見出し画像

百聞は一見に如かず~百見は一考に如かず~百考は一行に如かず~百行は一果に如かず

「ジャズに名演はあるが名曲はない」

ジャズ・ファンにはよく知られたジャズ評論家:野川香文氏の著書『ジャズ楽曲の解説』の中の一節

インプロヴィゼーション(即興演奏)ジャズの最大の魅力であり 名曲でなければ「自作曲を演奏すること」が必ずしもよいジャズ演奏に結びつくとは限らず 優れた作曲家で、かつ優れた演奏者だけが、それをプラスにできるということです(サライ【ジャズを聴く技術 〜ジャズ「プロ・リスナー」への道8】から一部引用)

ジャズは 楽譜通りの演奏ではないので 同じ曲を 同じメンバーで同じアレンジで演奏しても 毎回内容は違います

レコードはそれを『記録』したもので 録音年月日や場所(スタジオ名or演奏会場名)を明記することは重要な情報です

ジャズが教えてくれるビジネスに必要なことを整理します

ミッションに応じた組織形態と雇用形態


①【オーケストラ型組織】=ルールとシステム(【型】【枠】)な経営形態

指揮者(管理者)の下で『楽譜通り』の演奏をすることが第一義

新しいメンバーが加入してもマニュアルが整備されているので 比較的に誰かが欠員になっても直ぐ対応が可能で 『業務遂行能力』に長けたメンバーが出世していく『メンバーシップ型雇用企業』の組織形態と考えらえます

『個性』という観点より『正確性』『確実性』が大切

スクリーンショット (338)

【集団凝集性】:集団に対する帰属意識が高い性質のこと
【集団浅慮(Group Think)】:集団で合意形成をすることによって かえって不合理な結論や行動を引き出してしまうこと(例:会議で異論を出しにくい雰囲気など)



②【ジャズコンボ型組織】=ルール破壊的な経営形態

一定のルールはありますが インプロヴィゼーション(即興演奏)がベースなので 楽曲演奏以上に『個性』の表現が勝負どころです

『ジョブ型雇用』『プロジェクト型組織』で新しい創造を目指す

スクリーンショット (273)


どちらの組織が「良い・悪い」ではなくて

ミッションに応じた組織形態・雇用形態をとった方がいいと考えています


③【抜本的改定が必要となる『人事関連諸制度』】

組織のミッション 個人のミッション それぞれ違うのであれば 人事制度改定は必要不可欠です

しかしながら 全員に『公平』である部分と どうしても『不公平』が生じてしまう部分は存在するので

この『不公平』による「不平不満」には【建設的な対話】が重要

『対話』は大切


ジャズの音楽的特徴


①【シンコペーション】

まず初めに ジャズが 他の音楽との違いで強調されたのが【シンコペーション】です

【シンコペーション】:「本来のアクセントとは違った場所にアクセントを置いて通常とは違ったリズムのノリを生み出す手法」

スタンダード曲を演奏するにあたって 故意に拍子やリズムを違わせたり 少しズラして演奏するなどして 自分の個性や他ジャズメンとの「違う印象」を強くする手法と言えます

このことでオーディエンスは『不慣れ感』をといった感じを受けます


②【テンション・ノート】

さらにジャズの演奏は【テンション・ノート】が多用されます 

コードCmaj7=ド・ミ・ソ+シ(7th)では

『ドから9度上のレ(9th)』『11度上のファ(11th)』『13度上のラ(13th)』が【テンション・ノート】

スクリーンショット (446)

ジャズメンは 基本的な和音構成の上部に ある非和声音を積み重ねることで『緊張感(テンション)』を創りだす『差別化戦略』~『独自化戦略』と考えられます


③【インタープレイ】

ジャズは「個人の音楽であると同時に集団の音楽」

マイルス・デイヴィス曰く

音楽は競争じゃない 協調だ
一緒に演奏して、互いに作り上げていくものなんだ


楽譜ベースでなく 個人の瞬間的な「ヒラメキ」から創造されるインプロヴィゼーションを 全体と調和・協奏していかなければ 名演は創造できません

あるプレーヤーのインプロヴィゼーション(即興演奏)によって 他プレーヤーが触発されて 同じようにインプロヴィゼーションを返すことで 個人間で競合・共鳴・調和を繰り返しながら お互いのパフォーマンスを高め合うことで 組織としての最高のパフォーマンスに結び付ける感性


ジャズマン(個人)の『個性』を引き出し ジャズ・コンボ(組織)としての最高のパフォーマンスを行う コミュニケーションの【肝】になる感性が

【インタープレイ(interplay)】= 相互作用、交錯


人には”相性の良し悪し”というものは絶対にあるとは思いますが ビジネス現場においても メンバー間の【インタープレイ】という概念だけは 忘れてはいけないものです



④ 音楽理論は必要なのか?

「こんなときこの音がよく使われている」
「こんな音の集まりはこんな機能を持っている」

上記②【テンション・ノート】などの音楽の構造や手法などをまとめ説明したものが『音楽理論』です


即興演奏が出来るようになるには 基礎練習は欠かせないですが 全ての『音楽理論』をマスターしなければいかないでしょうか?

モダン・ジャズ全盛期でも 楽譜が読めないジャズマンは多かったのですが 素晴らしい演奏を行っています


『音楽理論』を勉強することが「音楽を理解すること」ではなく 『音楽理論』は音楽の捉え方のひとつに過ぎません

『英文法』を学ばなければ『英語』でコミュニケーションが取れないのと同じで 『音楽理論』をマスターしておかなければ『音楽』を創造できないことはありません

即興演奏に『間違い』という概念はありません

今までの判断基準や「こうなるべき」的な期待感は できる限り頭の外に外して 自由に 新しいアイデアを創造できると教えてくれるのがジャズです



”あなたの知らないあなたの意識”が即興力の源


人は毎日 ココロ(脳)全体の95%にあたる “あなたの知らないあなたの意識” である【潜在意識】で 無意識に多くの【情報を習得し処理する力】となり【習慣化する働き】になっています

練習やジャム・セッションを繰り返すことによって この【潜在意識】がアップデートされていき 経験したことがない状況でも瞬時にインプロヴィゼーションが創造できるようになるのでしょう


ルール通りに演奏できることは スタジオ・ミュージシャンとしては素晴らしい存在になるのに役立つでしょう

ライヴ 一発勝負 には 【即興力】


表現方法とニュアンスは若干違うのかもしれませんが 楠瀬啓介さんの投稿記事にある『当たり前に出来てしまうことの”レベル”をあげる』ことが【即興力】の源泉です



スタンダード・ナンバーという『慣れ』があるから 新しい『緊張感』を加えることで オーディエンスには『不慣れ感』を感じさせます


✅ 人それぞれの自分に適した方法で【潜在意識】をアップデート

✅ 組織は目的と時代に先駆けた【仕組み作り・仕掛作り】をアップデート


【専門性・専門能力の向上】と【創造的思考スキルのレベル・アップ】

を図ることによって【差別化戦略】~【独自化戦略】でのパフォーマンスを魅せつけことが出来るようになるはずです


クリエイティブ・マネジメント(創造経営)は ダイバーシティが創造していったジャズに学ぶところは多いと感じています


まとめ


ダイバーシティ豊富な環境では クリエイティブやイノベーションが創造されやすいことは事実です 

しかし そこには様々な コンフリクト(葛藤)を誘発しやすい環境になることも事実でしょう

ということも ジャズは教えてくれました!




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?