スローダウン。心揺らす音楽の力。

「卒業写真」(荒井由美さん)を聴く。声はもちろん、楽曲の素晴らしさは言うまでもなく。
でも僕が印象的だったのは、リードギター。
メインでなっているというよりは、楽曲全体を支えて?寄り添っている?っていう印象で、けしてサウンドの前面に出てきて訳ではないのだけれど、やけに耳に、心に響く。
一つずつの音の感情の粒が連なって、ゆっくりと優しく流れる。プレイの強弱やニュアンスが美しい流れを作ると、儚くて、切ない「あの頃」の情景を形成し始めた。

このフレーズを世の中に生み出した人って。どんな人なんだろう。
どういう心持ちで日々を過ごしていたら、こんなにも心を揺らす美しいものを作り出せるんだろうか。
サブスクリプションモデルが当り前になって一曲、一音と向き合う事がなくなった気がしていた。ひとところに留まらず、流れ去っていく音楽。待っていても簡単に新しい音に出会えるしそれは洪水のように次から次へのやってくる。

場所と感情を結びつける音楽。
自分の大切な思い出に寄り添って、彩りを添えてくれるBGM。
僕のなかでかつての音楽はそういう存在だった。

こんな閉塞感のある今だからなのか、音楽に対しての接し方が変化してきている気がする。聴き流して忘れるのではなく、留まって自分の中を循環させる。もしかしたら全ての事に当てはまるのかもしれない。スローダウンしよう。見つめ直し。時間はたっぷりある。生き急がずに、ゆっくりと素敵なものを摂取して心を豊かにしよう。

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