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前回前々回と、「不倫したら奥さんが可哀想、子供が可哀想」という偏見について書いてきたが、今日は明確な誤解である「不倫は犯罪」について書くことにする。

当たり前の話なのだが、不倫は犯罪ではない。
不倫したからといって警察に捕まることも無ければ、家宅捜査されることもないし、刑務所に入れられることもない。
それは当然で、不倫は刑法上の犯罪ではなく、あくまで民法上、不倫された配偶者が慰謝料請求できると規定されているだけだからだ。

法律を知っている人にとっては当たり前のことだが、刑法と民法は明確に違う。
犯罪とは刑法に規定されたもので、例えば窃盗は刑法に規定された犯罪であり、窃盗犯は警察が逮捕できるし、裁判で有罪が確定すれば懲役刑などの刑に復さなければならない。
現行犯であればその場で逮捕されるし、被害者が訴えなくても国家権力によって逮捕、抑留、取調、起訴、刑の執行が可能なのだ。

不倫も人の夫または妻を奪うもので、窃盗と同じだ、などと思う人もいるかもしれないが、人はモノではない。
不倫したからと言って国家権力が介入することはなく、不倫の現場を警察が見たところで現行犯逮捕などできないし、取調も起訴も当然できない。
ただ不倫した人と不倫された人の間で話し合いによる解決ができない場合に、裁判で慰謝料を決め、慰謝料の支払が滞った場合には裁判所が強制執行できるだけだ。

一応補足すると、刑法には重婚罪が規定されていて、これを犯すと懲役刑が課されるが、これは偽の離婚届を出すなどして、法的に離婚が成立していないのに不倫相手との婚姻届を提出して受理された場合に成立する。
しかし通常は二重に婚姻届を出しても、役所が戸籍をチェックして不受理扱いにするので、重婚罪が成立することはほとんどない。
当たり前のことだが、不倫したり、不倫相手と同棲したり、不倫相手と結婚式を挙げたりしても、重婚罪になることはなく、その他の犯罪になることもない。

にも拘らず、不倫は犯罪だ、犯罪だから悪なのだ、などと主張する人が少なからずいる。
それは単に法律の知識を持たない無知な愚者の遠吠えに過ぎない。
不倫した芸能人をあたかも犯罪を犯したかのように糾弾する風潮があるが、それは明確に間違っている。
あくまで当事者の問題であり、当事者間で慰謝料請求の権利と支払の義務が発生するだけで、慰謝料を払えばそれ以上に何ら責められるものではないのだ。


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