良い転職と悪い転職

私は独立したばかりの1人社長ですが、サラリーマン時代には部下30人を持つ部長職をやっていました。

会社はいわゆるホワイト企業で、営業職にもかかわらず、18時には退社できる環境で、ノルマもなく、行動管理もしませんでした。

できるだけ自分で考えて、行動することを促すような管理体制を引いておりました。

もちろんそれなりのアドバイスやフォローをしつつも、上司が主役ではなく、プレイヤーが主役の立ち位置がとれるよう、必ず手柄は部下に持たせる。

そういうアプローチもしていました。

ストレスなく働ける部署として評価を受けていましたし、部下のモチベーションも高く、楽しんで仕事をできる環境だったのです。

いまブラック企業で働いている方からすれば、この上ない環境で是非転職したいと考えるでしょう。

しかしながら、割と転職希望者が少なくはなかったのです。

不満はない、ストレスはない、体力的にも楽、仕事もやりがいがある。

これは辞める辞めないに関わらず、一律同じ感想を抱いていました。

ではなぜ転職をするのでしょうか?

人間の欲求は、底無し沼です。

私のようなオッサンになると、世界を知り自分を知っているので、この欲求は、人間固有の、プログラムされたただの渇望であることに気づくので

この欲求のコントロールが可能となるのですが、

若者の場合は、まだ知っている世界が少ないため

この欲求を欲求のまま受け入れてしまうのです。

では、誰もが羨むホワイトな環境で勤務していて、生じる欲求とはなんでしょう?

それはスリルであったり

嵐のような日々であったり

チャレンジなのです。

平穏で満足できる環境においては、そういった欲求が生まれてしまいます。

無闇に環境を変えたくなってしまうのです。

そうなると、いまの環境が悪い環境であると誤認してしまいます。

そういった理由で転職を希望するのです。

ブラック企業やパワハラ上司、同僚からのいじめ、などで悩んで転職する人から見たら、笑ってしまうくらい贅沢な理由での転職ですね。

公開会社で年収も悪くないような環境から

零細ブラック企業に好き好んで転職する部下が多かったのです。

転職組はほぼ、後悔することになりましたが、後の祭りです。

以上の経験から、転職を考えたときにまず何を考えるべきなのか?

1、環境を変えたい
2、環境を良くしたい

転職を考えている理由が上記2つのうちどちらなのか、を自問自答すべきでしょう。

1の理由の転職ですと、環境が悪くなるリスクに思考が向かわないようです。

なので、環境は変わったが、環境を悪くしてしまっただけという結末になります。

例えば、もっとバリバリ仕事できる環境にしたい、新しいことにチャレンジできる環境に身を置きたい、仕事で喜びを見つけたい。などです

これ、結局転職しただけ、という結末になっている部下がほとんどです。悪い転職ですね。

2の理由で転職した場合は、自分が考える特定の条件の環境が改善されますので、成功している元部下も多いですね。

例えば、年収を増やしたい。今より高い役職につきたい、通勤が便利なとこに行きたい。この仕事がしたい。

などです。具体的に良い条件を得られますので良い転職と言えます。

1と2の1番大きな違いは、「具体性」です。

環境を変えたい。においては具体的なワードはほぼ出てこず、漠然とした言葉で論理形成することになるのですが

環境を良くしたい、と考える場合は、今悪いものを分析してそれをどういう手法で良くするか、と考えるため、かなり具体的な言葉で論理形成することができます。

「変えたい」と「良くしたい」

微妙な違いですが、

転職にあたっては、大きな違いになっています。