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人は眺望と隠れ家を好む

「庭仕事の真髄」を読んでいて、面白い部分があったので、紹介する。

人は眺望と隠れ家の景観を好む

地理学者のアップルトンは「生息地理論(Habita Theory)」という考えを打ち出し、その中で、人間は環境に関して「眺望」と「隠れ家」という要素の組み合わさった場所を好むという研究発表をおこなった。人は、外に開いていて監視することのできる「眺望」と安全を確保する「隠れ家」の要素が組み合わさった公園やサバンナのような景観を好むということだ。この傾向は文化の違いを超えて存在している。そのような景観を人間は美的に感じるが、おそらくそれはそのような環境を識別することは、進化上生き残りやすくなり、遺伝的形質として獲得されたのだろう。

眺めがよく、周囲から守られている空間のある庭は、眺望の点でも隠れ場所という意味でも私たちの必要性を満たしている。物理的かつ心理的に「抱かれる」ことで守られているのと同時に、外にも開いているため、庭は閉じ込められるのではなく、安全に囲われた場所だと感じさせてくれる。

「庭仕事の真髄」

つまり、庭は人間が持っている先天的な好みに全く一致しているということだ。

赤ちゃんの抱き方と景観の好みの共通性

実は、この人間の景観の好みは幼児期の体験と密接にかかわているのではないかと思う。幼児の抱き方にも、安全な抱き方と眺望が必要だ。以前、どこかで読んだ研究で幼児のIQの高さは抱き方に相関するというものだ。文化や人種に関わらず、幼児の抱く時により高い視点で抱く文化を持つ幼児にIQが高いという研究が出た。研究によるとアフリカや日本では幼児のIQが高かったので、調査してみると幼児の抱き方に特徴があったということだった。アフリカでは幼児を高い位置で抱く傾向があり、日本でもおぶうという習慣があり、背中に子供を背負っていた。ただし、このIQの高さは幼児期を過ぎると、他の文化・社会的要因により消滅してしまうらしい。

私は、この記事を読んで衝撃を受けたので、できるだけ乳母車は使わずに、ずっと赤ちゃんを高く抱き前を向けた視界がひろくなるように努めていた。果たして、その結果が出てくると良いのだが。

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