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【続々】日本では殆ど取り上げられない大切なニュース(コンゴ民主共和国)

2023 年10 月14 日REUTERSニュースタイトルを見て驚きました。

国連平和維持軍の8人の兵士がコンゴ民主共和国で性的虐待の疑いで拘留されました。

https://www.reuters.com/world/africa/un-suspends-some-peacekeepers-congo-denounces-sexual-abuse-2023-10-12/

8人平和維持軍は南アフリカ人で、東部のベニ市に配属されていました。
国連コンゴ民主共和国安定化ミッション(MONUSCO)は、これらの報告を受けて複数の平和維持軍を停職処分にしました。
(南アフリカ部隊のキャンプ近くで設立された売春宿もあったそうです)

国連は、性的虐待に対処し、被害者を支援するための特別部隊を近年設立しましたが、問題を効果的に抑制するのに苦労しています。

国連は調査を行い、平和維持軍を帰国させることはできますが、起訴する権限はありません。

国連事務総長の性的搾取および虐待に対するゼロトレランス方針に沿って、調査が完了するまでの間、勤務停止や部屋への監禁などの予防措置が取られています。

ゼロトレランス方針(Zero Tolerance Policy)とは、特定の行動や違反に対して一切の容認を許さない厳格な対応をとる方針を指します。このアプローチでは、違反行為が発生した場合には、例外なく一貫して厳しい処罰や措置が取られます。


コンゴ民主共和国(DRC)における性的暴力の状況は深刻です。
特に東部地域では、武装グループや治安部隊のメンバーによる性的暴力が広範囲に及んでいます。

武装グループは女性や少女を誘拐し、性的奴隷として囚われの身にします。
そして、特定の民族グループに属する市民や「敵」を支持していると非難された人々に対して、戦争の道具として強姦を使用しているのです。


DRCでの性的暴力の被害者数は着実に増加しています。

2021年から2022年にかけて報告されたジェンダーベースの暴力の件数は、4万件から8万件以上に倍増し、2023年の最初の3ヶ月だけで3万1000件以上が報告されました。

ジェンダーベースの暴力(Gender-Based Violence, GBV)は、個人の性別、ジェンダーアイデンティティ、性的指向、またはジェンダーに関連する規範に基づいて行われる暴力行為を指します。これは、性別に根ざした不平等や差別的な社会規範によって生じる暴力の形態であり、女性、男性、トランスジェンダーの人々、そして非二元的なジェンダーアイデンティティを持つ人々に対しても発生する可能性があります。

避難民キャンプでの女性主導の世帯数が増加し、資源の限られた状況が女性を搾取とGBVの危険にさらしています。

しかし、GBVのケースの多くは、スティグマ、排除、報復への恐れのために報告されていません。

東コンゴの状況は、紛争によって追いやられた100万人以上の人々が食糧を得るために、サバイバルセックスや物乞いなどの高リスクな行動に出ることを余儀なくされているのです​​。

DRCの司法システムは腐敗、能力の限界、政治的干渉に苦しんでいます。
これは、裁判官の適切な訓練と装備の欠如によって悪化しており、徹底的な捜査が妨げられています。

刑務所のセキュリティの低さと司法および刑務所スタッフの腐敗により、強姦で逮捕された多くの人々が脱獄し、中には告発した被害者を脅す者もいます。​


DRCにおける広範な性的暴力の問題を探究する論文は、
「長年の免責文化」と「法の支配への敬意の欠如」を強調しています。

免責文化(impunity culture)とは、特定の環境や社会において、犯罪や不正行為を行った人々が法的な責任や社会的な制裁を受けることなく、罰を逃れることが一般的または許容されている状況を指します。

「長年の免責文化」は、加害者に自分たちが責任を問われないという自信を与え、結果的には性的暴力の拡散を許している。

「法の支配への敬意の欠如」の背景には、植民地時代の指導者や独裁政権による搾取の歴史が、司法機能の欠如を形作ってきた。

と主張していて、性的暴力と司法の腐敗を同時に対処する方法として、性的暴力の事件を利用して司法システムを改革することを提案しています。



コンゴ当局は強姦に関する逮捕や起訴を増やしていますが、加害者の大多数は未だ処罰されておらず、高位の将校は実質的に触れられない状態です。

元武装グループのリーダーや戦犯とされる人々を軍に統合し、上級職を与えて報酬を与える政策を行ってもいるのです。


東コンゴでの広範囲にわたる性的暴力は、指揮責任を持つ指導者を含む加害者、兵士、将校、戦闘員、軍閥に対して
「強姦には高い代償が伴う」
ことを強く明確に警告するべきです。そして、

司令官を保護したり、調査や起訴を妨害したりする政府関係者や既得権益者の存在が大問題なのです。



2021年7月に国境なき医師団(MSF)の報告書は、DRCにおける性的暴力の危機について包括的な概要を示しており、被害者の医療、心理、社会的ニーズを支援するための調整された、十分な資金提供の必要性を強調しています。

性的暴力の即時および長期的な影響に対処することの重要性、およびDRCにおける被害者のケアと支援を改善するために、すべての関係者が協力する必要があることを強調しています。


そして、被害者の安全を保証するための保護と『法的支援の必要性』を強調しています。



キンシャサには、サプール5人にひとりの程度の割合で女性のSapeuse(サプーズ)が存在しています。

DRCにおいても、女性の社会進出が進んできましたが、まだまだ古い女性観との闘いは今でも続いています。
当初のサプーズは「女は仕事に就いて、家族の生活を助けるべきだ、不良みたいにふんぞり返って道を歩いていちゃダメだ」揶揄されたそうです。

私には、一人でも多くのDRCの女性が、サプーズとして街を闊歩しながら
”平和のステップ”を楽しめる平和が訪れることを願うことしかできません。


情勢を伝えることで、何かに繋がればと考えています。


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