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12歳以下テニスヨーロッパ/フランス大会(グレード1)!

今回は、10月末に西フランスで開催された12歳以下テニスヨーロッパ大会につきレポートしていきます。この大会へは、日本から2007年生まれ(今年12歳)の男子選手・内田真翔君(愛知県)が予選に入る事ができましたので、ドイツ到着後すぐのハードスケジュールでしたが滅多とない貴重な体験になると信じて現地会場まで直接足を運んで引率し
挑戦しました。

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この大会は、1年で数ある開催される12歳以下テニスヨーロッパ大会の中でも極めてレベルの高い各国ナショナルレベルの選手達が集結する歴史ある大会に位置付けられています。ここで活躍する選手は、ほぼ間違いなく翌年以降の14歳以下でヨーロッパランキング上位に入ってきています。更には、最近引退を発表したベルディッヒ選手、ディミトロフ選手、ラオニッチ選手、ウォズニアッキ選手、ベンチッチ選手、エナン選手やクライシュテルス選手など数多くのプロとして活躍している(していた)選手達も出場経験があります。

まず、この大会がレベル高い位置付けという意味において説明しておきます。ヨーロッパでは、ジュニア選手達がプロを目指してヨーロッパ各国の選手達と対戦する大会として上記でも記載したテニスヨーロッパ機関が欧州各地で12歳以下・14歳以下・16歳以下大会を中心とした個人戦(シングルス・ダブルス)や団体戦(夏と冬に各国国別対抗戦等)を開催しています。個人戦では、各年代大会カテゴリーでグレード1~3に区分され、グレード1が最もレベルの高い大会として上位ランキング者が出場してきます。(*来年からは14歳以下ではグレード1よりも更に上の区分としてスーパーカテゴリーというのが数大会に設けられる事になっています)ここで活躍する選手達は、その後はヨーロッパを代表する選手として成長し、フェデラ選手やナダル選手、ジョコビッチ選手などのように(3選手もジュニア時代にはテニスヨーロッパ大会に積極的に参加していた結果が残っています)プロとしても活躍するポテンシャルを含んでいます。まさに、プロ選手になるためのジュニア時代の登竜門的存在としてヨーロッパのジュニア選手達からは大きな目標となる大会となっています。

説明が少し長くなりましたが、今回、内田真翔選手が予選に挑戦したフランス大会も12歳以下カテゴリー1であり、メインドローは各国テニス協会が推薦する男女各2選手のみの合計4選手(フランスは地元開催という事もあり多くの選手が国内大会の戦績等によって出場しています)がエントリー出来ます。まさにトップジュニアのみが集結する大会で、エントリーはしたものの極めて出場は予選含めて難しいと内田選手の遠征プランを検討している時点から思っていましたが、予選出場者の辞退が相次ぎ、運よくポイントもない中で予選に入る事ができました。

ちなみに、今回は予選でしたが、メインドローに名を連ねる選手達はコーチ含め、同じ国の選手が1名でも勝ち上がっている場合は(ダブルスも含む)、エントリー代のみで(約4000円)大会側から全選手が敗退するまでの宿泊費や1日3回の食事、ホテルから大会会場までの車によるトランスポートが全て無料提供されるホスピタリティー付きです。これも選手やコーチにとって大きなモチベーションになっている事は間違いありません。大会主催側は、テニスヨーロッパ機関と連携しながら、それらの経済的支援を地元スポンサーなど中心に多数集めて賄っています。そのため、大会会場や大会パンフレットには多数の企業名が名を連ねています。ある意味、テニスというスポーツが(マイナースポーツとしてではなく)文化に根付いているヨーロッパであるからこそ長きに渡り運営できているシステムのように感じます。

さて、私達はドイツ・デュッセルドルフから車で約11時間かけてドイツ・ベルギー・フランスの高速道路を走りながら(ちなみにドイツとベルギーは高速道路代は無料)、予選サインイン受付締め切り日である金曜日18時までの到着を目指しました。通常であれば、最低でも1泊して向かう距離ですが、今回はスケジュール的にその時間はなく、金曜日早朝4時に出発し、ガソリン供給以外はほぼ休憩なく運転し続けて無事に到着する事ができました。

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会場は室内クレーコート、すでに到着している選手達が練習を始めているところでした。会場内には毎年出場選手の出身国である国旗が飾られますが、嬉しい事にちゃんと日本の国旗も掲げられていました。この大会としては初めての事ではないでしょうか!?

過去にも選手引率ではなく、スカウティング活動の一環として3回訪れたことある場所ですが、今回最も驚いたのが例年にない男子選手のレベルの高さ。それも、よくある一部の選手というわけではなく、練習を見ている限りほとんどの選手のレベルがこれまで見てきた平均的なレベル以上に到達している印象でした。近年は、国ごとにもちろん異なりますが、将来を見据えて小さい頃からのジュニア育成に改めて力をいれなおそうとするテニス協会が多く、ナショナルセンターを改装したりするなどして選抜された各年代のジュニア選手達を1つの拠点に長期で滞在させながら(親元離れて寮生活、学校もナショナルセンター内で授業を受けるか、ナショナルセンター近くの地元学校に登校)日々切磋琢磨しながらトレーニングに励むシステム構築を着実に進めています。その代表国が、フランス・ドイツ・スイス・ベルギー等。これらの成果が徐々にヨーロッパとしてのレベルの底上げに繋がってきている印象があり、選手レベルも目にみえて技術力の高い選手達が多い印象を受けます。

今大会でも、会場に到着後のサインイン待ちをしている際に、会場内で練習している1名の選手に目がとまりました。是非、上記動画をご覧ください。スイスのナショナルウェアを着用した男子選手。すでに体格がよく身長もありますが、12歳にしてすでに各ショットの技術力の高さ。片手シングルハンドもしっかりふりぬいて鋭いスピンボールでコートにおさめていきます。何より驚いたのが、ナショナルウェアを着用していたのでスイスを代表する12歳以下選手、間違いなくメインドローからプレーする選手だろうし、今はリラックスしながら練習に励んでいるんだろうと思っていたら予選から出場の選手でした。。。これにはさすがに、どれだけレベル高い大会なの、、、と(真翔選手にはそのような態度はみせませんでしたが)腰が引けてしまいました。。。結果的には予選から勝ち上がり、メインドローでもベスト8まで勝ち上がっていました。当然と思えるポテンシャルと結果、今もスカウティング活動していれば間違いなく声掛けしていた魅力ある選手の1人でした。

さて、内田真翔選手の予選1回戦は土曜日にフランス選手と対戦する事が決まりました。メイン会場は室内コート3面のみ、大会は別会場含めて2会場で毎年運営されています。45分間と決められた枠でしたが、大会オフィシャル使用球であるテクニファイーバー社のボールでしっかりトレーニングを行い、宿泊場所であるアパートへ戻りました。私が日本から選手を引率して大会などへ遠征する際は、極力ホテルではなくアパートを探して自炊するように心がけています。もちろん外食の方が手間も省けて食べたいときにすぐに口にすることができますが、どうしても外食で使用されている油の質や食事バランスに偏りが生じる為、ドイツから自炊できる用具一式やお米、麺などを持参します。これも、引率者がヨーロッパに住んでいないとできない魅力の1つですので、ここは手間であっても今後も継続してジュニア選手達にリラックスした状態を提供できるようにしていきたいと思っています。ちなみに、大会遠征中限らず、ほぼほぼ私が指揮をとる遠征は自炊です。皆さんも是非一度体験してみて下さい。味もそれなりに好評です(笑)!

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土曜日は6時に起床、準備してウォーミングアップのため会場入り。真翔選手の体調もモチベーションも良く、よいかたちで試合にのぞめる印象でした。少し試合まで休憩を挟んで挑んだ予選1回戦でしたが、第1セット/2セット共にそれぞれ序盤に3-1とリードを広げるも、いずれも逆転されて追いつけずストレート負けを喫しました。試合中はもちろんコーチングもできませんし、多くの声掛けができませんでしたが、この試合はほぼ勝てていただけにもったいない敗戦ではありました。ただ、試合後に話し合って切り替えてこれからの滞在中にしっかりと取り組んでいく課題も明確にし、お互いに納得しながらのかたちで進める事ができましたので、フランスの大会では1試合しか行えませんでしたが、やはり足を運んで出場する価値があったと強く思っています。また、偶然にもメインドローから出場しているドイツのジュニア選手である親御さんと以前から繋がっていた事もあり、会場で他の選手の試合を見ている時にその選手のウォーミングアップを真翔選手に手伝ってくれないかの声が掛かりました。こういった機会もしっかり前向きにとらえて生かしていかないといけません。

西暦でいうと真翔選手の1年下の2008年生まれ。小柄ですが動画の通り鋭いストロークを打ち続けます。ちなみに、この選手のお兄ちゃんは14歳以下でヨーロッパランキングTOP10に入っており、兄弟そろって今後の活躍が期待されています。真翔選手の技術力が良い印象を与えたようで、彼の試合前にも同じようにウォーミングアップパートナーして声をかけていただき2日間に渡って同じ選手ですがヨーロッパで今後活躍していくであろう選手と打ち合えたのは貴重な経験になる事と思います。またの再会を期待したいです。

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このフランス大会は、毎年10月末に開催されています。2020年以降も是非挑戦してみたいジュニア選手(2008年/2009年対象)いませんか?出場に向けては時間を掛けながら大会側へ交渉が必要であり、確実に予選にすらエントリーできる保証はないですが挑戦してみる価値は間違いなくあると思います。このように、まだまだ日本で認知度が低く知られていないレベル高い試合を多数ヨーロッパでは開催されていますので、また定期的にレポートしてまいります。

皆様のジュニア選手達がもっともっと(アメリカだけではなく)ヨーロッパに足を運んで挑戦する1歩を応援し、サポート致します。ご興味ございましたら、何でも構いませんので下記連絡先までお問い合わせ下さい!

ヨーロッパテニス留学(遠征)

HP http://www.masato-sugita.com/index.html
お問い合わせ先 masato.sugita824@gmail.com(椙田/スギタ)

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