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スタートアップ初期のバックオフィスの最適解でありたい
こんにちわ、リベロ・コンサルティングの武内です。
2020年1月からBrownies Worksというサービスを本格的に運用をはじめて、ありがたいことに導入者数も対応スタッフも少しずつ増えてきました。本当に到達したい目標地点と比べるとまだまだなのですが、サービスを出してみて初めて言語化できた部分もあるので、その辺をこのnoteで少し書いてみたいと思います。
1.Brownies Worksのコンセプト
Brownie(ブラウニー)はスコットランド地方の妖精のことです。ちなみに複数いるのでBrownies(ブラウニーズ)です。Minion(ミニオン)とMinions(ミニオンズ)みたいなもんですね。
この妖精、家主が不在の間に家を片付けたりしてくれるらしいんです。日本の座敷わらしとはちょっと違う感じで、おもしろいなと思って、そのままお名前を拝借しました。
Brownies Worksはそこを軸に「いつの間にかバックオフィスを片付けてくれる」がサービスコンセプトです。
2.バックオフィス業務のために起業したのではない
このキャッチコピーは弊社でもフル活用させていただいているboardさんのトップ画面に書いてあるものです。そうなんです、バックオフィス大好きな起業家なんかいません。
でも、請求書の発行や入金確認、給与計算や労務管理、そして決算と申告。これらのバックオフィス業務って会社である限り当たり前にやらないといけないことです。
やらなければいけないけれど、優先順位は低い。これがスタートアップにおけるバックオフィスの位置づけかと思います。シード期であれば、投資家からもそんなに頻繁に財務報告は求められないですし、そもそもまずはプロダクトをローンチして、売り上げを拡大していかないことには、バックオフィスもなにもありません。
しかし、売上げが拡大し、人も少しずつ増えてきた段階で、ふと気づくのです。「この状態はやばい」ということに。
まずバックオフィスがきちんとしてないので、お金を借りるにも、追加で出資を受けるにも、正しい財務データがどこにもないのです。申告作業だけは税理士にお願いしてなんとかしていても、その財務諸表は「税務申告のためだけ」のものであり、銀行や投資家に見せられるものにはなっていないことがほとんどです。
ちなみに、税理士を責めるのはお門違いです。たぶん、超安い決算料で依頼をしているので、その料金に見合った仕事をしたというだけの話です。
この辺で「そろそろバックオフィスができる人をいれよう」という話が浮上してきます。
3.まだまだ駆け出しのスタートアップは優秀なバックオフィスを雇えるのか?
採用に動いてはじめて、厳しい現実に直面します。
どんなに素晴らしいビジョンがあり、将来は世の中を変えるようなプロダクトを作っているとしても、世間では無名のスタートアップにジョインしてくれるようなバックオフィス人材はそうそういません。
アルバイト募集を出してもスマホでは打てるが、パソコンで文字が打てない人ばかりから応募がきたり(※実話です)、アルバイトを雇ってみても、以外と「指示を出す」のが大変で、出勤日前にやってもらう仕事を作るのに憂鬱になる始末・・・
そう、「バックオフィスの人を雇えばいい」というような単純な課題ではないのです。解決するべき課題は「バックオフィスをきちんと構築する」だったはずなのに、いつの間にかそれが「バックオフィスの人を採用する」にすり替わり、いざ雇ってみても本来の課題は当然に解決されないということが起きます。
シリアルアントレプレナーであれば、この段階で自分の人脈を使って、バックオフィスをゼロから立ち上げられるスーパーマンを連れてきます。しかし、そんな人脈もツテもない起業家が出した普通の求人票でくる応募は、ほぼ間違いなく普通の人なのです。指示されたとおり処理することはできても、グチャグチャの状態からバックオフィスを構築することなどできません。
4.SaaS乱立で上がる構築の難易度
そして、今はバックオフィス系のツールもSaaS乱立期。機能豊富なサービスがリーズナブルな価格で使えるのはいいことですが、選択肢も多すぎますし、適切な組み合わせや運用を設計する難易度はむしろ上がっています。
複数のSaaSを使ってバックオフィスをスマートに構築する、という課題は本来であればコンサルとしてそういうプロジェクトを担当したことがあるような人をアサインしたいところです。しかし、初期のスタートアップがそういう人材を引っ張ってこれたとしても、バックオフィスよりは事業構築側にアサインするでしょう。
そうして、バックオフィス構築をアサインされるのはこれまでバックオフィスをどこかで経験してきた普通の人になります。SaaSという言葉も知らない人が大半です。Excelが得意な人は結構多いのですが、それが逆に「SaaS上で業務を完結させる」ことの弊害になることも多々あります。
経験者からすればそんなに大変でないことも、すべて手探りで進めないといけません。しかも、バックオフィスの業務は結構細々したものがたくさんあるので、意外と「新しいことをする、考える」という時間がとれません。
そうして、「暫定的に」始めたExcelだらけの運用がいつの間にか通常の運用になり、SaaSの活用はどこかにいってしまうのです。
5.アーリー期こそパッケージで効率化
ここまでのお話はスタートアップ数社でバックオフィスの立ち上げを経験してきた僕自身の実話を織り交ぜたお話です。
とにかく「バックオフィスの立ち上げをできる」人を採用できる確率はほぼゼロです。しかし、現実的にはまずは目の前の「リソース不足」を解消しなければ、バックオフィスの効率化はできないのです。
しかし、ここで少し立ち止まってみてください。
リソース不足を解消する手段は、採用だけでしょうか?
採用が目的ではないのであれば、外注(派遣も含む)も選択肢になってくるはずです。しかし、「いったことを淡々とこなしてくれる」外注先はあっても、バックオフィスの業務全体をスマートに再構築してくれるような外注先はありません。
安定した企業の業務をアウトソーシングすることと、将来的に規模が10倍にも100倍にもなるスタートアップのバックオフィスを構築することは全く意味が異なります。将来を見据えた基盤作りの知見はもちろん、スタートアップに起こること、必要なことを最初からある程度は織り込んで設計していく必要があります。
そこにBrownies Worksが存在する意義があります。
企業規模が小さい企業に対するビジネスは正直儲かりません。だから、Brownies Worksは1社ずつオーダーメイドでサービスを提供することせずに、「お客様にこちらのやり方に合わせてもらう」ことを前提に、双方にとって最も効率的な業務フローやSaaSの配置をパッケージとして提供しています。
複数社に対して業務設計コンサルティングを提供してきた経験や過去のスタートアップでのバックオフィスの立ち上げの経験から、「中の人が最適なやり方を知っているわけではない」というのが僕の1つの仮説です。お客様が答えを持っていないのであれば、お客様のやり方に合わせていくことはむしろ非効率なのです。
6.スタートアップをメインターゲットにするわけ
Brownies Worksリリースから半年、スタートアップだけではない企業にも提供してきましたが、ここにきて改めてBrownies Worksはスタートアップのためのバックオフィスの構築・運用サービスでありたい、という思いを強くしました。
スタートアップには後退はもちろん現状維持さえも許されません。求められているのはプロダクトやサービスをひたすら拡大していく未来だけです。
前述の通り、バックオフィス業務をやりたい起業家は皆無かと思いますが、事業や組織を拡大させるためにはバックオフィス構築は避けては通れません。しかし、そのノウハウを持った人はまだ少ないですし、初期のスタートアップにジョインしてくれることはないので、どうしても後回しになり、非効率だと分かっていてもアナログな処理が積み重なった業務フローが放置されてしまうのです。
この負の遺産は、本当に事業拡大に受けてアクセルを踏みたいときに確実に足を引っ張ります。事業さえうまくいってればすべてOKではなく、拡大するためにはバックオフィス構築も非常に重要なピースの1つなのです。ここを軽視していると、すぐに成長は止まり、ボロが出始めます。
これらの課題を解決するソリューションは存在しませんでした。だからこそ、Brownies Worksはその最適解でありたいし、そのためによりスタートアップメインのサービスでありたいです。
Brownies Worksの想定顧客はアーリー期のスタートアップにおいて、バックオフィスの立ち上げに奔走していた当時の僕自身でもあります。起業家が思い描く事業が拡大した未来を支えるための、きちんとした基盤のスマートなバックオフィス構築。僕自身はそうとう失敗もしたし、回り道もしましたが、これからのスタートアップのバックオフィスに関わる人たちが、同じような失敗をしなくてもすむように、Brownies Worksというプロダクトをもっともっと洗練させていきたいと思っています。
スタートアップ初期におけるバックオフィスは課題だらけです。むしろ、課題しかないと思います。誰もが通る道ではありますが、本来は事業の拡大やプロダクト開発に使われるべき起業家のリソースが、得意でもないバックオフィス関連の業務にとられることは、スタートアップ界隈における大きな損失です。
この国のスタートアップ周辺の環境は少しずつ改善されてきました。しかし、バックオフィス構築の部分だけは10年前と何も変わっていません。freeeたSmartHRなどのプロダクトを導入すれば解決するほど簡単な課題ではありません。Brownies Worksはその問題に正面から向き合い、解決していくと心に決めたからこそ作ったプロダクトです。
起業家がバックオフィスの問題で疲弊することがない世界を目指して、これからもBrownies Worksは精進し続けます。
スタートアップ界隈でバックオフィス構築でお悩みの方がいらっしゃいましたら、お気軽にお問い合わせください。Brownies Works導入有無にかかわらず、僕の経験や知見からいろいろとアドバイスさせていただきます。
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