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営業成績が伸びないSaaS企業が、最初にやるべき4つのこと

note2回目の今日は、少し毛色を変えてSaaSの経営Tips的なことを書きます。今回は1回目のnoteでの社内や採用候補者対象というよりは、一般的なSaaS企業の方対象です。特にSaaSで営業始めてしばらく時間が経って、「ようやく売れるようになってきたけど、拡大するにはもう一段スケールアップが必要なんだけどなー」みたいな悩みを持っていらっしゃる方に向けての内容です。

煽りも含めてちょっと刺激的なタイトルになっている一方で、読んでいる皆さんからすると「そんなに成果出てるんか?」と疑問視されるかもしれませんが、最低限の成果は出ていると思っておりまして、そこはご容赦くださいー(汗)

僕自身、この数年間SaaS事業に経営陣という立場で携わってきて、昨年には営業成績を上げる目的でSE(セールスイネーブルメント)室というのを立ち上げて営業の改善を進めてきました。もちろん成功したこともありましたが、失敗したこともたくさんありました。そのTipsとして自分自身の整理、そして他のSaaSに関わる方のご参考になればと思って書きたいと思います。

営業強化する上での前提

まずは前提として知っておかないといけないことは、セールスがうまくいかない際、大体下記の4つくらいに課題が分類されるかと思います。初期時点では課題が単発ではなく、複数が散らばっていることが多いので、大きなインパクトのあるところから順番に改善していく必要があります。

- ①営業プロセスが適切に管理されていない
- ②プロダクトがクライアントに満足されていない(機能が足りない)
- ③営業自身の能力が足りていない
- ④営業の優先度が決まっていない

営業成績が上がらない時点で、多くの人が注目するのが3点目なのですが、個人的には1,2の方が圧倒的にインパクトがでかいので、まず1,2から取り組むべきと思っています。4は1-3がある程度できてくると意味がじわじわ出てきます。

やるべきこと1:営業プロセスの可視化とKPI設定

まずやるべきこと1つ目は営業プロセスの可視化です。「THE MODEL」型の典型的なSaaS企業は
マーケ→インサイドセールス→フィールドセールス→カスタマーサクセス
という4段階のフローを経て成立しており、まずはこのそれぞれの部門でのKPIを可視化しているはずです。

今回は「営業」がテーマなのでこのフィールドセールスに特化して話しますが、このフィールドセールスでよくあるのが以下のように営業プロセスを分解してSFAなどで分解するという例です。弊社で言えば当時の切り方では

新規 → 用途検討 → 見積もり → 口頭受注 → 商談成立

というフェーズ切りで、それぞれの顧客がどのフェーズにいるかを管理して、そこからのフェーズアップをどうするかということを悩みます。

ただしこの切り方だといけていない点があって、一番大きな問題は顧客視点でのプロセスではなく自己視点でのプロセスになっているため、フェーズが進んだかどうかが一部営業個人の裁量に任されてしまっている点です。

そこで僕たちはこのプロセスをさらに分類することで、重要な顧客アクションを外出しして見える化し、フェーズアップするための必須条件を加えることにしました。

例えば、見積りといっても「とりあえず見積もりも送っておいてください」という見積りと「来週の稟議にかけたいので見積もりを送ってください」という見積もりだと温度感が全く異なります。したがって、見積もりフェーズにあげるには現場レベルでのプロダクト導入に対する同意を必須にするということをルール化するなどです。

そのほかにもフェーズをあげるためのルール、フェーズ滞留日数に関するルールなどを決めることによってフェーズ管理の解像度を上げていくことに注力しました。

外部情報として一番参考にしたのは以下。セールスプロセスの改善方法などが事例も交え赤裸々に書かれています。ただ本の表層を読んで真似するだけではなく、自分たちの組織に置き換えて、血肉にしていく部分を意識することに時間を費やしました。

やるべきこと2:プロダクトをニーズに合わせにいく

次にやるべきことはプロダクトのニーズをきっちり掴むです。1と2の優先順位はもしかしたらこちらが先かもしれませんが、仮にでもプロダクトを作る際に最低限のニーズをつかんでいるという前提で、これを2番目に持ってきています。

スタートアップのプロダクトは当初リソースがない状態で始めているので、リリース1年目などの状態では、
顧客ニーズ>プロダクトの機能
となっているのは当然の状況です。

ここで必要なのが「失注分析」。営業プロセスのどこかで失注することがあると思うのですが、
「なぜ失注したのか」
をきっちり分析することが重要です。いくつかのパターンに分類できると思うので、課題の大きなところから後追いで高速に埋めれるかどうかが、本当にPMFできるかどうかの分水嶺になると信じています。

やるべきこと3:営業能力の平準化

そして最後は、営業の中でも稼ぐ人とそうでない人が出てくるという点です。成果が出ない人の中での一番多い原因は「自己流営業」にこだわるという点です。

まずは型を覚える。そこから自己流に少しずつ改善を積み重ねるがベストプラクティスだと思います。そのために型を作るという作業を最初に行いました。僕たちの会社であれば、業種ごとの基本アプローチを決める(弊社であればどういう悩み・どういう用途が多く、どういうトークをするのが効くのか)・業種ごとのボトルネックとその突破策を社内ナレッジとして溜めて全員が活用できるようにするということでした。

特にこのプロセスでは、キーエンスさんの営業の型を徹底的に研究し、導入することにしました。具体的には以下のようなものです。

- 徹底的な営業ロープレ
- 朝夕の外報(外部報告書)提出と上司によるチェック
- 営業事例共有会

やるべきこと4:販売戦略の策定


最後は1-3を踏まえて、販売戦略を策定するという点です。販売戦略策定の上での最重要論点は以下の3点です。

- お客様は誰か(大枠のターゲティング)
- 特に大切にすべきお客様は誰か(細かなターゲティング・優先順位)
- お客様をめぐる競争にどう勝つか(ポジショニング・標準化)

過去の商談を踏まえて上記を整理して、大枠でどこを狙うのか、どのお客様を優先するのか、どう勝つのかをまとめて方針を示すことで、マーケから始まる上流工程の動き方、優先順位も明確になり、遅行して後工程の成果も出てきます。

弊社でも今は優先ターゲットが3業種くらいあって、元々この販売戦略を策定する1年前は月売上に占めるこの3業種が占める比率が52%だったのですが、販売戦略を策定し3業種を中心に獲得する動き方に変えたところ当該比率が92%まで高まりました。改めて作戦を明確に打ち出す重要性を噛みしめているところです。

このBCGの今村さんの本は、代表の林に勧められて読み返したのですが、15年以上経っても色あせない名著でした。


終わりに

いかがでしたでしょうか。ドンピシャのフェーズの方でないとハマらないかもしれませんが、少しでもSaaS営業を加速する上での参考になれば幸いです。

弊社でも上の点からはじめて、今はさらに営業プロセスも進化して新しい型が生まれ続けています。個々の会社の特徴はあるので、うまく自分の会社の状況を踏まえながら取り入れていただければと思います。

弊社はインサイドセールス、フィールドセールス、カスタマーサクセスの営業職は引き続き募集中です。ご興味ある方はカジュアルにお話しするところからでもOKですのでぜひお問い合わせください!


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