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「共創術」試し読み②イノベーション創出に必要な思考法

現代社会に求められる思考法


組織内で与えられた割り当て業務を行う時に必要な思考法と、新しいモノゴトを創造していく発想法は、全くの別物です。
 

割り当て業務をスムーズに行う場合に使う思考


ジグソー・パズルを完成させるにあたり、割り当てられた領域をチームワークで完成させていくシーンをイメージしてください。

チーム・リーダーは、チームに割り当てられた領域を完成させるために、領域をさらに細分化して、それぞれの領域を担当するメンバーを決定します。

リーダーは、配分した領域を早く完成したメンバーに対しては、担当領域の拡大を指示したり、他メンバーのサポートさせる役割変更を指示したり、チーム全体のマネジメントをします。

割り当てられるジグソー・パズルが、毎回同じパターンである部署は、細部にわたる作業手順のマニュアル化が可能となります。

与えられた領域を素早く正確に完成できるメンバーは、さらに複雑でピース数が多い部署に異動します。その部署でも、そつなく機敏に対応できる人が、マネジャーにステップアップして出世していきます。

ジグソー・パズルをチームワークで素早く完成させていくプロセスは、正に大企業の多くが、組織の人々を効率的に動かすために、分業と調整を組み合わせて、階層構造(ヒエラルキー)を形成していることに似ていると思いませんか?
 
ジグソー・パズルをチームワークで作り上げていく際に、必要とされる思考法は何でしょうか?論理的な思考法である「フレームワーク思考」が最適と思います。
 
ビジネスにおけるフレームワークとは、共通して用いることが出来る考え方、意思決定、分析、問題解決、戦略立案などの枠組みのことです。

経営コンサルタントと称する人々が、得意としてきた思考法です。
しかし、この種の思考法で行う知的パーツ業務は、生成系AI(ChatGPTなど)の急速な進化によって、生成系AIが担うことになるでしょう。

 

チームワークで新しい仕事を創造する思考


数多くのレゴブロックを使って、チームワークで新しい作品を創造するシーンをイメージしてください。

真っ白で何も描かれていないスペースで、各メンバーが思い思いにレゴブロックで何かを創造していったら、全体として素晴らしい作品にはならないでしょう。

そこは最低限、リーダーが、大まかなテーマは示した上で、各メンバーの独自性を重視しながら、自由に創作してもらう必要があります。
 
各メンバーは自分が手に取ったレゴブロックから何かを作り始めます。

あるメンバーが緑色のブロックを積み上げて木を作り始め、それを見た別のメンバーがそれに合わせて家を作り始めるかもしれません。

また別のメンバーはそれを見て、家の周りに道路を作ったり、飛行機を作って空を飛ばしたりするかもしれません。

ここで重要なのは、各メンバーが自身のアイデアと他のメンバーの行動に反応しながら、共に新しい作品を創り上げていくプロセスです。


そして、その結果として、元々誰も具体的なイメージを持っていなかったかもしれませんが、全員の協力と創造力によって一つの素晴らしい作品が生まれます。


このレゴブロックの制作現場でのマネジメントは、全体最適を目指すことであって、表層的な均質性を求める枠組みの中で活動させる管理手法ではありません。
 
チームとしてレゴブロックで新しい作品を創造するプロセスは、即興演奏を主体とした「ジャズ」の制作現場に似ていると思いませんか?


ジャズは「個人の音楽であると同時に集団の音楽」です。
個人の創造性だけでなく、集団としての創造性が求められるのがジャズコンボの宿命です。
 
楽譜や大まかな流れも決まっていない個人の瞬間的な「ひらめき」による即興演奏が主体となっている音楽ですので、瞬時で全体との調和も図らなければならない「協奏心」が大切です。

この「協奏」をスムーズに進めていく、文章にも言葉にも映像にも出来難い「阿吽の呼吸」に近い『インタープレイ』が必要なのです。




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