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次世代バックオフィスとBrownies Works

昨日、Brownies Fes.の第4回をオンラインイベントで開催しました。

今回のテーマは「次世代バックオフィスになるために」です。

ゲストにhokan・安田ともこさんと600・阿部愛さんというパワフルなフルスタックバックオフィサーであるお二人をお迎えして、これまでとは違う確度からバックオフィスをとらえて、組織を成長させていくために何でもやる、というお話しをお聞きしてきました。

コロナ禍において日本企業のIT化が10年進んだと言われる中で、バックオフィスも大きく働き方や考え方を変えなければいけません。お二人の働き方や経歴は正直再現性は全くないと思いますし、真似をする必要はないとは思いますが、そんなエクストリームな話の中からひとつでも「次世代バックオフィスになるため」のヒントを見つけてもらえればという考えから、トークセッションやパネルディスカッションを開催しました。

弊社はずっと「次世代バックオフィス」という言葉を使っていますが、どうすればこれまでのバックオフィスとは違う働き方ができるようなスキルが身につくのか、という部分はまだ答えは出せていません。

しかし、スモールな規模におけるSaaSをきちんと活用したスマートなバックオフィスの構築と運用については、現時点でほぼ「これがベスト!」と呼べるような型は見えてきています。これをパッケージとして提供しているのがBrownies Worksです。

そして、仕組みを「型」として固めれば、誰が運用しても同じかというと、実は全く逆で、その型をきちんと運用するためにはITとビジネスのリテラシーが高い次世代バックオフィス人材が必要不可欠だ、というのが私たちの結論です。

「バックオフィスはマニュアルがあれば誰でもできる」という人たちに対して私はずっと嫌悪感を示してきましたが、IT化が進めば進むほど、「誰がやるか」によって成果に顕著な差がでるようになってきています。だからこそ、次世代バックオフィスを育てていかなければいけない、というのが今後の弊社のミッションのひとつだと思っています。

では、次世代バックオフィスになるために必要な要素はなんでしょうか。現時点での私が考える要素をこのnoteではお伝えします。

1.仕組みを理解している

日本の多くの資格試験が暗記と訓練の勝負になっています。もちろん、知識として確立するには一定の暗記と反復練習が必要なことは間違いありませんが、それだけが過剰に要求される試験内容には少しうんざりします。

ペーパー試験であり、求められるのが正確な暗記と、正確な手作業での処理や計算、ということなのですが、これだけデジタルが発達した時代にかなり遅れているなと感じています。

私自身も税理士試験の勉強をしていたときは、電卓を早く打つ練習をしたり、たくさん文字を書くためにペンにこだわったり、書く訓練をしたり、色々しましたが、それらのスキルは現在ではほぼ使っていません。

あらゆる業務がアナログだった時代には必要なスキルと暗記の量だった、ということだと思うのですが、SaaSをフル活用したバックオフィスを運営する上ではそのスキルは必要十分ではありません。

手作業で早く正確に処理ができることよりも、たくさんの条文や基準を暗記しているよりも重要なこと、それは「仕組みを理解しているか」ということです。

日商簿記1級だろうが、税理士試験・簿記論だろうが、それに「受かった」ということは早く正確に作業ができることの証明であって、SaaSを使ったバックオフィスを構築・運営できる能力の証明にはならないのです。

システムは設定した通りにしか動きません。よって、重要なのはきちんと設定し、きちんと運用できること。そのためにはなぜそうなるのか、なぜそうしなければいけないのか、どうすれば正しくなるのか、という仕組みをきちんと理解している必要があります。

Brownies Worksの採用においては、資格は参考情報にすぎません。それよりも、働きぶりをみて評価する、という部分に重きを置いています。もちろん、経理や労務の仕事を請け負っている以上、まったく知識や経験がない人を雇うことはできないので、資格試験に合格していることは一定の証明になりますが、それが私たちが求める次世代バックオフィスの十分条件ではありません。

試験に受かることだけを考えたら、とにかく頭に詰め込んで、マシーンのように手を動かすというアプローチが早いのかもしれませんが、その資格で得た知識を使って仕事をしていくことを考えるのであれば、少し遠回りでも仕組みや構造を理解し、自分の中で咀嚼し、きちんとした知識まで昇華させていることは必要不可欠だと私たちは考えます。

2.主体的に動く

バックオフィスの人たちが悪いというよりも、バックオフィスを下請け的に扱う人たちがダメなんだと思いますが、どうしても受け身気質の人が多いな、と思います。

しかし、戦国時代の後方支援部隊でも、言われたことだけをやっていればいいのは予定通りに物事が進むときだけ。言われたことをきちんと遂行することも大事ですが、めまぐるしく変わる戦場においては、主体的に情報を取りにいって判断し動くということが何よりも求められます。

アナログなオフィスでは取りたくでも情報を取りにいけなかったけれど、デジタル化が進めば情報を自ら取得することが可能になります。むしろ、バックオフィスの本質的な仕事とは、「情報が適切に集まるような仕組みを作る」ことと言っても過言ではないでしょう。

経理にしても、労務や人事にしても扱っているのは「情報」です。これまでアナログで管理されてきた情報は、管理するにも処理するにもかんりの手間と時間が必要でした。処理するシステムが用意されていても、紙に書いている情報をいちいち打ち込んで処理するというのが当たり前でした。

ERPやSaaSのAPI連携が解決しようとしているのはこのような二度手間や、無駄なアナログ化です。デジタル化の必要性を理解した上で、自らその情報を主体的に取りに行く。ただのアクションだけではなく、それができるような仕組みを作る。

そういう主体性が次世代バックオフィスには求められています。

3.ビジネスに興味がある

私たちが経理職の面接をしていて一発で終了になる回答があります。

「現職(もしくは前職)の年商と月商はどれぐらいでしたか?」という質問に対して、「入力していただけなので分かりません」という回答です。会計事務所の経験者に対して、担当先の規模等について質問する場合もどうようです。

伝票入力は大事な仕事のひとつだとは思いますが、それを入力した結果として財務諸表がどうなっているかを確認もしていないというのは、ただのオペレーターとしてもいかがなものかと思います。こういう仕事をしている人は、早々とAIに仕事を奪われるでしょう。

経理は後方支援部隊ですが、その職責はビジネスを会計という統一ルールのもとで数値化することです。正確なデータを作成することはもちろん大事ですが、まずは自分はどんなビジネスを取り扱っているのか、どうやって利益を出しているのか、どんなビジネスモデルなのか、という部分に興味を持つかどうかで、経理処理のアウトプットが全く変わってきます。

そもそも、ビジネス全体を見なければ適切な処理方法や効率化の方法は見えてきません。そうなると目の前の伝票を処理するという作業だけをこなしているだけになり、経理の仕事をしているとは言えなくなるのです。

Brownies Worksではヒアリングの際にも、経理処理方法などの話よりも、「どういうビジネスモデルか」「どうやって利益を出しているのか」という話をしっかりするようにしています。今どうやって処理しているかは参考情報としてお聞きします。なぜなら、「今までやっていた処理が正しい」とは限らないからです。全体の業務フローや仕組みを理解した上で、適切なバックオフィスの処理を再構築していきます。

バックオフィスはこれまでアナログで非効率な作業に埋もれて、そういうことを考える余裕はなかったかもしれません。しかし、デジタル化によって処理や管理の負荷は確実に減っていきます。そうなった際に、処理をすることが仕事だと思ってしまうと、処理がなくなった分だけ仕事が減っていきます。

経理処理とは伝票を打ち込むことではありません。ビジネス上の動きを情報として適切に収集した上で、それを会計データに変換し、記録することです。ビジネスの理解、情報の統制、それを正しく処理するための知識や経験などが必要不可欠です。税法や会計基準を勉強することも大事ですが、ビジネス全体の理解度が最も重要だと考えています。

Brownies Worksではヒアリングの際に、社長もしくは事業責任者の方に出席ただくようにしていますが、ビジネス経験豊富なこれらの方々からきちんとヒアリングをするためにはこちら側も幅広くビジネスについての知見が必要になります。その上で、その知見と会計知識や税務などを掛け合わせて、プロとして「適切な処理方法」に導いていく必要があります。

デジタル化とは処理が早くなることや自動化することが本質ではありません。正しい情報がインプットされるように仕組みを作り、それが正しく処理されるようにシステムを設定し、アウトプットされる情報が正しいかをチェックする。システムは設定されたとおりにしか動かないので、これらをきちんと理解し、統率する人間が必要不可欠になります。デジタル化すれば人がいなくなる、というは誤解です。デジタル化すれば、機械的な処理しかできない人間はいらなくなるのが正解です。

アナログな証憑をかき集めて、会計システムにひとつずつ入力しなければいけなかった時代は、きたものを処理するだけで良かったかもしれません。しかし、SaaSによってデータの取得や処理が行えるようになった現代は、経理処理をする前のビジネスフローとデータフローを適切に整備し、情報が適切に流れるようにするスキルがなければ、デジタル化のポテンシャルを活かすことができません。

専門知識は大事です。しかし、それだけで勝負ができるのは高度な専門知識を持つ一握りの人だけです。多くのバックオフィスは、専門知識に加えてビジネス全体の理解度やシステムの仕組みをきちんと学ぶ必要があります。


真面目に言われたことをマニュアルを遵守して黙々とこなす。そういったバックオフィス像とはまったく別のものを私たちは「次世代バックオフィス」と呼んでいます。

まだ私たちが求めているスキルやマインドを持った人はほんの一握りかもしれません。しかし、これから5年・10年というスパンでは必ずこの資質が必要になるという想いで、私たちは次世代バックオフィスの型を作ろうとしています。

まだまだ始まったばかりですが、私たちと一緒に次世代バックオフィスの型を作ってみたいと思う方がいらっしゃいましたら、お気軽にご連絡をお待ちしております。


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