大学生のつぶやき|組織マネジメントとカルチャー


企業にはカルチャーがあります。

社風とも呼ばれます。
組織のカルチャーに応じて情報の伝達がスムーズになる・作業効率が高まる等のメリットがあるのでカルチャーは大事です。

とは言うものの、組織・カルチャーについて言語化し、普遍的な議論を展開することは非常に難しいです。(実際そのため、当初の予定よりも執筆が大幅に遅れてしまいました、、)(;゚ロ゚)

もちろん、ファイナンスや法務と言った専門家が取り扱う領域は非常に難解です。

しかし、組織経営にはこうした専門領域とは異質の難しさがあり、組織経営のプロ職が資格試験化されていないことからもそれが覗えます。

#企業のカルチャーの例

どんな企業にもカルチャーがあります。

ここではカルチャーの例として、メルカリのカルチャーを紹介します
メルカリでは社員相互の信頼関係を大事にしていると宣言しています。
社内に信頼にがあるからこそ情報の透明性が保たれ、組織をフラットに構築することが可能になっています。
結果として一人一人が自発的に考え、行動することが可能で、社内の生産性が高まります。
これをメルカリでは”Trust & Openness” と呼んでいます。

#企業文化を育成する意義

企業文化を社員に浸透させることで上司からの指示を受ける背景を知りつつ次の行動や思考に移ることができるため、意思疎通コストを減じることができるという実利があります。


また、企業のカルチャーには会社の理念や目標が反映されることもあるので、漠然としたものになりがちな理念や目標を具体化した形で共有できるという点にもカルチャーの存在意義があります。

#カルチャーで社員のパフォーマンスを上げる


こうした社風は社員のパフォーマンスの向上にもつながります。
例えば、”バリューのある仕事をしよう”という社風が共有されているのか、与えられた仕事を単に期限ギリギリまでにこなそうという姿勢で社員が働くかでは生み出されるアウトプットの質も異なってくるでしょう。

また、上司の指示になかった収益化のチャンスに気づき実行に移したり、企業にとってリスクとなり得る要因に対応する可能性が生じるのも社風によるところが大きいでしょう。

#給与面以外でのインセンティブが必要

給与面で社員のインセンティブを高めることは可能ですが、完全成果報酬型の給与体系を取り入れない以上、「社風」や「やりがい」と言った面から社員が能動的に働く環境を整えていくことが必要になります。

給与以外の目的のためにも働くというカルチャーが共有されていることで、社内で「やらされている感」なく、主体的に仕事に取り組むことが可能になります。


一度、社員がカルチャーを身につければ組織の目標とするところに向かって、能動的に各社員が動き出すため、速い段階で社内のカルチャーを浸透させることが重要になってきます。

#社員が模倣可能性も留意する

組織のカルチャーを実際にどのように社員に浸透させていくのかも大きな課題です。


メルカリの場合、”Trust & Openness”という理念を掲げても実際には社員にどのように伝えていくのかという問題が生じます。

メルカリでは、コロナウイルスの感染拡大後、新入社員を対象とした”Zoom飲み”を実施しするなどの取り組みも行っていました。“飲み会”は日本では特に多用される交流方法です。しかし、”飲み会”以外にも社風を浸透させる方法はないのでしょうか?

SNSでのやりとりや個人的つながり等があげられますが、やはりそれぞれに信頼関係を深めれる度合いや人数規模に限度があります。

現時点では僕はこれらの合わせ技で臨むしかないと考えています。

特に個人的つながりは重要で、仕事外でのつながりにも発展させられるレベルに達すると非常に強固な紐帯となり得ます。

#Googleの実験

1997年に創設され、社員一人当たりの年間売上高が1億円とも言われるGoogleも社員育成・チームビルディングの面では苦悩してきたという過去があります。

(僕はGoogleをかなり敬っていす。なので、本当に組織経営って難しいんだな、、という気持ちになります。。)

#上からの企業文化マネジメント策


企業のカルチャーをどのように浸透させるかという疑問に答えるため、さらにGoogleの事例を考察します。


Googleではかつて、組織において優れたマネージャーの要件を突き止めるというプロジェクトを遂行するにあたり、まずはマネージャーはいなくとも組織は機能するということを証明しようとしていました。

社員ひとり一人のレベルが高いGoogleですから、こうした仮説を持って挑むことも納得がいきます。


しかし、Googleは実際には「優れたマネージャー」がいるチームの方が満足度や生産性が高いという結果を導きました。


さらに、Googleではよいマネージャーの特徴について社員にアンケートを実施し、次の10項目をよいマネージャーの行動規範として言語化しました。

・良いコーチである
・チームに任せ、細かく管理しない
・チームの仕事面の成果だけでなく健康を含めた充足に配慮し包括的なチーム環境を作る
・生産性が高く結果を重視する
・硬化的なコミュニケーションをするー人の話をよく聞き、情報を共有する
・キャリア開発をサポートし、パフォーマンスについて話し合う
・明確なビジョンや戦略を持ち、チームと共有する
・チームにアドバイスできる専門知識がある
・部門の枠を超えてコラボレーションを行う
・決断力がある

これはあるべき、「マネージャー像」に関する議論ですが、マネージャーの態度がその下の部下の組織観にも影響を与えます。そのため、「上からの組織改革」を行う際には以上の箇条書きを実行に移せるマネージャーを配置できることが重要になります。

#大企業の組織図は果たして効率的か


組織が拡大するのにつれて非効率的な部分が生じてきてしまうのも事実です。
問題であると密かに認識されていても、そのままの組織の状態を放置することで莫大な損失となっているケースもあるため、注意が必要です。

よくある非効率的な組織図の例としては、円滑な意思疎通を妨げる縦割り制度や、セクショナリズムが挙げられます。


こうした非効率的な組織を改革するには、経営者層から意思伝達を潤滑にする組織改革を行うことや、一般社員の中から積極的に組織の効率的な作用への体質の変化を求める動きが必要です。

ただし、そうした改革が起こるかどうかも既存の組織のカルチャーに依存する側面が大きく、こうした点でカルチャーに迎合せず、尖ったセンスを持っている人材が組織に紛れていたことが功を奏する場面も想定できます。

(僕はこうした尖った才能も好きです♥)

#外部環境からの支援は必要


多くの場合、経営層から、もしくは一般社員層からの組織の効率化を求める動きを受けて社内で自主的に組織改革が進むことが望ましいですが、場合によっては外部の組織から変革の指南を受ける場合もあります。


その一例がコンサルティングファームへの諮問を経て組織改革を進める事例です。

世界を代表するコンサルティングファームである、ボストン・コンサルティング・グループ(以下、「BCG」)でも、組織のトランスフォーメーションの立ち上げに際して、「組織カルチャーの変革の重要性を軽視しない」ことをあげています。

そうした事例については以下のBCGが関わったエアバスの改革の章で詳述します。

また、規模の大きくないスタートアップ企業の場合、カリスマ性のある個人投資家等、強烈な個性の存在により組織が改革が進むケースも考えられます。

ただし、投資家の介入のケースは例外的ですが、外部に組織改革の支援を求める際にも経営陣が何らかの形で組織改革を進めようという意思決定をすることは必要になります。

また、民間企業間で組織変革を行うだけでなく、政府機関から経営体質の健全化に向けた介入を受ける場合もあります。

しかし、実際には後者の例は倒産した企業や倒産寸前の企業に対してなされる民事再生といった事例が大半であるため、望ましいものとはいえないでしょう。

#組織文化の変革の方法


Googleではマネージャーの質を「マネージャーの業績」・「社員アンケートからのフィードバック」の2つの定量的尺度で定義しています。

こうしたフィードバックは組織改革の指針を決定する際の判断材料にはなりますが、組織改革の方法自体にはなり得ません。

あくまで一つの例ですが、時には組織から既存のメンバーを除くことでカルチャーの改革を図ることも現実的には考えられます。

新規事業の実行という目標の設定や、業績の改善等をきっかけに社員の士気が高まり、社風の改善につながることも考えられます。

#変革の事例

BCGでは世界的金融グループのオランダINGのトランスフォーメーションに関わった実績があります。

その際の英文がインタビューでの返答になります。

BCG's Consultant : What did you try to change about the way of working in the organization?
①ING's CEO : There are a few things. One of them is collaboration, and what I mean by that is removing obstacles so that teams and individuals can work more effectively together. 
②Another thing is empowering people, giving people a higher level of responsibility. People can decide things themselves, so they feel more empowered and more passionate.

③And last but not least, I would say culture. Next to structure and organization, you need a strong culture—and you need to implement it in every detail in the organization.

特に③での返答で組織の文化の重要性が語られています。

また、INGのCEOはアジャイル(柔軟)なた働き方の導入が個人の権限を強化し、刺激的なビジョンを持てる組織への改革につながったと語っています。

引用元リンク: https://www.bcg.com/ja-jp/publications/2017/technology-digital-financial-institutions-nick-jue-transforming-ing

#最後に

企業の組織論は非常に難しいものです。

人同士の生のぶつかり合いの総体が組織のカルチャーとなるため、究極的には人の問題と言えるでしょう。

こうした人の問題に対して、給与面でのインセンティブの確保だけでなく、ビジョンの策定や権限の調整、報告・連絡系統の整備を通じて総合的に向き合っていくのが、企業の組織管理の方策です。

組織だからこそ可能なことと、属人的な解決しかなしえない点を見分けながら良好な組織文化を気づいていくことも、経営者にとって非常に重要なソフトスキルでることを痛感しました。

個人的にはこのまとめnoteでは組織・文化論についてまだまだ考察が足りていないと感じているため、今後も組織・文化に関する考察を続け、定期的に言語化していきたいです。



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