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妄想旅行記〜五島列島編〜(その7)

妄想旅行記もその7まできてしまった。書き始めてからは1ヶ月以上経っている。行ってもないのに1ヶ月以上楽しめるなんて、なんてコスパの良い遊びだろう。
ちなみに今は3泊4日の旅の3日目、ちょうど折り返し地点だ。

嵯峨ノ島へ

7時からやっているコーヒー・サンドイッチ屋さんがあったので、まずそこで朝食を買って、貝津港へ向かう。朝食は港か海水浴場近くで海を見ながら食べる計画だ。海とコーヒーとサンドイッチ。被写体が私のようなおっさんであろうとも間違いなく映える組み合わせだ。

昨日は海沿いの道を通ったが、できるだけ多くの道を通りたかったのと、地形図を見るに福江島の真ん中は標高が低く盆地のようになっているようで、実際のところどのような景色なのか見てみたかったというのがあり、今日は内陸部を通る県道27号線を使うことにした。

島の中央部は、平坦で周囲が山に囲まれており島という感じがほとんどしなかった。島の中央は山であるイメージを持っていたので、真ん中に平地ががあるとなんだか不思議な感じがする。まあ、五島列島全体を見渡してみると、平野になるか海になるかは紙一重だなあというように見えて面白い。

貝津港は小さな風情のある港だった。着いたのは8時すぎ。船は9時10分発なのでのんびり朝食を取るにはちょうどいい時間だ。どこで食べようかとロケハンをし、待合所の少し先にある防波堤で食べることにした。防波堤も日射しと海風が気持ち良くてよかった。ここに私ではなく高校生とかが腰掛けてたら、多分その姿を見ただけで好きになっていたと思う。そのくらいいい絵になる場所だった。

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まあ現実には35歳のおじさんが腰掛けて海を見ながらサンドイッチとコーヒーを食べていたのだが、それはそれは贅沢な時間だった。こんな贅沢があっていいのかと思った。海を見ながら、コーヒーをすすり、ぼーっとあれやこれや考える。途中嵯峨ノ島からの船が到着し、降りていく人を眺めたりもした。東京での余計なことなんか微塵も思い浮かんでこなかった。

楽しい時間はあっという間に過ぎ、出航の時刻が近づいてきたので待合所に向かう。今日は僕以外に旅行者はいないようだった。船は20人乗りくらいだろうか、後部に窓のないオープンエアの座席があったので迷わずそちらを陣取る。ほどなくして出航。船っていいよねえ。海風に当たって水平線を眺めながらずっとそう思っていた。

嵯峨ノ島周遊

15分弱であっという間に嵯峨ノ島には到着した。時刻は9時半、帰りの船は16時なのでたっぷり時間はある。歩いても全然回れる大きさだが、自転車の爽快感を味わってもいいなと思い、今回は港すぐ近くの店でレンタサイクルを借りることにした。
(写真は今回の愛車と五島の島々。ではなく瀬戸内国際芸術祭を観に行った時の瀬戸内海の島々)

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まずは島の北側、男岳を目指す。標高151mで嵯峨ノ島の最高地点だ。べつに遠くから見るだけでもいいのだが、やっぱりとりあえず最高点は目指したくなってしまう。なんでだろうか。途中、嵯峨島教会なんかにも立ち寄りながら、快適サイクリングを楽しむ。

途中からは徒歩に切り替え、15分くらい歩いて山頂についた。ここが嵯峨ノ島最高地点ですか。うんうん。とうなずいて景色をしばらく眺めたのち、来た道を逆戻りして今度は島の西側に向かう。そしてさっき登った男岳を別角度から眺める。ちょっと移動するだけで島を丸ごと全方位から味わっている感覚を楽しめる、こういう規模感が離島の魅力だなあなんて思ったりした。

しかしこの島は東側と西側で全然見せる表情が違う。東側から見ると、ごく普通の山なのに、西側はいきなりそれらが抉り取られたような崖が広がっている。どうやってこんな地形ができたのか、成り立ちを考えているといろいろ想像力をかきたてられる。ワンピースでそんな島の話があったなあなんてこともふと考えたりした。

男岳に登ったからには、女岳にも登らないといけない。草っ原の間を抜けていくとすぐ山頂にたどりついた。ここからも海が大きく見えて大変よい。ここまでほぼ休憩なしだったので、しばらくここで海を眺めながらぼーっとしていた。今日はぼーっとする日なのだ。

さらに進むと、女岳火口展望所がある。女岳の火口が展望できる所だ。火口の様子や、火山の断面が見えるとガイドマップ等に書いてあったが、本当にその通りで、この圧倒的にリアルな地学の教科書を見ながら、それだけでご飯が何杯か食べられそうだった。

そんなことを考えていたら、もう正午をだいぶ過ぎていることに気がついた。そして気がついた途端、急に腹が減ってきた。なので、食事をしようと思ったが、調べてみて大変なことが発覚した。嵯峨ノ島には食事ができる店がないのだ。唯一の店はさっきレンタサイクルを借りた中村商店。そういえば同じくらいの人口の青ヶ島もそうだった。不覚である。

しかし腹はへったのでとりあえず港に戻り中村商店に向かう。あるのはカップラーメンとアイスくらいだ。なので両方買う。お湯はもらってそこでカップラーメンを食べた。かあこういうのも離島ののんびりした時間という感じがして悪くない。
(写真は伊豆諸島の利島にて。こういうことがしたいのだ。)

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とりあえず腹はみたされたので、嵯峨ノ島2周目に突入することにした。お気に入りの景色の場所にもう一回行き、飲み物でも飲みながら(本当はビールを飲みたいが、また車を運転しなきゃいけないのでグッと堪えた)、またぼーっとするのだ。

どこに行くのがいいだろうか。順当に行けば女岳だが、港近辺も捨てがたい。結局まあ両方行けばいいか、という思ってまず女岳。そして早めに戻ってきて防波堤で本日2個目のアイスを食べながら海を見る。これで完璧。実際完璧だった。今日1日でだいぶ心が穏やかになった気がする。そんなことを思いながら16時の船に乗って福江島に戻った。
(写真はそんな港と雰囲気が似ているかな?と想像した瀬戸内海は豊島の港。もう少し小さいのかな。)

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最後の晩餐

帰りは、遣唐使が最後に立ち寄った場所だという三井楽あたりも回りながら戻ったので、宿に着いたのは18時をまあまあ回ったくらいの時間になった。さあ晩飯だ。

今日は五島最後の夜だ。ぱーっと行くしかあるまい。発想が貧困なので、ぱーっと行くイコール寿司と肉となった。間をとって肉寿司も食べたいね。と思って、全てが満たせる店を探し、そこに向かった。

行ってみると、本当にメニューが多く、欲望のままに全部食べていたら腹と財布が破裂しそうだったが、しばらく来られないかと思うとまあ破裂してもいいかと考え直して、値段を見るのをやめてたらふく飲み食いした。のんびりして満腹になって、贅沢ないい1日であった。財布は破裂した。

明日は、夕方の飛行機まで市街を散策する予定。日本唯一の海城・福江城を見に行こう。

(つづく)

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