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今だからこそ黒人音楽のイノベーティブ思考が現代ビジネスに役立つ理由

今世界で話題の「異文化適応力」

「異文化適応力」=CQ(Cultural Intelligence)は、IQ、EQに次いで、21世紀のリーダーに必要不可欠な資質であると言われています。
このキーワードの背後には、多様な文化や価値観を受け入れ、理解し合うことの重要性が隠されています。

「異文化適応力」の本質は?
「個々人の違いを正しく認識し、その違いを力に変える」ことです。

この本質的な多様性理解によって、D&I推進や、その違いを活かしたイノベーション創出つながるのです。

ジャズ、ブルース、R&B、ソウル、ヒップホップなどの黒人が中心となった創造してきた音楽には、その背景に「差別」「分断」「搾取」などの社会問題や歴史が詰まっています。
そんな厳しい環境において、黒人アーティストは「異文化適応力」を最大限に発揮したイノベーションを創出していった最高の事例です。

そして、黒人音楽ビジネスにおいては、良い意味でも悪い意味でも白人が関与しています。

「今だからこそ黒人音楽のイノベーティブ思考が現代ビジネスに役立つ理由」は、この「異文化適応力」を学ぶ最高の教材だと考えているからなのです。
VUCA時代のビジネス・シーンにおいて様々なヒントを与えてくれことは間違いありません。



事業機会はみつけるものなのか?それとも創りだすものなのか?


「事業機会発見型」はジャズ・コンボ型組織が適しているでしょう。

ジャズは基本的な曲の構造(コード進行やリズムなど)メロディやハーモニーが与えられ、それを元にアーティストが即興演奏を行います。つまり、アーティストはすでに存在するフレームの内で機会を見つけ、その瞬間、瞬間で新たな音楽を創り出します。

これは事業の世界でいうと、すでに存在する市場や技術の中で新たな機会を見つけ出す「事業機会発見型」のアプローチに似ています。

即興演奏とは、ある程度のルールやパターンの中で自由に演奏を展開することです。その場その場でアイデアを出し、それに応じて音楽を形成します。

起業家やビジネスマンは、既存の市場や技術、業界の状況(これがジャズでいうところの基本的な曲の構造)を理解して、それらの中で新たな可能性や機会(これがジャズの即興演奏に相当)を探し出し、それを活用してビジネスを展開します。

 つまり、「事業機会発見型」のアプローチでは、外部環境や市場の中にすでに存在する機会を見つけ、それをベースに新たな事業や製品、サービスを創出します。

これはジャズのミュージシャンが既存の曲の構造の中で新たなメロディやリズムを発見し、それを用いて自由な演奏を行う姿に通じます。

「インタープレイ」という概念は、ビジネス組織においても大切なことだと思います。


「事業機会創造型」はヒップホップ型組織が適しています。

ヒップホップは多様な音源をサンプリングし、それを自由に組み合わせて新しい音楽を創造します。サンプリングとは、既存の音楽から一部を切り取り、それを再構成して新たな音楽を作り出す技法です。また、リミックスやマッシュアップなど、既存の音源を自由に操り、新たな音楽的価値を創造する手法が多用されます。
それによって、ヒップホップは様々な音楽ジャンルや文化が交差し、新たな音楽が創り出される場となり、「客演(フィーチャリング)」は当たり前なのです。

これは起業家が自分の行動と創造性によって新しい事業機会を創り出す「事業機会創造型」のアプローチに似ています。
起業家やビジネスマンは、既存のリソースや技術を自由に組み合わせ、新たな価値を創造します。

つまり、「事業機会創造型」のアプローチでは、新たな市場や機会は既存のリソースや技術を創造的に組み合わせることによって創り出されます。

ヒップホップでは、新鮮な視点や独自のスタイルを持つアーティストが評価されます。今後のビジネス・シーンにおいても、独自性と革新性を持つ企業や個人が評価されていくはずです。
新しいアイデアや製品、サービス、事業モデルを創出し、それらを通じて価値を提供することで、市場で成功を収め、競争優位性の獲得に繋がります。

自分たちの組織の目的・目標が何なのか?を改めて考え直してみると、どんな組織形態が合っていて、どんな人材が必要で、どんなリーダーシップとフォロワーシップが大切なのが見えてくると思います。


また、ヒップホップは、アーティストとファンとの間に直接的なコミュニケーションを重視する文化を持っています。SNSはこのような直接的なコミュニケーションを可能にし、アーティストとファンとのつながりを強化する手段となっています。

 これはレコード会社に依存するよりも自分たちの音楽やブランドをコントロールし、直接ファンに届けることを好むからです。

このアーティスト主導のマーケティングは、新しいテクノロジーやSNSを使ったプロモーション戦略に自然とつながります

 ヒップホップのアーティストは新しいテクノロジーやマーケティング手法に対して開放的で、それらを活用して自身の音楽をプロモートするスキルを持っていると言えます。

 


「経験から学ぶことができる」個人ほど異文化への適応能力も高い


知能や学歴が高いからといって、必ずしも文化に適応しやすいわけではないのです。
知識偏重で正解のある勉強に慣れすぎている日本のエリートと呼ばれている人は、自ら問いを立てて、積極的に必要な情報を求めたり、異文化の人とのグループワークをしたりという経験が不足している傾向にあるようです。

表層的な同質性を重視して、既存路線への”同化”を求める「ダイバーシティごっこ」では、違いを活かしたイノベーション創出が出来るはずがありません。

天邪鬼だからこその想像力

 
相倉久人氏の著書『ジャズの歴史』の中で、あらゆる文化現象でも当てはまる、的を射た指摘があります。

 仮にだれかひとりの人間がジャズを発明したとしましょう。それを聴いて自分もやろうと思い立った人間のやり方は、つぎの4パターンに分かれます1.そっくりそのまま真似る2.そっくり真似るつもりが、こころざしと違って別のものになる3.意図的に工夫をこらして変革をこころみる4.惹かれるけれど真似るのを嫌い、背をむけて別方向(時には反対方向)をめざす。・・・(中略)・・・それをひきつぐ第二世代は4パターンに枝分かれします。その次世代ジャズが第三世代に引き継がれるときには、それぞれふたたび4パターンの選択肢が、ということの繰り返しで、またたく間に亜種・変種の数は膨大なものにふくれあがってしまう。

 (引用:相倉久人著書「ジャズの歴史」新潮社 P14~16)

 

そもそも【0→1】のアイデアが、簡単に思い浮かぶはずがありません。
黒人音楽の歴史は、最初は先人の真似から始まったとしても、意図的に工夫しながら変革を試み、主流とは全く違う方向性でいく天邪鬼がいて、進化していったことを証明してくれています。


「今よりも便利になり効率化されて生産性向上になるだろうけど、やったこともない、新しいことなので理解できていない。噂では大きなリスクも含んでいることもあるので、他社の動きを見ながら決めていこう。」

総論賛成、各論反対では、前には進みません。
 
「生き残りの不安」よりも「学習することへの不安」の方が大きいのかもしれません。だからこそ自分の好きかことから学んでいけばいいのではないですか?
 
自分が見つけ出したヒントを、今のビジネスに活用できないか?
応用できないか?という観点から取組姿勢で臨むことが第一歩です。


今だからこそ黒人音楽の史実を題材にしたビジネス教材(動画・テキストなど)は必要と思います。


難しいことは分かりやすく

分かりやすくは面白く

面白くは深く



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