友人、特に大学時代の友人たちには救われた。
当時のSNS「mixi」での交流もあったが、年に1回必ず「イラスト会」という名の同窓会を開いてくれていたのだ。
イラスト会ではボーリングに行ったり、友人宅でグダグダしたり、みんなで買い出しに行って一緒に料理をしてワイワイ食べたり、そして締めは必ずオールでカラオケ。
一人、また一人と寝落ちしていくメンバーを横目に絶対に最後まで寝ない私。
だって、寝てしまったら友人たちとの時間が減ってしまうかもしれない気がしたから。
まさに「青春」そのものだった。
社会人になっても青春を出来るその環境に感謝しつつ、いつも帰りの新幹線の中では思い出し笑いと思い出し泣きで帰路に着くのだった。

また熊本に戻ると現実が待っている。
それでも責任感と真面目の塊のような人間の私は今日もまた遅刻することも欠勤することもなく職場へ向かうのだ。
そうこうしているうちにひょんな繋がりから、会社以外の友人が出来た。
小さなコミュニティが少しずつ広がっていく。
そうそう、大学時代だって入学した時は一人ぼっちだったんだ。
それでも持ち前のキャラでいつしか学部を越えた同級生からも先輩からもバイト先の同僚や先輩や上司やホームセンターの店員さんや購買のおばちゃんや自動車教習所の先生たちや送迎のおっちゃんや当時付き合っていた彼氏やその家族からも可愛がってもらえるまでになったのを思い出した。
今では、この性格というかキャラを持って生まれたことに心から感謝する毎日だ。
そんな日々の中で、大学時代の友人はそれぞれに結婚し家庭を持っていくことになる。
そうなると当然家庭優先になるもので、いつしか「イラスト会」は開催されることがなくなった。
私の記憶では最後にイラストクラスのみんなに会ったのは友人の結婚式の12年前だと思う(調べた)
私は他人の誕生日を覚えるのが得意なので、小学校時代の友人から元職場の人まで、何十人〜何百人(もうハッキリ覚えてない)に毎年欠かさず「お誕生日おめでとう」の連絡をしていることもあって最低でも年に1回は連絡を取り合っているので随分と長いこと会っていない感覚はないが、干支が一周してしまうくらい会っていないことを今知ってすごい衝撃を受けている。
数えてみると、私が単身熊本に来てからちょうど20年らしい。
この間に私は数え切れないご縁に恵まれて数々のコミュニティを築いてきた。
熊本に来たばかりの時は知っている人が「0人」だったのに、今では数え切れないほどの知人・友人・仕事関係の人などに囲まれた生活を送っている。
熊本に来て1年目の時に「熊本なんかさっさと捨てて出てやる!」と泣きながら毎日を過ごしていたあの頃の自分に教えてあげたい。

「20年後、あなたはとてもとても素晴らしい仲間に囲まれて毎日を笑顔で過ごしてますよ。だから、そんなに泣かないで何も心配せずに熊本にいるんだよ」

きっと滋賀県に戻っても、北九州市に戻っても、持ち前のキャラでコミュニティを築いて楽しくやっていたとは思うけど、それでも私は熊本が好きだし、熊本の人たちが好きだ。
時々、北九州市に住む大切な人たちや関西に住む大切な人たちやそれ以外の県外や海外に引っ越した友人たちと無性に会いたくなることもあるけど、まずは目の前の現実を全力で楽しもうと思う。

友人がメッセージで「イラスト会、どこかでやろう!つんの方に旅行がてら皆んなでいきたいな〜」と書いていた。
もしそれが叶うのなら、私が毎日過ごす熊本のこと、たくさんのコミュニティの素敵な人たちのこと、そして私がここで過ごしてきた20年間のことを胸を張って伝えたい。
そんな夢を見ながら、今日も明日もその先もずっと楽しく過ごそうと思う。

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