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「勝利」や「成功」からの学びは殆んどなく、「敗北」や「失敗」から多くのことを学んだ⑤(“慣れ”という病 編)

3年目社員となると一通りの経験をしてきて

『自分は一人前に仕事ができるようになった』

大きな勘違いをしがちである。


“慣れ”というものは恐ろしいもので、思わぬ落とし穴にハマってしまうものだ。

自動車運転と同じで、初心者から中級者になり始めたころが、一番危険だ。

「まあ、これくらい大丈夫だろう」
「少々ルールを無視しても大丈夫」

といった感じで、自分の技術や知識を過信してしまうものだ。

“慣れ”によって生じた“根拠のない自信”から、逆に安全意識が低下してしまうのだろう。


誤った保険料記載した団体募集用チラシで加入募集


会社は“ペア制”(営業担当:男性社員 事務担当:女性)を推進していた。

この“ペア制”は、営業担当の外出中であっても、代理店からの電話での照会応答がスムーズにいくよう、にペアで情報共有しておくことが目的だった。

今考えると不思議かもしれないが、携帯電話の無い時代では当たり前であった。
(全くの余談ではあるが、このペア同士の結婚率は非常に高かった。私は違ったが、、、。)


100人ほどの中小企業での団体ゴルファー保険の募集でのことだ。

うろ覚えであるが、団体割引(5%)で一般よりも安い保険料で加入できることがメリット。

ペアで簡単なチラシを作成して募集した。

これも今考えると恐ろしいことだが、保険料は手計算で算出して、チラシもペアで自由に作成していた。


募集も終わって、代理店から申込書類を回収してきて事件は発覚した。

ペア女性
「保険料間違ってる。1人あたり●●●円不足してる。」
小生
「え?ホンマか?どうしよう!」

保険料が足りないわけだから契約は成立しない。

勝手に保険金額を調整して辻褄合わせたり、不足分を身銭で補填したりすることはできない.。


翌日、当該客先を訪問して説明と謝罪にいった。

先方の総務課長に散々の嫌味を言われ、数日間かけて加入者全員に事情説明に回って不足金も回収できた。


自分のチェック漏れなのだが、1週間も後処理に追われた。



最大手客先T氏から渡された資料を紛失した?


T氏とは(油断大敵 編)に登場した最大手客先のT課長代理(公認会計士資格者、また因縁の“T”)のことだ。


この最大手客先の契約更改は12/1で、年間保険料●億円という高額。

毎年恒例で大接待(先方:役員以下6人、当方:役員以下4人、代理店:役員&部長)が9月ごろ行わる。

この大接待までには契約更改条件を決定して双方合意しておかなければならなかった。

この契約更改最終ミーティングの席で(大接待開催1か月前)

客先T課長代理
「今回は保険料改定によって大幅に保険料が安くなっているので、この更改条件でいいのではないでしょうか?」
客先次長
「そうだね。これでいきましょう。」
上司T課長
「ありがとうございます。」
客先T課長代理
「ただ、昨年の保険金支払(損害防止拡大費用等)に関しては納得できていません。当方から追加提出した資料でも当方の主張が受け入れられなかったことは遺憾です。保険料が安くなったので保険金を回収できたと考えますわ(笑)」
上司T課長
「追加資料???」


会社に戻るT課長との二人きりの社有車の中、会社に戻ってからの損害査定部門の課長を交えてのミーティング

私がサンドバック状態で口撃されている姿は想像できるだろう。

「お前しか先方から書類を受け取る奴はいないんだから思い出せ!」
「お前!紛失したのか?」

言葉にはしていないがT課長の顔から
『俺は、あのT課長代理が大嫌いなんだ。俺のメンツを潰したな』
という思いが伝わってきた。

「すみません。全く覚えていません。客先T課長代理と立ち話をした記憶はあるのですが、書類は、、、わかりません。」


どの書類なのか?定かでないままだったが、【私が書類を紛失した】ということで、釈然とししなかったが、客先で深々と頭をさげ一件落着ということになった。
(この時期は“自棄酒”&“憂さ晴らし”で毎晩大騒ぎしていた。)

大接待の会場手配や案内状作成は客先担当者の私の仕事だ。

ここでミスしては致命傷になるので最大限の注意とチェックして行った。

「書類を紛失した張本人からお酌されても不味い酒だろうから。」

と私は大接待に参加することは無いと高を括っていた。


大接待の数日前に客先次長からT課長宛てに電話がかかってきた。

客先次長
「お世話になります。来週はお世話になります。」
T課長
「こちらこそよろしくお願いします。色々不手際があって申し訳ありません。」
客先次長
「とんでもないですよ。担当者の●●さんも出席されますよね。」
T課長
「え、、、まぁ、、、」
客先次長
「よかった。うちの係長から『●●さんは不参加』と聞いていたものですから安心しました。」

この電話によって私は大接待に出席させられることになったのだが、これほど肩身が狭いというのか?居心地が悪すぎる宴席は、後にも先にも経験したことはない。


なぜ?客先次長から”出席依頼電話”があった真意はわからないが、大接待の二次会に向かって歩いている時に客先次長から声をかけられた。

「ごめんね。今度改めて飲みに行こう!ご馳走するから(笑)」



ヒューマンエラーは慣れた時に起こる


私のような調子に乗りやすく、すぐ図に乗るタイプは、“慣れ”によって自己流になっていってしまう。

そして注意力の低下につながっていってミスを起こしている。

自信を持って行動することは良いことだが、無意識のうちに陥っている「慣れによる慢心」だ。

作業に慣れてくると効率的にできるようになるが、作業自体が雑になって実施精度が悪くなってしまうと非効率になってしまう。


“慣れ”とはとても恐ろしい病気だ。


「調子に乗る」 「図に乗る」 「つけあがる」 「自惚れる」 

私を賞賛している言葉だ(笑)



・・・次号へ続く

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