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「チームワーキング」を学ぶ

最近公私ともにチームで活動する機会が増えています。

ひとりで活動する際は、自分が持つスキルや時間の範囲内という限られた行動しか取れませんが、様々なバックグラウンドを持つ仲間と共にチームで活動すると、幅も広がりますし、困ったときに助け合えるというメリットがあります。

一方で、メンバーひとりひとりの思いや考え方もありますので、時として相反する結果になることも。そこで大事になってくるのが、チームワークなのだと思います。

チームで活動する上で、最高のパフォーマンスを残すためには「チームワーク」を学ぶ必要があると思い手に取ったのが、立教大学の中原先生と田中先生が書かれた『チームワーキング ケースとデータで学ぶ「最強チームのつくり方』



この本の中で、チームとは

「目標を共有しつつ、相互作用をしながら、物事を達成する社会集団」

のことを指します。


また、タイトルにある「チームワーキング」とは

「チーム」に「ワーキング(Working:物事がダイナミックに、常に動いている状態)」を付け加えた本書の重要なキーワード

であり

「Team(メンバー全員)」が主体的にチーム活動に取り組み、チーム自身が目標に向けてダイナミックに変化し続けながら、成果創出をめざしてWorking(動いている)」している状態を示す概念


現代社会において、多くのチームが解決に向けて取り組んでいる課題は、以前よりも大きく、より複雑で、難解なものとなっています。

ゆえに

「優秀なリーダーが一人いれば何とかなる」という考え方ではいまの時代は通用しません。チームメンバーが「全員参加」で、ダイナミックなチームの動きを創出することが求められます。

のだそうです。


「商品を安く大量に作って売る」というビジネスモデルや「日本人・男性・大卒・正社員」という画一的な職場メンバー構成は過去のものとなり、消費者のニーズも一緒に働く職場メンバーも多様化しています。現代にふさわしいチームにアップデートしなければ、課題解決が難しくなっているんですよね。


チームがダイナミックに動いていくために必要なのは3つの視点

1.チーム視点

2.全員リーダー視点

3.動的視点


チームで活動するときには当然役割分担をしますが、自分のやるべきことしか見えていないと、次第に全体が見えなくなっていきます。

私が参加したプロボノ活動でも、〇月〇日までに各自〇〇について調査し、結果を報告するようにしましょうという役割分担を行いましたが、何のために何について調べるのかについて深く理解しないまま作業を進めてしまうと、活動の目標を見失い方向性を間違えてしまうことにもなりかねません。

また、適宜情報共有をしていかないとお互いにフィードバックすることも出来ず、間違った方向に向かっている人がいても誰も気がつかないということもありえます。

そんな事態に陥らないためにも、常に「チーム視点」を持ち、チームの全体像が見える位置で俯瞰的に見ていく必要があるということです。


次に、以前よりも事業環境の不確実性・複雑性の増大した現代において、ひとりのリーダーが個人で対処できることには限界があります。そうなると、チームメンバー全員がリーダー視点を持ち、チームの成果を最大化するためにリーダーシップを発揮していかなければなりません。

プロボノ活動でも、全体のまとめをしたり、チームの窓口となって支援団体の方々と連絡を取ったりというリーダー的立場の人を決めますが、チームメンバーがリーダーに任せていればなんとかなるという考えでいては、リーダーが急に仕事で活動に参加できなくなったときなどに、活動が停滞してしまいます。

プロボノ活動は、元々本業を持つ社会人がボランティアで行っているものですから、仕事の関係で活動を続けられなくなるメンバーが出てくることも往々にしてあります。

ですので、リーダー任せ・人任せにするのではなく、全員がリーダー視点を持ち、主体的に関わる気概を持つことが重要になるということです。


最後の動的視点とは、活動が長くなればなるほど、チームは動き続けるもので変わり続けるものという実感が沸いてくるものだと思いますが、現代のように変化の激しい時代においては、目標やスケジュールを全く見直さずに進めていくというのは難しくなっています。

変化する度に目標を握り直し、業務を調整しながら継続していかなければならないということです。


チームがダイナミックに動いていくための3つの視点を持ったら、次に必要なのがチームワーキングを生み出す3つの行動原理です。


1.ゴール・ホールディング(目標を握り続ける)

2.タスク・ワーキング(動きながら課題を探し続ける)

3.フィードバッキング(相互にフィードバックし続ける)


チームで活動を始めるにあたって、ゴールである目標を設定しますが、目標は設定しただけではダメで、重要なのはチームメンバーが全員が「目標を握っている状態」をいかに維持していくかなのだということです。

プロボノ活動では、目標はチームメンバーが決まる前から設定されていることが多いです。でも、実際に活動が始まって支援団体さんから直接要望等を聞いていくと当初予定したものより増えていったり、内容が変更になったりすることもあります。臨機応変に対応が取れればいいですが、活動期間が決まっている場合には、全てを取り入れているとスケジュール通りに終わらなかったり、途中で方向性を間違えてこんなはずではなかった…という事態もあり得ます。

そういう意味では、目標を握り続けていなければならないですし、それはチームの誰かだけではなく、メンバー全員が握り続けていなければチーム活動に影響してしまいます。


チームで目標を設定したら、次は目標を達成するための課題解決を行っていくフェーズに入りますが、最初の課題設定で精度100%の「真の課題」をめざすのではなく、まずは「仮決め」でもいいので、大まかな課題の方向性を定め、何らかの探求を行ってみて、折に触れて振り返り「これで行けるかな?ちょっと違うかな?」と修正しては、またやってみることが大切だということです。

確かに支援団体さんの要望等に応えられるような課題設定をしてから始めたものの、途中で思うような結果が得られないと感じることはあります。それよりも、まずはこんな方向でと一旦やり始めてみて、最終目標に向かっているかどうかを振り返り、解くべき課題を再設定しながら、課題解決に向かう方が、手戻りが少なくて済むかもしれません。


チームワーキングを導く具体的な行動の中で、もう1つ重要なことは、課題解決を行いながら「チーム全員で相互フィードバックをし続ける」ということです。

この記事の最初にも書きましたが、チームで動いていると、それぞれいろんな思いを抱きながら活動しています。でも、活動の最中は関係性を重視するあまり言いだしにくかったりして、チーム内の問題をなかなかはっきり口に出すことができません。

もし、少しでも違和感を覚えたことがあれば、チームの状態・行動・成果に関して、自分が思っていることを相手に伝えあい、お互いにフィードバックし合うことが重要だということです。

プロボノ活動では、初めましてのメンバーで活動することが多いです。なので、余計に自分の思っていることを言いだしづらいということはあると思います。ですが、自分のやるべきことをやるだけという不介入主義では、たとえボランティア活動であったとしてもうまくいかなくなるでしょう。チーム活動で成果を出すためには、フィードバックが出来る雰囲気作りというものも大事になってくると思います。


この後、本の中では3つのミニケースについて読みながら学べる構成になっています。いままでの職場では、直属の上司は社長や団体の代表で、担当業務をひとりでこなすということも多かったため、チーム活動に戸惑うこともありました。成果を出すためのチームワーキングとは?の理解を深めて、これから実践してみたいと思っています。