見出し画像

『MUFFIN STAND SOTERIA』 

東京都江戸川区にあるNPO法人 東京ソテリアが母体の、ソテリアファームが運営する『MUFFIN STAND SOTERIA』は、新宿区の四谷駅前にある店舗を持ち、マフィンを販売しています。そのマフィンのレシピを改善し、店舗をリニューアルするというコンサルティングを私たちが行いました。

このコンサルティングをすることになったきっかけは、埼玉県熊谷市にある埼玉福興でのイベント。ソテリアのスタッフとメンバーたちと知り合い、ソテリアファームの課題解決のお手伝いをすることになりました。

このソテリアファームは、就業困難な状況にあった、様々な国にルーツのあるスタッフが多く働くソーシャルファームです。

リニューアル前の店頭


厨房の課題を様々見て、基本的な改善からはじめ、最終的に新しいレシピを提供してくれたのが、こちらのお二人。

武井 一仁氏 (ホリスティックフード コンセイエ)

フランス料理店「オテル・ド・ミクニ」製菓長を経て渡仏。

「ホテル・リッツ・パリ」を皮切りに地方を巡り欧州食文化の研鑽を積む。 帰国後、パテスリー。カフェ。レストラン。クレープリー等、複数店舗を運営する傍ら、自身のライフワークとして「包括的な食育活動」を展開。 現在は食の全てに領域に関わる「ホリスティックフード コンセイエ」として、幅広く活動する。


茂木 渚 氏 (トータルフードコーディネーター)

フランス料理店・パティスリー・カフェをはじめ、多種多様な飲食事業に携さわってきた豊富な経験と技術を生かし、現在は飲食事業全てのパートに対応するトータルフードコーディネーターとして活動。 また、薬膳料理をベースとした食育啓蒙活動も展開している。

お二人は、かなり丁寧に寄り添って、スタッフのスキルアップに尽力を尽くしてくださいました。

TalkTreeWORKSHOP®で見出したコンセプトとレシピ

TalkTreeWORKSHOP®

厨房の改善を進めることと並行して、スタッフのみなさんと一緒にワークショップを実施し、コンセプトメイキングをしました。

なぜ、ソテリアに入ったのか?
ソテリアに入ってよかったことはどんなことか?
日本に住んでいて困難に思えることはどんなこと?
日本はどんな社会だったら住みやすいと思いますか?
このマフィンを通して誰にどんな思いを届けたいですか?

この5つの問いをみなさんに投げかけ、それぞれに思うことを書きだし、共有しました。

やぱり外国にルーツのあるスタッフは、言葉の壁に困難さを抱えていることが多く、複雑な作業や仕事ではないことを求めていることがわかりました。
そういうことで言っても、マフィンはシンプルな工程なので、ソテリアでマフィンをつくるということには大きな意味があったと改めて知りました。

そして、お菓子をつくる仕事がしたいという気持ちもうかがえたので、マフィンをしっかり軸に据えて、事業を設計していくことに迷いがなくなりました。

また、もともと、ソテリアファームでは『健康』をテーマに掲げていました。米粉をつかったレシピに加え、野菜の入ったものはメニューの定番に据える必要があり、これが最もこのソテリアのウリであることは間違いないことでした。

武井さん、茂木さんのお二人も、食育インストラクターであり、人の健康によいものをよく知っていて、ソテリアのメニューのテーマにさらに視点が深まり、整理がつきました。

このワークショップを通じて、多様であることの大切さと難しさも素直なスタッフたちの想いのぶつかり合いが垣間見れたときに感じました。それでいて、いろんな人がいることへの興味、関心の高さも感じられました。

ソテリアが健康の次に掲げていた『多様性』は現場にしっかりと表れていて、この組織の一番の価値がここにあると思ってみていました。

ワークショップで見えた、あいまいさ=『Fuzzy』、多様性=『Diversity』、健康=『Healthy』。この3つを枝に見立て、それぞれにメニューを振り分けてみました。

あいまいさ=『Fuzzy』
あいまいさは、いい塩梅と言いかえができる、塩気の効いたプレーンマフィンを中心に展開してはどうだろうかと考えました。
マフィンは、パンでもない焼き菓子でもない、あいまいさがある。さらに米粉でできてるということは、おにぎりにも存在が似ているのではないか・・・。
このようなブレストから、かつて作っていたマフィンにはあったというプレーンを復活させて、真ん中に据え、プレーンを確立させてそれを軸に、他の味のレシピをつくっていくことになりました。こうした基本的なことがルールになかったこともここで発見され、様々なブレが整い始めました。

プレーン

多様性=『Diversity』
いろんな色があるということを多様性に見立てました。そして、マフィンのラインナップを、野菜のパウダーで実現させることにしました。

完熟トマト
小松菜&モリンガ

健康=『Healthy』
広義の意味での健康とは、

人間的健康
・人生の目的や意義を見出し、主体的に人生を選択すること

知的健康
・状況に応じて適切に考え、現実的な問題解決ができること

社会的健康
・他人や社会と建設的でよい関係を築けること

情緒的健康
・自分の感情に気づいて表現できること

こうした健康の文脈の広さを意図し、ストイックな健康志向というよりも、甘いものをいただく豊かな時間も含めての健康という整理の仕方をしました。

コーヒー&ほうじ茶
チョコ&ココア

そして、一番の発見は、ソテリアとは、『回復への贈り物』という意味とこのワークショップの際に知り、ソテリアという言葉自体がコンセプトなのではないかとその場で皆が腑に落ちました。

お客さまに、添加物、保存料の入っていない、米粉のマフィンを食べていただくことで、疲労感がなくなり、エネルギーがチャージされ、元気を取り戻す・・・。そんなギフトにソテリアのマフィンはなれるのではないかと。それと、このマフィンはサラダやトッピングによっていただき方が何通りにもなり、ドリンクの内容によっても様々な楽しみ方ができます。

モーニングにいかがでしょう!『プレーン』
ワインにもあう『完熟トマト』
和菓子のようないただき方も!『小松菜&モリンガ』
和の飲み物ともあう『コーヒー&ほうじ茶』
コーヒーのお供に『チョコ&ココア』

■ロゴマーク、デザイン

マフィンの語源は、貴婦人たちが昔手を温めるために着けていた『マフ』ににているからという説があり、手でマフィンを持っているイラストがマークになりました。そして、マフィンスタンドという名称にしたので、片手で歩きながら食べるイメージもありながらこのマークになりました。

ロゴマーク

デザインは、柿沼智恵さんに依頼しました。
智恵さんにもワークショップに参加してもらい、現場も何度か来てもらい、武井さん、茂木さんとチームで動くことができました。

その他、柿沼さんには看板、パンフレット、チラシ、ショップカード、スタンプ、ユニフォームと様々なデザインをつくってもらいましした。

パンフレット
パンフレット
チラシ

ユニフォームやタペストリーは、TOKYO SOCIAL DESIGNでつくった版でシルクスクリーンプリントしました。

シルクスクリーンの版
Tシャツ
エプロン
サイン
ディスプレイ


ソテリアファームは、外国にルーツのあるスタッフが9割。お国柄、価値観も違い、まさに現場は多様性そのもの。少し複雑なことが苦手な方も多く、言葉の壁もあり、ソテリアファームのスタッフにとって、シンプルな工程のマフィンはこの工房にぴったりなメニューでした。

そして、このマフィンのレシピは、保存料、着色料なしの材料に加え、日本人の腸に取り入れやすい米粉がメイン。お客様のエネルギーチャージにぴったりです。野菜が入ったマフィンのレシピにはそれぞれの栄養素があり、簡単にビタミンなどが取り入れられ、忙しい毎日に手軽に体にいいものを取り入れることが叶います。また、デザートにもなる甘い系のレシピは少し贅沢な時間をつくります。

お客様へ、広い意味での健康をお届けし、スタッフたち自身も仕事が続けられ、この『MUFFIN STAND SOTERIA』から、社会に好循環を生み出したいと願っています。

MUFFIN STAND SOTERIA『BEHIND STORY』より

Design : Chie Kakinuma(ARCHIE
Photo : Masaaki Konno(LLC uto
Direction : Mirei Kato(TOKYO SOCIAL DESIGN


いいなと思ったら応援しよう!