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Backyard:TODOからTOBEへ

こんにちは、Backyardの武内です。
現在、バックオフィスを主なターゲットにした業務フローの作成&運用のためのツールを開発しております。

今回のnoteではどういう切り口で「バックオフィスの業務管理」という手垢がたくさんついているであろう課題に私が挑もうとしているのか、について書いていきます。

1.TODO管理の限界

バックオフィスで一般的な業務管理ツールといえば、TODO管理ツールでしょう。代表的なアプリはAsana、Trello、Todoistなど。やること(タスク)が明確に決められている場合はこれらのツールで問題ありません。

しかし、バックオフィスには実は「決められた通りに処理すれば完了する」業務というのはほとんど存在しません。例えば、受け取った請求書の支払&仕訳登録をするにして、「発注/支払の承認を得ているか」「納品は完了しているか」などを確認した上で処理を進める必要があります。請求書の金額を機械のように入力すれば完了するわけではないのです。

よって、TODO管理ツール内では完結せず、タスクを処理するために様々なところに散らばる情報(社内wiki、slack、議事録、電子稟議etc)をかき集める必要があります。

TODOリストは終わったかどうかの結果を記録するだけのものであり、本当に実務に必要なのはそれらの情報を統合するHUB的なツールなのです。現時点ではそれはExcel/スプレッドシートが担っています。

しかし、Excelは柔軟すぎるために、きちんと管理しようとする管理工数が余計にかかってしまう、という矛盾が生じてしまいます。

Excel管理は結構しんどいことは分かっているけれど、TODO管理ツールでは不足なので使わざるを得ない、というのがバックオフィス担当者の本音ではないでしょうか。

完了有無や期限管理、という観点でTODO管理ツールは有用ですが、それは本当に管理したい情報のほんの一部に過ぎないのです。

2.可視化と共有

今回Backyardを開発するにあたって、100社近いバックオフィスの方々にヒアリングをさせていただきました。多くの方々が、Excel依存の管理状況に限界を感じ、「何かいいツールはないか」と探されている状況でした。

その候補としてよく上がってくるのが、プロジェクト管理ツールです。Backlog、Wrike、Jiraなどがその代表格ですが、それらはバックオフィスの業務に最適化したツールとは言えません。プロジェクト管理ツールを使っているほとんどのバックオフィスの方が、「開発チームが使っているので、ついでに使わせてもらっているが、管理しやすくはない」と口をそろえておっしゃっていたのが印象的でした。

バックオフィスの業務は基本的には「終わらせて当たり前」のものばかりです。入社に伴う社会保険手続きや支払手続き、契約書の締結などが終わっていない、ということは許されません。

だから、無理矢理にでも終わらせます。終わらせなければいけません。しかし、その処理プロセスが周囲と共有できてはいません。業務フローや手順書などに落とし込むことも出来ていません。これが「属人化」の問題です。なんとか回っているが、担当者が変わった瞬間に崩壊します。

マニュアルや業務フローを作成し、「上司の承認」というチェックプロセスを経ることで、形式的には品質を担保していることになってはいますが、その多くは形骸化しており、管理のための工数だけが膨らんでいるのが実態です。脱ハンコによる電子稟議の導入などの多くが、既存の業務プロセスを踏襲してしまうため、本質的な課題は放置されています。

今回のヒアリングで最も良く上がったバックオフィスの課題が「引き継ぎ」の問題でした。マニュアルや業務フローは作りっぱなしで更新されず、TODO管理ツールやExcelでのタスク管理は終わったことを確認できるだけ。何をどのように行っていて、どういう判断ポイントやコミュニケーションが必要になるか、ということは全くといっていいほど可視化も共有もされていないのです。

規模の拡大や、現在の担当者の退職や異動など属人化のリスクは放置すればするほど大きくなります。テクノロジーが進化して、バックオフィスの仕事をすべて自動化するまで待っている余裕はなさそうです。

そもそも、現時点で可視化も共有もされていない業務プロセスは、テクノロジーで自動化することもできませんが・・・

3.アジャイルなアプローチ

ヒアリングではバックオフィスのプレイイングマネージャーの方とたくさんお話しさせていただいたのですが、「業務フローやタスクをきちんと整えてから仕事をお願いしたいのだが、その時間がないため、担当者に丸投げになってしまう」という悩みを多くの方がお持ちでした。

マネージャーとしてきちんと内容を把握したいし、全体のコントロールや改善をしていきたいが、自分でも業務を抱えているため、担当者に業務がどんどん属人化してしまっている。属人化のリスクは分かっているが、リソースも足りないので、現状から抜け出せない。

こういう状況に陥っている方は多いのではないでしょうか。

このままじゃダメなのは分かるが、解決策がない。であれば、少し視点を変えて見ればいいのではないか、という話を最近よくしています。

この悩みの前提としては「マネージャーが全体を把握し、きちんとコントロールするべき」という思いがあるはずです。しかし、デジタルツールによって各担当者の処理能力は拡張され、昨今の脱ハンコや電子帳簿保存法改正など、バックオフィスを取り巻く環境は日々変化しています。

「たった1つの正解」をマネージャーが決めて、それをコントロールして部下に処理させるようなアプローチ(いわゆるトップダウン)そのものが、機能しなくなっているのではないでしょうか。

特に日々の業務の掌握や改善などはマネージャーがすべてコントロールするのには無理があります。だからこそ、ボトムアップで個々の担当者が自ら判断し、業務を組み立てたり改善したりする方にスタイルチェンジする必要があると私は考えています。

もちろん、好き勝手やらせる、丸投げするのではなく、マネージャーとして押さえるところは押さえるし、内部統制など必要なコントロールを効かせる必要はありますが、業務の細部までは口出しせずに「ここはあなたの担当範囲なので、どんどん工夫してみてください」と任せてみるのが重要です。

そして、もう1つ重要なのは、「決められた通りに処理する」ことがゴールではなく、業務を処理しながら常に小さな改善を繰り返していくことを是とするアプローチの導入です。VUCAの時代などと言われますが、「正解」がない時代、詳細なマニュアルや業務フローを頑張って作るよりも、常に見直しや改善を反映できる仕組みを構築する方が有用です。

タスク管理ツール、プロジェクト管理ツール、Excel及び担当者の頭の中での管理において、決定的に欠けている視点がこの「常に改善し続けること」であるという前提に立ち、Backyardというツールの開発を進めています。

最初から「完璧な業務フロー」など作れるわけもないのであれば、運用しながらずっと改善し続けられる仕組みを機能の中に組み込む。これこそデジタルツールで行うべき意味があることだと考えています。

内部統制で求められるマニュアルやフローチャートももちろん必要ですが、日々の実務においては小さく改善サイクルを回せるアジャイルなツールこそが今のバックオフィスに欠けているのです。

それが私がBackyardで実現したい「TODO(やること)からTOBE(あるべき姿)へ」というメッセージの真意です。

4.最後に

「管理」と「マネジメント」は違います。

バックオフィス業務もそろそろチームを適切にマネジメントして成果をあげるフェーズに移行してもいいはずです。Backyardはそんなマネジメントの仕方や業務のやり方を作り出せるツールでありたいと考えております。

既存のタスク管理ツールやExcel管理に限界を感じている方は、現在β版を無料でご利用いただけますので、ぜひお試しください。

また、Meetyでカジュアル面談も募集中です。特に、バックオフィスのデジタル化や効率化に興味がある方、ぜひぜひお話ししましょう。キャリアのこと、Backyardという会社のこと、SmartHRグループのことなど、話題はなんでも大丈夫ですので、お気軽に登録してください。

今後noteではバックオフィスの業務フロー作成の事例なども発信していきますので、ご興味がある方はBackyardのマガジンもぜひフォローしてください。

それでは。

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