3-3.テンポとベクトル、フレーズ2
前回の「テンポとベクトル、フレーズ1」に続いて、フレーズに関するお話を中心に書いてまいります。
フレーズの「頂点」?
フレーズの話題には必ず「フレーズの頂点」という言葉を合わせて耳にします。フレーズには頂点があってそこに向かっていく。確かにこれは間違った解釈ではありませんが、ただ、私はどうしてもこの「頂点」という言葉がひっかかります。
「頂点」は山の頂のようなイメージを持ちがちで、どうしても「楽譜上の高い位置に書いてある音」ようするに高音域にフレーズの頂点があるものだと思い込みがちです。しかし、音の高低とフレーズは直接関連性はありません。ですから私の場合は(若干言葉遊び的なところもありますが)、「頂点」と呼ばずに「力が集まっていくところ」「メロディが持っている力のピーク」と呼ぶことが多いです(「ピーク」も日本語にすれば結局頂点なのですが、「力のピーク」という表現で音の高さを意識しなくなるよう心がけています)。
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