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board connect for Hubspot(β)をリリースしました

本日、「board connect for Hubspot (β版)」をリリースしました。
企画・設計は弊社、開発はストラテジット社になっております。

業務設計をメイン業務とし、Salesforceやkintoneの導入時の設計、スタートアップ向けバックオフィスの構築・運用を提供するBrownies Worksの提供を行っている弊社ですが、基本的には「世の中にすでにあるSaaSの機能をフル活用する」ことを重視しています。

それが今回は初めて、必要最低限の連携機能ではありますが、オリジナルのアプリケーションを作りました。

このnoteでは本アプリの機能や開発した背景などについて書いていきます。


1.board connect for Hubspotの機能

本アプリの機能は「Hubspotの顧客情報と案件情報をboardに連携する」ただそれだけです。それだけではあるのですが、顧客のステージに応じたシームレスな連携、Hubspotとboardそれぞれで適切な管理ができるような仕組み、という部分を掘り下げて機能を作っています。

SaaSにおいてはAPI連携が当たり前になりつつあり、iPaaSという言葉もだいぶ一般化してきましたが、ただSaaSを繋げばいいというものではなく、業務全体の効率化を考えた場合に重要なのは全体最適な視野を持って、その上で適切な連携ができるかどうかという部分です。

弊社は「業務設計」という切り口で、業務改善やシステム導入の支援を行っていますが、世の中にはまだまだ「とりあえず繋げばいい」という誤解が蔓延しています。業務のデジタル化が一向に進まないのは、機能が足りないからではなく利用者側のリテラシーが足りないからだ、というのが弊社の見立てです。

この見地に立てば、「Hubspotとboardを連携する」というシンプルな機能であったとしても、ただ連携するだけでなく業務やデータの流れを含めてきちんと上流から下流まで設計した上で、導入してすぐに業務効率化に貢献できる機能を提供するべきだと考えました。

なんでもできるアプリケーションを活用して成果が出せるのは、かなりスキルがある人だけです。多くの人にとって機能がたくさんあったり、自由度が高いことは、むしろカオスになるだけだと考え、ユースケースや機能を絞り込んで極力シンプルなアプリケーションになるようにしました。

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Hubspotは無料でもかなりのことができますし、有料版も機能に対しては非常にリーズナブルな料金体系になっています。多くの中小企業にとってリード管理においてHubspotは必要十分な選択肢でしょう。Hubspot無料版の内容については石井さんのこちらの記事をご参照ください。

一方で、Hubspotで案件管理から請求書発行まですべてを行おうとした場合の機能はちょっともの足りません。特に帳票作成において、発注書や発注請書、検収書などの豊富な書式の用意や定期請求、合算請求などの柔軟な対応、郵送オプションがない点などは課題が残ります。

もちろん、機能を開発したりすれば作れなくはないと思いますが、この不足部分をすでに実現しているSaaSがあります。それがboardです。

よって、本アプリは
①リード管理:Hubspot
②案件管理(見積・請求を含む):board
③入金管理:freee

という座組みをシームレスに実現するための機能を提供します。

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boardとfreeeの連携はすでに実現されていますので、本アプリがHubspotとboardの連携をスムーズにすることによって、リード獲得〜案件管理〜入金管理という業務を円滑に行うことが可能になります。boardの機能についてはこちらのnoteに詳しく書きましたので、ご興味があれば読んでみてください。

HubspotもboardもAPIリファレンスは公開されていますので、システム開発ができる方にとってはそんなに難しい連携ではないと思いますが、前述の通り「ただ繋ぐだけ」ではなく、業務の流れや全体最適な活用なども考慮した機能を提供することを意識して開発をしました。

このアプリをお使いいただくことで、リードを獲得してから初回の打ち合わせを行うまではHubspot、見積・発注・請求はboard、発行した請求書に対する入金確認はfreeeという役割分担が明確になり、業務の流れもスムーズになるのです。

2.この連携アプリを開発した背景

顧客情報と案件情報は1:Nの関係になるため、データ構造や参照関係も含めてきちんとした仕組みの中で管理すべきものです。この要件を満たすためにはExcelによる案件管理はオススメしません。

案件管理という分野において、特に「見積書を発行する」という行為は月末・月初などの特定のタイミングではなく、案件の進行状況に応じて都度発生するものです。そのため、複数システムを活用している場合、CSV連携では非常に効率が悪く、手入力による転記作業が発生しているケースも多いです。

これらの観点から「1つのシステムで完結するできるようにする」「同じ製品シリーズで固める」という選択をされる企業が多いのですが、業務が簡潔になるというメリットに対して、デメリットも大きいのが実態です。

まず1つのシステムで何でもできるようにする場合ですが、かなりの開発費とメンテナンスコストがかかります。システムが大きくなるほどに柔軟性はなくなり、複雑になっていきます。なんでもできるシステムというのは、現代の環境変化に対してはあっという間になんにもできないレガシーなシステムになってしまうのです。

また、同じ製品シリーズで固めると確かに連携はできるかもしれませんが、その製品シリーズにロックされてしまい、切り替えコストがどんどん上がっていきます。また、いい会計ソフトを作っている会社が、いい顧客管理ソフトをつくれる保証はなく、その逆もしかりです。

これらに対して、近年増えているのが「専門性の高い別々のシステムをAPIによって疎結合する」という考え方です。ガートナー社が提唱した「クラウドERP」という考え方もあります。freeeさんのこちらの記事が分かりやすいので、気になる方は読んでみてください。

SaaSが普及したことでAPI連携が非常にやりやすくなり、重厚長大なシステムや1つの製品シリーズに縛られる必要はなくなったのですが、自由度があがったことによって今度は導入する側の設計や運用の難易度が上がっています。

Hubspotとboardを繋ぐだけですが、どのようなタイミングでどの粒度の情報を連携すればスムーズなのか、業務フローに沿った導線になるようにするにはどうすればいいか、という部分をしっかり考えないと、繋いでも使い物にならないものができあがるのです。

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本アプリは、Hubspot側で見積書の作成に該当するステージになった場合に、boardに顧客情報と案件情報を連携する、という仕様になっています。また、見積書はboard側で詳細を作成するため、案件の金額や詳細はHubspot側からは取得せず、boardで見積書を作る際にきちんと入力することにしています。

Hubspotはかなり自由度の高いツールであるのに対して、boardは一切のカスタマイズができないツールである、という特性も踏まえて、board側の受注ステータスに対して、Hubspot側のパイプライン・ステージをマッピングするという仕様にしたり、Hubspotとboardの両方を使って案件管理をする会社はどういう風な仕組みにしてあげると使いやすいかを今回はかなり考えました。

弊社もHubspot、board、freeeを使っており、いったんは必要最低限の連携機能でβ版をリリースして実際に触っていただき、ご要望が多い部分は強化して上で正式版を出そうと考えております。

3.スタートアップにとって“ちょうどいい“の実現

前述の石井さんの記事は、「スタートアップにとってリード&案件管理はHubspot(無料)とSalesforce(Essential)で十分」という趣旨ですが、その後ろの会計連携を考えるとSalesforceとfreeeの連携はまだ規模の小さい段階のスタートアップには、金額面も運用面もハードルが高いです。

Salesforceは僕自身も機能や使いどころはかなり詳しい方だと思いますが、だからこそ逆に「Salesforceが常にベストな選択ではない」ということを考えて、お客様の状況や到達するべきゴールを踏まえて使用するべきCRMをご提案しております。

マーケティング予算が潤沢にあり、日々大量のリードを獲得し、営業組織がしっかりして常に数十〜数百の案件が動いているという状況では、Salesforceはベストな選択だと思います。

しかし、アーリー期のスタートアップにとっては、「そこまではまだもっていけていない」「そこまでプロダクトやサービスが育っていない」ケースの方が多いのではないでしょうか。

Salesforce(Essential)が1ユーザー3000円/月で使えるとはいっても、それなりにSalesforceの機能や構造、ユースケースを理解していないとそのポテンシャルは発揮できません。Salesforceを入れているのに、別途スプレッドシートで案件管理しているという会社も見たことがありますが、そういう会社にとってはSalesforceは難しすぎるのです。

そこで「ちょうどいい案件管理SaaS」としてboardの方がいい企業はまだまだあるのではないかと思っています。ただし、boardにはリード管理機能がありませんし、見積〜請求までの直線的なフローしか想定していません。そこを埋めるのがHubspotであり、Hubspotとboardをシームレスに繋ぐのが本アプリなのです。

Salesforceを使いこなせるならアーリー期のスタートアップでも導入してもいいでしょうが、ほとんどのケースでは使いこなせていないので、Hubspot・board・freeeという組み合わせ必要十分ではないか、と考えました。

自由度が高いこと、選択肢が広がることが、常にいいこととは限りません。運用を設計するスキルがない人にとっては、ベストプラクティスを提示してもらった方が遙かに成果につながる可能性が高いのです。その観点から今回は「board connect for Hubspot (β版)」を作りました。

シンプルで必要十分な案件管理と会計連携を実現したいと考えている方は、β版は無料ですので、ぜひぜひお試しいただければ幸いです。

まだまだ簡素ではありますがマニュアルもご用意してあります。また、お試しいただいた方で、気になるところがありましたらアプリ上のお問い合わせフォームからどんなことでもお気軽に投稿してください。すべて対応するとはお約束できないのですが、機能改善に大いに参考にさせていただきたいと考えております。

こういう細かいところの業務をスムーズにすることで、スタートアップのバックオフィスの効率をもっともっと上げていきたいと考えていますので、引き続きよろしくお願いいたします。

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武内俊介@業務設計士

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業務設計士、税理士。金融系での商品開発、システム企画を経て、会計事務所に勤務して税理士資格を取得。その後、ベンチャー企業のバックオフィスを中心に営業やマーケを含めた業務改善を手掛ける。バックオフィス×ITという領域で、ツール導入から運用設計まで幅広く手掛けています。