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ライブ・エイドを題材にしてDEIはバックラッシュでDIEになる理由を考える

1980年代に行われたエチオピア飢饉救済プロジェクト「Band Aid」と「USA for Africa」は、世界的なチャリティー活動として大成功を収めました。

しかし、これらのプロジェクトには大きな違和感がありました。

マイケル・ジャクソンやスティーヴィー・ワンダーという大物は「USA for Africa」で活躍しましたが、世界的なチャリティーコンサート「ライブ・エイド(LIVE AID)」に出演したアーティストのほとんどが白人で、黒人アーティストの参加は極めて少なかったのです。

この現象は、当時の音楽業界と社会がいかに白人中心であったかを示すものであり、「多様性」を考える上で重要な示唆を与えてくれます。

白人主導の世界で行われたチャリティー活動は、その意図が善意であったとしても、構造的な偏りや不平等を内包していました。

エチオピアというアフリカの国のためのプロジェクトでありながら、黒人アーティストが十分に代表されなかったことは、音楽業界における人種的な不平等が根強く残っていたことを物語っています。



この状況は、現代における多様性と包摂の議論に通じるものがあります。
多様性時代において、単に異なる背景を持つ人々が同じ場に集まることだけではなく、彼らが平等に代表され、声を上げる機会を持つことが真に重要です。

バックラッシュが生じるのは、既存の権力構造が挑戦されるときです。
多様性の促進が進む中で、従来の特権を享受してきた人々がそれを脅かされると感じるとき、反発が生まれます。

これは、現代においても、企業や組織が多様性を推進しようとするときに直面する問題と類似しています。
多様性を追求する過程で、既存の秩序に挑戦が生じ、その結果として摩擦や反発が起こるのです。


私にとって、アメリカ音楽史は単なるエンターテインメントではなく、歴史や社会の深層を探る窓口でもあります。
黒人音楽を通じて、差別や不平等がどのように現れてきたのかを学び、その知識を共有することは、多様性と包摂の重要性を再認識する手助けになります。

私たちは過去の誤りや偏見から学び、より包括的な未来を築くための道筋を見つけることができるはずです。

黒人音楽が持つ歴史的な背景や社会的なメッセージを理解し、それを現代の文脈に適用することが、私たちが未来に向けて取るべき行動を示してくれると信じています。


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