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瞬間と永遠と

演劇をやっている面白さの一つに、自分まるごとを味わう感覚がある。
出会いの中で、今 ”わたし”  の中で起こっていることを味わっていくのだ。
わたしだけの体験である。

同じ出会いをしても、わたしたちはそれぞれのフィルターを通して物を見て
それぞれの体を通して、物事を感じる。だから、今、目の前のことを味わう ”わたし” は、わたし自身を味わっているとも言えるのだ。そうして、わたしたちは衝動を持ち、動かされていく。

そのそれぞれの旅をすることが、面白い。
そして、それはとってもリッチなことなのだ。

今の出会いを通して、自分の中に起こることを味わっていくこと。

そうだ、そんなの意識したら普段の生活だって、きっとそうできるはずだ。
けれど、残念なことに、わたしときたら、あっちが気になり、こっちが気になり、頭も心もとっても忙しい。だから ”今” と切り離された行動をしたり、時には怖がって、感じたように行動できないこともある。
自分まるごとで ”今” を味わい続けること、”わたし” をこの瞬間に委ね続けることがまだまだできないのだ。

だから、わたしは自分に時間をあげる。”今”を感じるよ〜、と声をかけてみる。

”今”の瞬間を、”わたし”の感じる通り、体まるごとで味わせてあげる。
すると、するするっと体も心も通り始める。
そして、面白いのは、瞬間瞬間を感じられたとき、私はまるで永遠を感じているかのような錯覚を覚えるということだ。

瞬間と永遠と

まったく相反するものが、同じところへやってくる。
瞬間と永遠とが同じところにあると気づくのだ。

もちろん、これもわたしのフィルターの中の感覚だ。
だから、フィルターが面白い。
わたしは演劇を通して、即興を通して、このリッチな体験をしている。

きっと多くの人が ”今” を大切にするのは、何か同じような感覚を持つからじゃないだろうか。

もっともっと”今”を味わって、リッチに生きていきたいものだ。



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