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『1日3分でしなやかな心が育つ禅のことば』大愚元勝監修(講談社)

はじめに

禅ってなんとなく日本史の授業で少しだけ登場して
仏教のひとつの宗派であることは認識していました。
しかし、禅の考え方について学ぶ機会はありませんでした。

あるきっかけで本書を手に取りました。
じつはこの本は私の好きな本を編集した編集者さんが転職をして
はじめて出版した本なのです。

本書はわずか62ページと少ないページ数ながら
人間関係を育む方法、自分を成長させる考え方
人から攻撃されたときの思考法など
24個のメソッドが可愛い猫と蛙のイラストとともに
わかりやすく解説されています。

毎日繰り返し本書を読んで、実践していけば
「感情のゆれ動きをピタッと止めて、ありのままの出来事を
クールに観察できる心の状態」
をつくるコツが身につきます。

人間関係を育む方法

さて、現代はリモートワークの副作用なのか
最近出勤時に朝の挨拶をする人が
少なくなった気がします。
挨拶は単に言葉を交わすだけでなく、相手への敬意を示し
お互いの心の距離を縮めるための重要な手段です。

また、人と簡単に繋がることができる現代は
人との出会いを軽視しがちです。
「一期一会」という言葉は茶道から由来される言葉と
言われていますが、茶道と禅はとても関係が深いと言われています。

人との出会いを大切にしながら
限られた時間で本当に大切にしたい人との時間に
感謝することの大切さを本書を読んで改めて実感しました。

自分を成長させる考え方

今はインターネットで無料でビジネスのノウハウやスキルアップの
勉強法など裏技的な情報がすぐ手に入ります。
このような裏技はとても便利ですが、あまり頼りすぎると
自分の本当の力がつかなくて、あとで困るのは自分です。

禅の言葉で「眼横鼻直」がんのうびちょくという言葉があります。
意味は当たり前のことを当たり前にちゃんとやる、ということです。

結果を出したいのなら、毎日コツコツと勉強して
積み上げていくしかありません。
これは中国の宋の時代に伝えられた言葉ですが
現代にもつながる本質的な考え方だと感じました。

人から攻撃されたときの思考法

普段から本を読んでいたりすると、同僚や友人から
「マジメすぎ」とか「意識高いね」などとバカにされるような
言葉をかけられることがあります。

このような言葉をかけられる環境でも頑張り続けられる
人は大きな結果を残せるのではないでしょうか。

仏教の経典のひとつ『維摩経』ゆいまぎょうのなかに
「高原に蓮の花は咲かないけれど、低い湿地の泥沼には蓮の花が咲く」
ということばがあります。
「泥中の蓮」でいちゅうのはすとも言われ
ここでいう泥沼とは、欲やこだわりなどの煩悩にまみれた
考えのことを指します。

もし、周りからバカにされてしまったときは、第一に気にしないこと。
そして、そういう環境はむしろ成功へ導いてくれるのだと考えながら続けていくことが大事なのです。

まとめ

本書は小学3年生向けに書かれた本であり
普段本を読まない人でもさらっと読めてしまうでしょう。

しかし、人間関係や他人からの攻撃は時折
眠れなくなるほどの悩みをもたらします。

こういった悩みをさらりとかわしながら
生きる方法が本書にはぎゅっと詰まっています。

読むことが難しい人、本を読む時間が取れない人
そんな人にこそ読んでもらいたい一冊です。

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