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ジャズは多くのイノベーションを創造していった元ネタ?

今まで 自分の意見やアイデア 方法論や企画 そして商品やサービスを 誰かに真似されて 「パクられた」 と思ったことはありませんか?

実は私も昨年 某企業の社長さんに「ノウハウをパクられた」と思ったことがあったのですが よくよく考えてみたら 誰でも思いつきそうなことを提案しただけで 「パクられたい」と言うこと自体 ”おこがましい” ”自惚れ”でした(笑)


ジャズメンの粋なフレーズ


映画『ラウンド・ミッドナイト』の中で デイル・ターナー役の デクスター・ゴードンが ゴミ置き場で ♬Autumn In New York♬を サックスを吹きながら言ったセリフ


I can’t get it right. I’ve forgotten the words.(ダメだ、歌詞を忘れた)


ジャズメンの ちょっと小粋で笑える感覚が イノベーションを創造していくヒントになるのでは?

※ このセリフは レスター・ヤング が実際に言った言葉らしいです


しかし この映画には こんなセリフも登場します

「毎晩創造することは それがどんなに美しいものでも死ぬほど苦しいんだ」

それほど 新しいフレーズを創造することは簡単ではないのでしょう



ブルーノートに対する尊敬・賞賛の念が込められていると感じられるモノ


リード・マイルス(ブルーノートのアルバム・ジャケットのデザイナー)

リード・マイルス自身は ジャズ・ファンでなかったので 音楽の雰囲気などの情報にとらわれないデザインができたんだろうと思っています

もちろん フランシス・ウルフ のカッコイイ写真があってのことですが

モダン・ジャズをはじめとするレコード・ジャケットの基準を創造者

リード・マイルスは 0→1 を創造したデザイナー です


リード・マイルス(withフランシス・ウルフ)の作品に『インスパイア』された『オマージュ』作品をご覧ください


Sonny Rollins -『SONNY ROLLINS VOL. 2』(1957)

Joe Jackson -『BODY AND SOUL』(1984)


John Coltrane - BLUE TRAIN (1957)

J-Live - ALL OF THE ABOVE (2002)


Donald Byrd - A NEW PERSPECTIVE (1963)

Tone-Loc - LOC-ED AFTER DARK (1989)


Andrew Hill -『JUDGEMENT!』 (1964)

Atmosphere - 『OVERCAST!』 (1997)


Hank Mobley - THE TURNAROUND! (1965)

The Beatnuts - INTOXICATED DEMONS (1993)


Kenny Burrell - 『Midnight Blue』(1963)

Elvis Costello - 『Almost Blue』(1981)


「インスパイア」「オマージュ」「パロディ」「パクリ」の違い


私なりの解釈は次の通り

インスパイア

元ネタに対する尊敬・賞賛の念が込められていて 元ネタをそのまま流用することなく独自の表現を加えて創造したもの 「インスパイアされた元ネタはこれです」と胸を張って主張できる

オマージュ

元ネタに対して尊敬・賞賛の念が込められていて 元ネタが分かるとさらに面白いように 独自の表現が加えられて創造したもの

パロディ

批判・揶揄・風刺が目的で 元ネタがバレないといけない

パクリ

利益のために創作的な表現を盗用 元ネタがバレると困る


元ネタを自ら発表できる・・・「インスパイア」「オマージュ」

ここからイノベーションが創造される場合が多いと思います


元ネタがわからないと意味がない・・・「パロディ」

好みは分かれるでしょうが 芸術の新しい可能性をもたします


「パクリ」は クリエーターの努力を踏みにじる行為


元ネタに対して 

尊敬・賞賛の念が込められているか?

自ら「元ネタはこれです」と言えるか?

ここが大きな境目のような気がします



トリビュート


オマージュとの違いは「賞賛、感謝の証として捧げる、捧げ物」という意味があること。


イタリアはシエナにあるパブ「Bella Vista Social Pub」で行われるサマージャズ・コンサート用のプロモーションビデオ(2009年作)

リード・マイルスに対するトリビュート作品で 超クールです

必見です!


スタンダード・ナンバーの創造


創造した瞬間に『スタンダード・ナンバー』になることはなくて 

オリジナル曲を 別の「新解釈」を加えた演奏を数多くのアーティストが取り上げて オリジナル曲の魅力が引き出されていき その曲が『スタンダード・ナンバー』として認められるようになる

時には オリジナル曲を超える『新解釈』の名曲に生まれ変わることもあります


シャンソンの代表的な楽曲『枯葉』(仏:Les Feuilles mortes) 

1945年にジョゼフ・コズマが作曲し、後にジャック・プレヴェールが詞を付けた。ミディアム・スローテンポの短調で歌われるバラードで、6/8拍子の長いヴァース(序奏部)と、4拍子のコーラス部分から成る(引用:Wikipedia)


1949年にアメリカ合衆国に持ちこまれキャピトル・レコードの方針で 英語歌詞が付けられ 

"Autumn Leaves" という英語題で 1950年 ビング・クロスビー最初にこの英語詞を歌います


1955年に全米ヒットチャートで4週連続第1位を達成したのが ロジャー・ウィリアムズのバージョン


そして ジャズとして 生まれ変わった "Autumn Leaves" 

もちろん マイルス・デイヴィス

「新解釈」の演奏によるオリジナル曲を超える "Autumn Leaves" が創造されました


まとめ


マイルス・デイヴィスは 『自分の既存の”知”』 と 『他者の既存の”知』の「新結合」「新解釈」で 様々なイノベーションを創造し続けました

0→1 ではなく 1→多数 の可能性を創造する


名曲 ♬ So What (録音1959年3月2日、4月22日)♬ も聴きようによっては ジャズ・メッセンジャースの名曲 ♬ Moanin' ( 1958年10月30日)♬ をパクったと主張されるジャズ評論家もいるとは思います


ジャズメンの基本として

他人を認め 他人を尊重し 他人に敬意をはらう

インタープレイ(相互作用)精神が必要なので パクった音楽と話題になったことはなく ダイバーシティによって創造されたイノベーティブな音楽なんです


パクったか?パクってないか?の境目は

元ネタをそのまま流用することなく独自の表現を加えて創造したもの 

元ネタに対して尊敬・賞賛の念が込められていること


では マイルス・デイヴィスが映像を見ながら即興で創造した映画音楽

『死刑台のエレベーター』 でお別れです 


「いやぁ 映画って本当に素晴らしいもんですね」




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