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何のために新しいプロダクトを作るのか

こんにちは、BYARDの武内です。
2023年2月18日(土)にCoral Capitalさん主催のStartup Aquarium 2023にBYARDも出展してきました。

当日は私も10人以上の方と面談させていただいたり、ブースでお話ししたりと、ずっとドタバタしていて、気付いたらイベントが終わっていた、というぐらい嬉しい悲鳴でした。

多くの方から「どうやってBYARDみたいなものを思いついたんですか?」と聞かれたので、このnoteではそれらの経緯やBYARDの狙いなどを書いていきます。

1.BYARDで解決したかったもの

BYARDというプロダクト(らしきもの)の必要性を私自身はずっと感じていました。自分でバックオフィスをやっているときもそうでしたが、コンサルタントとして様々な企業の業務プロセス構築に関わるようになってからその思いはより一層強くなりました。

Asana、Trello、Bizer teamなどの使い勝手が良いツールは存在するのですが、それらは個々人がタスクを「忘れない(漏れない)」ように管理することはできても、チーム全体として業務プロセスの可視化や共有、ましてや改善サイクルをきちんと回せているという企業はほとんどありません。

こちらのアンケートでも回答があったように、多くの企業がタスク管理/プロジェクト管理ツールからこぼれ落ちたものを、結局Excelを使って管理をしているような状態です。

また、チェックリストを細かくすればするほど、今度は「チェックする」ということが形骸化してしまい、全部の処理が終わってから一気にチェックをするということがおきます。こうなってしまうと、マニュアルやフロー図も当然に見ていないので、更新されずに放置されてしまいます。

コンサルタントとして、詳細に現状業務をヒアリングし、改善案を提案し、ツールの導入を支援し、かつ、改善後の業務プロセスを設計し、一緒にマニュアルやフロー図をつくって納品する、ということも何度も繰り返してきましたが、納品してから1年経たないうちにその多くは形骸化してしまっていました。

完璧な業務プロセスというものはありません。業務は生き物なので、常に見直されて形を変えていくものです。コンサルタントとして、ヒアリングや整理、設計などはお手伝いできるものの、結局は実際に業務をやる当事者の方々が自分事化して、自分たちで業務を回しながら最適化していかなければならないのです。

そんな思いを込めてつくったのが、この「改善のための2軸のトライアングル」でした。特にマインドの方で「コンサルティングの受け方」とも言えるようなちょっと突き放した書き方をしています。

改善のための2軸のトライアングル

BYARDを開発する前にずっと考えていたこと、それは「使う人自身が業務を可視化したり、改善したりということがやりたくなる(できるようになる)ツールが作れないか」ということでした。たんなる進捗管理や期限管理を超えて、BYARDが「業務設計プラットフォーム」と呼称している理由がここにあります。

2.ソリューションが見えた瞬間

とはいえ、どういうツールを作ればそれが実現できるのか、ということは最初は見えていませんでした。Slack通知を活用した改善サイクルが回るようなシステムの設計図も描いてみたことはありますが、全然しっくりきませんでした。

そこで原点に立ち返り、機能やソリューション起点ではなく、ユーザーの真の課題を理解するために、徹底的なヒアリングを繰り返しました。結果として、課題を掘り下げる中で「属人化の解消」という切り口が見つかり、アローダイアグラムをきっかけに今の「ストリーム」というソリューションの形が見えてきました。

TODO管理は個々人のタスク管理、プロジェクト管理は大きな単位の期限管理、という感じでその間すっぽり抜け落ちている。そしてフローチャートやガントチャート、マニュアル、チェックリストなど、いずれも「紙とペンでやっていたものをそのままデジタル化した」ものがほとんどでしたので、せっかくデジタル上でやるなら、デジタルでしかできない形のものを作れないか、という考えで構築していったのが「ストリーム(Stream)」という概念でした。

ここで考えていたのは
 ・すべてを自動化することは不可能
 ・「作業」ではない部分に仕事の本質がある
 ・システム連携だけでなく、業務と業務の間を表現したい
といったことでした。

かなり曖昧な課題の捉え方ではあるのですが、厳密に突き詰めていくと既存のタスク管理/プロジェクト管理ツールの方にいってしまうので、あえて業務の全体感をフワッと捕まえることが出来るような概念とツールを構築することを意識しました。

自分では特に意識しているわけではないのですが、周囲からはよく「抽象化するの上手ですよね」と言っていただくことが多いので、私自身がコンサルタントとしてお客様の業務を可視化したり、整理するときに行っているのと同じレベルの抽象化と、そこからタスク整理などの具体の両方を詰め込む、といった結構欲張りな方向性です。

Miroのように業務プロセスの全体像を組み立てた後、各カードの中にTrelloのように詳細なサブタスクを持つことができ、かつ、メッセージのやり取りが出来るものをつくりたい。

それが一番最初に私がCTO・辰本さんしたBYARDの概要説明でした。
これまで同居してこなかったドローイングツールとタスク管理ツールをいい感じミックスする。言うは易く行うは難し、の挑戦がここから始まったのです。

3.業務設計コンサルタントが欲しかったもの

コンセプトを固めた後、モックを作り、β版を構築していく中で、プロダクトの方向性としては「ユーザー自身が業務設計ができるようになる」ということを実現したいと強く思っていました。

AIに仕事が奪われる、と言われて久しいバックオフィスです。まぁ確かに単純作業はどんどん人間やるべきことではなくなっていくのは間違いないのですが、では「どういうスキルを身につけたらいいのでしょうか」という質問は様々な場所でよく聞かれていました。

その際には「設計力を身につけましょう」と答えていたのですが、結局「それは普通のバックオフィスの人には難しいんじゃないですか」と言われ続けてきました。

ストリームという概念を構築し、それを具現化していく中で、
「このツールだったら、バックオフィスの人達でも業務プロセスの設計ができるようになるかも」という手応え感じていたので、プロダクトの方向性として「あえて制約をつけることで、自然といい感じで作れるようになる」というラインを重視しました。

こういう話はこれまであまりしてこなかったのですが、導入事例のインタビューなどでは、「BYARDを使ったら難しいと思っていた業務設計が自然にできた」というフィードバックもいただけるようになり、頭の中で思い描いていたものが、ようやくツールとして価値を出し始めた感触を得ています。

4.ストリームはKANBANの次になれるか

Startup Aquarium 2023ではたくさんの人にストリームという概念の説明をしたのですが、ある方が「ストリームはKANBANの次の業務管理の定番になるかもしれないですね」という嬉しいフィードバックをくれました。

Trelloの登場によってタスク管理の定番になったKANBAN方式は、今ではあらゆるツールで使われています。カードをドラックすることでフェーズを簡単に変更できるので非常に便利ではあるのですが、「○○を処理する」といったシンプルなタスクしか管理できません。

ストリームは、複数のタスクで構成された業務プロセスそのものを扱うことができるので、デジタル化によってどんどん複雑化していく業務プロセス全体をコントロールするには最適なのかもしれません。

まだまだ到達したい地点は遙かに遠くにありますが、導入企業さまも増えてきており、これからも「真に生産的な仕事に人間が従事できる世界」を目指して邁進していきます。

採用関連情報

そして、BYARDは積極採用中です。全方位で募集中です。求人一覧にない職種でも「こういう仕事ができる」というものがあればご連絡ください。

まずはカジュアル面談からで結構です。お気軽に30分お話ししましょう。


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